【行革】スマート自治体へ向けAI・RPA、研究段階から導入実践段階へ(社会・技術動向)

<概要>

●議事録作成支援・自動応答などAI・RPAの実践例が増加

●総務省も自治体の導入事例を調査、支援策も実施

●RPA導入は容易くない、導入を断念した事例研究も重要

●失敗事例に学ぶ、プロセスの可視化・納得・トラブル対応策

●外国語での窓口サービス向上など自治体の取り組み

●予算額増大と人件費削減効果とのかねあいが課題

<チェックポイント>

●AI・RPAの導入検討、実践

●総務省の支援策・事例研究の確認

●周辺自治体のAI・RPAの導入状況

<掲載事例>

●大阪府

●福島県会津若松市、愛知県一宮市

●神奈川県政策研究センター

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AI・RPAの実践例が増加 総務省も調査・支援へ
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●議事録作成支援・自動応答などAI・RPAの実践例が増加

・AI(人工知能)・RPA(ロボットによる業務自動化)はスマート自治体への大きな要素。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000621143.pdf

・2019年5月の総務省調査では、AIを1業務でも導入している団体は都道府県約36%、指定都市約60%、その他の市町村約4%。

・RPAを1業務でも導入している団体は都道府県約30%、指定都市約40%、その他の市町村約3%。

・AI導入は音声認識を活用した議事録作成、チャットポッド(自動応答)活用が多く、RPAは入力業務支援の事例が多い。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000624150.pdf
(1,2,3,6ページ)

・議事録作成支援の事例として、大阪府のAI音声認識技術による各種会議の議事録など文書作成効率化。

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/22477/ictjireisyurevised.pdf
(54ページ)

https://www.advanced-media.co.jp/newsrelease/12569

・チャットボットの事例として、福島県会津若松市の「問い合わせへの自動応答サービス」。
市民からよくある問い合わせや申請手続きの仕方をLINEを使い、対話形式で自動応答。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000595981.pdf
(2ページ)

https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2017122100042/

●総務省も自治体の導入事例を調査、支援策も実施

・総務省はRPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)のページを作成し、RPAの説明、機能や導入事例を紹介。

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html

・スマート自治体研究会においてもAI・RPAを重要な要素として位置付けている。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/process_ai_robo/index.html

・総務省は「地方自治体におけるAI・ロボティクスの活用事例」として、全国の事例を記載。
愛知県一宮市のRPAによるシステム入力業務の省力化などを成果とともに紹介する。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000595981.pdf
(23ページ)

・2019年には「革新的ビッグデータ処理技術導入推進事業」(RPA補助・AI実証)を公募。

・RPA導入補助事業として82団体、地方公共団体におけるAI活用に関する研究として3実証グループを採択した。

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu06_02000213.html

・成果をふまえRPA導入効果等をまとめた事例集を作成予定、公募条件では2020年3月に実績報告書提出となっている。

https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/rpa_local.html

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未導入・失敗事例もふまえた対応策が重要
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●RPA導入は容易くない、導入を断念した事例研究も重要

・神奈川県政策研究センターは2019年10月に独自で307自治体にアンケート調査、257自治体から回答をへて分析。

・導入状況や動機の他「導入に至らなかった業務」も質問、RPA導入はたやすくはないと分析。

・導入を断念した理由は「ルールが複雑で自動化できる範囲が限定的」「紙書類からの入力が多く、効果が見込めない」など。

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/22477/rpakekka.pdf
(7ページ)

・未導入の事例で理由を研究することは重要、対象業務の分析が必要。

●失敗事例に学ぶ、プロセスの可視化・納得・トラブル対応策

・AI・RPAを先行的に導入している民間業者の失敗事例に学ぶことも重要。

・失敗事例の共通課題は「業務プロセスの可視化がない」「経営陣と現場との意識の違い」「トラブルの際のIT部門との連携」など。

・導入には「プロセスを可視化し最終目標を明確」「現場の納得」「業務体制の構築、IT部門の体制」が重要。

https://www.realgate.co.jp/md/1789/

https://news.mynavi.jp/article/20191119-925294/
③自治体へのRPA導入事例

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外国語での窓口サービスなど自治体の取り組み
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●音声翻訳システムを活用して外国語での窓口サービス(神奈川県綾瀬市)

・地域特性として多くの外国人市民が生活、言葉の壁への対応が課題。

・2017~18年に自治体向け音声翻訳システムを実証利用し、その後2019年に本格導入。

https://www.city.ayase.kanagawa.jp/hp/page000035000/hpg000034975.htm

https://www.city.ayase.kanagawa.jp/ct/other000050200/jirei.pdf
(23~28ページ相当、第5章)

・実証実験を通じデータを収集、行政手続にどんな文脈、単語が使われているかをAIに学習させる、4カ月で利用実績22回。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000595981.pdf
(5ページ)

●OCR(光学読み取り)の適用が期待できる業務で実証実験(和歌山県橋本市)

・現行業務を棚卸し・分析した上で新しい業務フローも検討、37業務を抽出しヒヤリングを実施→10業務にRPAを適用。

・さらに3業務は同じ基幹システムを利用する隣接の熊取町にも横展開した。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000611430.pdf
(2~5ページ相当)

・申請書等のAI OCRによる自動取り込み、RPAによる単純作業の自動化を行った。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000595981.pdf
(26ページ)

・業務を担当した富士通もインタビューで事例を紹介。

https://www.fujitsu.com/jp/solutions/industry/public-sector/local-government/case-studies/hashimoto-kumatori.html

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今後の課題は本格導入に伴う予算確保
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・総務省の調査分析ではAI・RPAの費用は、現在は実証実験のため経費ゼロで導入している自治体が大半。

・今後本格導入の段階で予算額確保が課題となると指摘。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000624150.pdf
(10、11ページ)

・神奈川県政策研究センターの調査では、導入コストはライセンス料が平均約230万円、サポート料が平均約280万円。

・年間のランニングコストは平均約250万円/件、サポート料が1件あたり平均80万円。

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/22477/rpakekka.pdf
(8、9ページ)

・予算額増大と人件費削減効果とのかねあいが課題となる。

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チェックポイント詳細
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●AI・RPAの導入検討、実践

・AI・RPAの検討の全体の担当部署は。

・導入に向けた業務の透明化や見直し、担当者との協議は実施しているか。

・実践している場合、効果の検証はしているか

●総務省の支援策・事例研究の確認

・総務省の活用事例は研究しているか。

・「革新的ビッグデータ処理技術導入推進事業」(RPA補助・AI実証)への応募は検討したか。

●周辺自治体のAI・RPAの導入状況

・周辺に「革新的ビッグデータ処理技術導入推進事業」(RPA補助・AI実証)採択自治体は存在するか。

・周辺自治体でAI・RPA導入を実施している自治体はあるか。

・周辺自治体と共同でのAI・RPAの導入は検討しているか。

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さらなる調査のためのリンク集
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【行革】RPA(業務自動化ソフト)による行政事務の効率化(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5054/

【行政改革】自治体戦略2040構想におけるスマート自治体への転換(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/4776/

【行革】総務省が自治体によるAI等の共同利用を支援(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5077/

データを活用したAIチャットボット「LINE de ちゃチャット問い合わせサービス」の取り組み
(福島県会津若松市)
https://www.pref.ehime.jp/h10800/documents/aizuwakamatsu-line.pdf

自治体のRPA導入の事例を知りたい(鳥取県立図書館・レファレンス協同データベース)
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000247092

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