<概要>
●総務省が会計年度任用職員制度に関する実態調査を発表
●会計年度任用職員62.2万人の9割がパートタイム、8割が女性
●制度導入前に比べ月額報酬減などの実態があり、総務省が改善を求める
●物件費から人件費への移行、期末手当新設で財政負担が増加
●地方交付税の増加分と、実際の人件費増の比較が重要
●財政支援要請を国に求める動き、官製ワーキングプアの実態調査
<チェックポイント>
●会計年度任用職員の人数
●会計年度任用職員の男女比、職種・勤務内容
●会計年度任用職員の待遇
●会計年度任用職員制度による財政影響
<掲載事例>
●指定都市市長会、自治労、自治労連、官製ワーキングプア研究会
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会計年度任用職員の9割がパート、8割が女性
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●総務省の会計年度任用職員に関する実態調査
・総務省は2020年12月「会計年度任用職員制度等に関する調査結果(施行状況の概要等)」を発表。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei11_02000153.html
・2020年4月1日から制度が始まった会計年度任用職員の職員数、任用・勤務条件等について3272団体の実態調査。
・「調査のポイント」を見ると、会計年度任用職員数は62.2万人と大幅に増加、特別職や臨時的任用職員が大幅に減少。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000724639.pdf
(1ページ相当)
●女性労働者への偏重が改善されていない
・会計年度任用職員62.2万人のうち、約9割がパートタイム、約8割が女性。
・職種で一番多い一般事務職員18.8万人が時給換算で990円程度と、待遇は高くない。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000724639.pdf
(1、2ページ相当)
・「官製ワーキングプア」と呼ばれた、非正規公務員の状況、女性労働者への偏重が改善されていない実態が判明。
https://www.iwanami.co.jp/book/b527893.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/spls/8/3/8_47/_pdf/-char/ja
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月額報酬減など不適切な実態、総務省が改善を求める
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●制度導入前に比べ月額報酬が減額など不適切な実態
・会計年度任用職員は期末手当の支給が制度化されたが、月額報酬を下げ年収ベースで前の制度並みとする動きが見られた。
・「”待遇改善”のはずが月給減?非正規公務員の新制度とは」との報道も。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200324/k10012346631000.html
・会計年度任用職員の施行状況に等に関する調査では、23.8%の団体で給与水準が制度導入前に比べて減額の職種があると回答。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000724646.pdf
(5ページ)
●総務省は「改正法の趣旨に沿わない」と指摘、改善を求める
・調査のポイントでも「制度の趣旨に沿わない理由により減額している例が見られた」と指摘。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000724639.pdf
(2ページ相当)
・不適切な運用に対し、総務省は2020年12月21日に「会計年度任用職員制度の適正な運用等について」を通知。
・「財政上の制約のみを理由に期末手当を抑制」「 新たな期末手当支給の一方で給料や報酬を抑制」について、改善を求める。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000724580.pdf
(2ページ)
・勤務時間の設定も恒常的な時間外の発生など実際の勤務実態とあわせて検証すべき、適切な休暇の設定(繰越)も課題。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000724646.pdf
(2、3ページ)
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財政負担の増加と地方交付税交付金への算定
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●物件費から人件費への移行、期末手当新設で財政負担が増加
・臨時的任用職員は物件費で計上されており、会計年度任用職員に移行することで人件費は増加。
・特別職非常勤職員は人件費計上であったが、会計年度任用職員に移行により新たな期末手当支給で人件費が増加。
https://www.pref.kyoto.jp/tiho/documents/02zaiseibunseki30.pdf
(4ページ相当)
・一般会計総額412億円の千葉県我孫子市では、2020年度予算編成方針で人件費が前年度より約6.7億円も増加。
●財政負担に対する地方財政対策での国の対応策
・会計年度任用職員制度導入による人件費増について、2020年度地方財政対策では一般行政経費(単独)として1690億円を見込む。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000660553.pdf
(5ページ)
・2021年度地方財政対策は「会計年度任用職員制度の平年度化に伴う影響への対応」として前年度より一般行政経費(単独)を651億円増加。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000724573.pdf
(6ページ)
・平年度化とは、制度導入に伴う1年目と2年目の所要額の差、月額給与・期末手当の算定が2年目に増加することに対応。
http://www.esri.go.jp/jp/archive/ken/ken033/ken33f.pdf
(246ページ)
・これらは全国レベルの地方交付税交付金算定の「計算式」にすぎない、実際の経費増と各自治体の需要額とを比較することが重要。
・「制度移行でも月額を下げ、年支給額は変わらない」運用の自治体は、増加分を他の目的に使っており、財政面でも問題が大きい。
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財政支援要請の動き、官製ワーキングプアの実態調査
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●会計年度任用職員制度導入にあたって財政支援などを要請(指定都市市長会、自治労、自治労連)
・スムーズな制度移行に向け、指定都市市長会は2019年7月「期末手当等の人件費やシステム関係経費等の所要額全額」財政措置を求める。
http://www.siteitosi.jp/conference/honbun/pdf/r01_07_30_01_siryo/r01_07_30_01_01.pdf
・自治労や自治労連といった労働組合は、会計年度任用職員の処遇改善を求める。
https://www.jichiroren.jp/news/post-31429/
http://www.jichiro.gr.jp/oneteam/pdf/torikumi.pdf
●コロナ禍における影響をアンケートで集約(官製ワーキングプア研究会)
・市民団体「官製ワーキングプア研究会」はイベントなどを通じて実態調査と啓発に取り組む。
・研究会は「新型コロナウイルスによる公共サービスを担う労働者への影響調査」を2020年5月に実施。
・「エッセンシャル・ワーカー235人からの証言」として公表、特に自由記入欄の声は現場の声を反映。
http://kwpk.web.fc2.com/pdf/200601eikyou_1.pdf
http://kwpk.web.fc2.com/pdf/200601eikyou_2.pdf
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チェックポイント詳細
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●会計年度任用職員の人数
・会計年度任用職員、臨時的任用職員、特別職非常勤職員の職員数は。(2019年度との比較)
・会計年度任用職員のうち、フルタイムとパートタイムの人数内訳は。
●会計年度任用職員の男女比、職種・勤務内容
・会計年度任用職員の男女比は。
・会計年度任用職員の職種・勤務内容は。
●会計年度任用職員の待遇
・2019年度と比較して月額報酬の違い、期末手当支給状況は。
・時間外勤務の状況は。(特にパートタイム勤務職員)
・2020年12月の期末手当は人事院勧告に伴う減額をしたか。
・2019年度と2020年度で「平年化」の違い(月額給与、期末手当)は。
●会計年度任用職員制度による財政影響
・会計年度任用職員導入による財政への影響は。
・地方交付税交付金の需要額算定の増加と比較して、上記費用はどのような状況か。
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さらなる調査のためのリンク集
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【人事】新地方公務員制度と会計年度任用職員(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/4964/
【人事】4月施行目前!会計年度任用職員に残された課題(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5308/
【人事】再任用職員・会計年度任用職員・勤勉手当など、2020年度人事院勧告の新たな論点(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5976/