<概要>
●コロナの収束は見通せず、5月末まで休校を延長する自治体も
●国や自治体が教育機会を提供しない現状は、教育基本法違反の可能性
●熊本市や岐阜県はリアルタイムの遠隔授業を開始
●横浜市や京都市は、授業動画をネットとテレビで放映
●自宅のタブレットで学習できるソフトやドリルも
●小規模の自治体には難しく、ハードとソフトは国の支援が必要
<チェックポイント>
●休校中の教育の現状
●リアルタイムの遠隔授業
●ネットやテレビによる授業動画の提供
●コンピューターソフトを使った家庭学習
<掲載事例>
●岐阜県、東京都
●熊本県熊本市、神奈川県横浜市、京都府京都市
●東京都渋谷区
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休校が長期にわたり、教育の提供が不可欠に
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●休校期間を5月末まで延長する自治体
・岐阜市や近郊市町の各教育委員会が、市町立の小中学校などの臨時休校を5月末まで延長。
https://www.gifu-np.co.jp/news/20200418/20200418-233673.html
・栃木県那須塩原市も、全国的な感染拡大を理由に休校期間を5月末まで延長。
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/302452
・愛知県大府市もコロナの収束が見通せないとして、休校期間を5月31日まで独自に延長。
https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20200420_123792
●教育基本法に定められた国と自治体の責任
・学校は、災害や流行性疾患が理由で授業ができなくても、学校教育法には反しない。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202004/0013281624.shtml
・しかし、教育基本法5条で、国と自治体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保する責任を負う。
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=418AC0000000120#25
・突然の臨時休校だったが、2ヶ月経ってもまともな教育が提供されていなければ、違法の可能性。
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リアルタイムの遠隔教育
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●リアルタイムの遠隔授業とテレビ番組を開始(熊本県熊本市)
・いち早く4月15日から、小学校3年〜中学校3年を対象に遠隔授業を開始。
・ネット環境が整っていない家庭には、学校に配備したタブレット端末を貸し出し。
・テレビ会議システムを使い、生徒同士も互いの顔が見える仕組み。
https://this.kiji.is/623344914840437857
・民放4社とNHKで、学習支援の特別番組も20日から放送開始。
・小中学校の教員が、学習指導要領の未指導となっている部分を取り上げる。
https://mainichi.jp/articles/20200420/k00/00m/040/129000c
●県立高校と特別支援学校でオンライン授業(岐阜県)
・テレビ会議システムを使い、教員が授業をライブ配信。
・そのために全84校に専用回線を敷く作業を行い、準備が整った学校から配信開始。
・生徒の視聴は任意で、視聴できない生徒のはDVDや文字起こしによる提供を検討。
https://mainichi.jp/articles/20200420/k00/00m/040/016000c
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動画やテレビを使った授業配信
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●520本の動画やテレビで全教科の授業を提供(神奈川県横浜市)
・休校延長を受けて、4月8日から全教科の授業動画を週100本配信。
・教職員向けのeラーニングシステムを活用し、児童生徒にはIDとパスワードを発行。
https://www.kanaloco.jp/article/entry-318521.html
・4月20日からはテレビ神奈川のサブチャンネルを使って、動画授業を放映。
・平日は9時〜16時半、土日は9時半〜14時で、2日続けて同じ授業が視聴できる。
https://resemom.jp/article/2020/04/20/55908.html
●テレビ・YouTube・新聞で学習内容を解説(京都府京都市)
・4月の授業で教える予定だった学習内容を、20日から京都テレビで放送。
・番組を見られなかった家庭のために、28日からはYouTubeにも番組を公開。
・京都新聞の子ども版にも概要を紹介し、家庭訪問などの機会に教員が提供。
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/221602
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ネットでドリルなど課題を提供
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●1人1台タブレットPCで休校初日から遠隔指導(東京都渋谷区)
・区立小中学校の児童生徒と教職員全員に、2017年からタブレットPCを貸与。
・生徒同士の意見共有ソフトや、家庭でのドリル学習ソフトで日常的に使用。
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/assets/edu/edu_torikumi_pdf_icthuzokusiryo.pdf
・3月の臨時急行でも、初日から教師が課題を出して指導を続けることができた。
https://www.asahi.com/articles/ASN336Q83N33UTIL08G.html
●eラーニングの学習ソフトを提供(徳島県美馬市)
・休校中の家庭学習に、民間のeラーニング学習ソフトを提供。
・タブレット端末を持っていない家庭には貸し出し、無料でネットを使える環境も提供。
https://www.topics.or.jp/articles/-/353040
●新しい学習指導要領に合わせたドリルを公開(東京都)
・基礎的な学習内容を身につける「東京ベーシック・ドリル」電子版とプリント版を4月1日に公開。
・電子版はペン入力もできて、自分の書いた答えと正解を並べて答え合わせができる。
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/study_material/improvement/tokyo_basic_drill/about.html
・自分で時間割を作って家庭学習をするためのフォーマットも提供。
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/content/learning_support.html
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遠隔教育のハードとソフトは国の支援が必要
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・OECDが2018年に行った調査で、日本の生徒が自宅でパソコンを使う割合は途上国以下。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/01/post-92085.php
・国は児童生徒に1人1台コンピュータを配備する、GIGAスクール構想を打ち出した。
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm
・オンライン授業や動画授業も、小規模の自治体では難しいため、国や県が用意する必要がある。
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チェックポイント詳細
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●休校中の教育の現状
・休校中の教育の質と量は十分に保たれているか。
・家庭学習の課題提供と進捗確認をどのように行っているか。
●リアルタイムの遠隔授業
・テレビ会議システムを使った遠隔授業を検討してはどうか。
・毎日生徒の顔を見たり、連絡事項を伝えるために活用できないか。
●ネットやテレビによる授業動画の提供
・自治体として授業動画を撮影して、ネットやテレビで提供すべきではないか。
・何らかの形で授業を提供しなければ、違法の怖れは無いか。
●コンピューターソフトを使った家庭学習
・紙の課題だけでなく、家庭学習用ソフトを提供してはどうか。
・端末やネット環境がない家庭の割合を把握しているか。
・端末やネット環境を一時的に貸し出せないか。
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さらなる調査のためのリンク集
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【情報】遠隔教育・遠隔診療・テレワークはどこまで進むか?(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5519/
【教育】国会を通過した補正予算、目玉はGIGAスクール構想(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5374/