【人事】2023年総務省と行政職員の合同会議(2)非正規職員と就職氷河期世代(政策アイディア)

<概要>

●総務省は会計年度任用職員の実態調査を行い課題を指摘

●1日15分短い勤務時間で、フルタイム雇用を回避している疑い

●政府は就職氷河期世代の「第二ステージ」として、自治体での中途採用を求める

●就職氷河期限定試験や受験可能試験を検討すらしていない自治体が多数

●就職氷河期世代の限定試験を実施など自治体の取組

<チェックポイント>

●会計年度任用職員の雇用実態

●就職氷河期世代の採用

<掲載事例>

●大阪府河内長野市、北海道石狩市

●公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)

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パートタイム会計年度任用職員の勤務時間設定に課題
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●総務省自治行政局公務員部が示す、公務員をめぐる課題

・総務省と行政職員が情報共有を行う「全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議」(以下「合同会議」)では、総務省の各部が課題や取組事例を紹介。

https://www.pref.okayama.jp/page/831888.html

・総務省自治行政局公務員部は「会計年度任用職員制度」「就職氷河期世代の中途採用の促進」など公務員をめぐる課題を列挙。

https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/832468_7872458_misc.pdf

●総務省は会計年度任用職員の実態調査を行い課題を指摘

・総務省は「会計年度任用職員制度」の施行状況を調査。2022年度版では「再度任用時の不適切な空白期間」「適切な給与決定」などを調査。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000853409.pdf
(1、4ページ)

・調査をもとにして「会計年度任用職員制度の適正な運用等について」を2022年12月23日に通知。「空白期間」の適正化、適切な給与決定などを求めた。

・例えば「新たに期末手当を支給する一方で給料や報酬について抑制を図る」は「法の趣旨に沿わない」と指摘。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000853408.pdf
(2ページ)

●1日15分短い勤務時間で、フルタイム雇用を回避している疑い

・調査では、勤務時間がフルタイムより1日15分短いだけの職に、パートタイム会計年度任用職員を充てている団体が1161団体あることが判明。

・フルタイム勤務とすべき標準的な業務量にもかかわらず、パートタイム会計年度任用職員として位置づけること自体が目的となっていると指摘。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000853409.pdf
(2ページ)

・さらに、現実には1日あたりに15分以上の超過勤務が発生するケースが8598件あるなど、フルタイム職員以上の業務を行っている事例を指摘。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000853409.pdf
(3ページ)

・通知では「一般的に理解を得られる相当の合理的な理由があるのか」「コロナ対策など突発的な要因と説明されているケースも検証すべき」と指摘。

・他にも3年目の雇い止め問題が浮上したことに対応して、「事前に十分な説明を行い、他に応募可能な求人を紹介する等配慮をすることが望ましい」とする。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000853408.pdf
(2ページ)

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就職氷河期世代対策の公務員採用を国も推進
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●政府は就職氷河期世代の「第二ステージ」として、自治体での中途採用を求める

・2022年7月25日に総務省は「就職氷河期世代の第二ステージに向けた地方公共団体での中途採用の取組の一層の推進について」を通知。

・「経済財政運営と改革の基本方針 2022」において、「2023年度からの2年間を第二ステージと位置づけ、引き続き公務員等での採用を推進」と紹介。

・就職氷河期世代に限定した中途採用試験や受験可能試験の実施・拡充、試験の実施方法上の工夫を要請した。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000826651.pdf
(1、2ページ)

・総務省はHPにも「地方公共団体における就職氷河期世代支援を目的とした職員採用試験の実施状況」というページを設け、受付中・受付予定の採用試験一覧などを示す。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/koumuin_seido/shushoku_hyogaki_shien.html

●就職氷河期限定試験や受験可能試験を検討すらしていない自治体が多数

・総務省は2023年1月25日に「就職氷河期世代支援の第二ステージに向けた地方公共団体における取組の検討について」を通知。

・2022年12月末時点における取組の実施状況と、第二ステージ(2023〜2024年度)における取組の検討状況について調査した結果を発表。

・引き続き積極的な取組を求めるが、「就職氷河期限定試験について1543団体、受験可能試験について944団体が検討もせず」と厳しく指摘。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000857720.pdf
(1ページ相当)

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就職氷河期世代の限定試験を実施など自治体の取組
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●積極的に就職氷河期世代を採用のため、限定試験を実施(大阪府河内長野市)

・大阪府河内長野市は2021年に、就職氷河期世代に限定した採用試験として15名程度を募集。企業でよく使われる「総合能力試験(SPI3)」にて実施。

・1970年4月2日~1987年4月1日を対象として、事務職員10人程度などを対象とした。

https://www.city.kawachinagano.lg.jp/soshiki/31/71063.html

・総務省の「積極的に取組を推進している自治体の取組事例」で紹介されている。

https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/832468_7872458_misc.pdf
(25ページ)

●市民団体が送付した会計年度任用職員への要望書に市長・議長・公平委員が回答(北海道石狩市)

・市民団体・公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)は「会計年度任用職員の不安定雇用問題に対する緊急要望書」を全国の自治体、自治体議会、人事・公平委員会に申し入れ。

https://nrwwu.com/topics/1985/

https://nrwwu.com/main/wp-content/uploads/2022/12/0c8b46c048e88160e1936ab7336a5400.pdf

・内容として自治体などに「一律公募の中止」「大量雇用変動通知の実施」などを求める。後者は年度末に向けて 30 名以上の離職者が生じる時に実施しなければならないもの。

https://nrwwu.com/topics/2058/

・1789プロジェクトに対しては2023年2月24日時点で114自治体が反応。その中で北海道石狩市は市長・議長・公平委員が回答。

https://nrwwu.com/main/wp-content/uploads/2023/02/508e9ea3e8503d7d017b88cf17ca7a8e.pdf

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チェックポイント詳細
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●会計年度任用職員の雇用実態

・会計年度任用職員で「フルタイムより1日15分短いパートタイムで採用」という実態は。

・パートタイム職員にもかかわらず、超過勤務などでフルタイム以上の勤務時間の実態は存在するか。

・30名以上の離職者は存在するか。また、大量雇用変動通知は実施しているか。

●就職氷河期世代の採用

・就職氷河期世代に限定した中途採用試験は実施しているか。またその採用人数は。

・就職氷河期世代が受験可能な中途採用試験は存在するか。

・受験可能な年齢の上限の設定は。

・2023〜2024年度の限定試験、受験可能試験の検討は行っているか。

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さらなる調査のためのリンク集
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【労働】3年雇い止めが問題となる会計年度任用職員、勤勉手当支給は年度内に結論(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/7023/

【人事】会計年度任用職員の実態調査、官製ワーキングプアからの脱却を(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6049/

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