<概要>
●3年で雇い止めの恐れがある会計年度任用職員
●3年目公募の問題点と、回避する取り組み
●最低賃金を下回った会計年度任用職員の給与水準
●地方からの提案を受け、勤勉手当は2022年度中に結論予定
●会計年度任用職員の運用改善を求める動き
<チェックポイント>
●会計年度任用職員の3年目公募
●会計年度任用職員の処遇改善
<掲載事例>
●大阪府箕面市
●官製ワーキングプア研究会、公務非正規女性ネットワーク「はむネット」
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3年で雇い止めの恐れがある会計年度任用職員
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・会計年度任用職員の制度は2020年度から開始され、最初の年に採用された職員が2023年3月末には丸3年となる。
・単年度契約なので特に取り決めはないが、1〜2年目は再度の任用を行い、3年目に公募をする自治体が見られる。
https://nrwwu.com/topics/1651/
・国のマニュアルには、「選考においては公募を行うことが法律上必須ではないが、できる限り広く募集を行うことが望ましい」と記載されている。
・また、「例えば、国の期間業務職員については、(中略)再度の任用を行うことができるのは原則2回までとしている。」と、期間業務職員のルールが例示されている。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000724652.pdf
(問6-2、20ページ相当)
・他方で、「選考においては公募を行うことが法律上必須であるものではない。」との回答も行っている。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000724652.pdf
(問4-3、18ページ相当)
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3年目公募の問題点と、回避する取り組み
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●先行する国家公務員の非常勤職員は3年目に公募
・国では、非常勤職員(期間業務職員)において3年目公募の運用が先行して実施された。
・ハローワーク職員が対象となり、精神的プレッシャーを訴える職員の声が聞かれた。
https://diamond.jp/articles/-/265797
・非常勤相談員が公募によって競わされて、ストレスから精神疾患にかかる例がみられ、「パワハラ公募」と指摘されている。
https://synodos.jp/opinion/society/16439/
・全労働省労働組合も2018年に「期間業務職員の公募にかかる全労働の見解」を出し、「期間業務職員の過大な精神的負荷」を指摘している。
https://zenrodo.com/jobs/article?process=article&article_id=157
●3年目の一律公募を回避する取り組み
・「官製ワーキングプア研究会」は2022年10月に総務省、全国知事会、全国市長会に「会計年度任用職員に対する「3年目公募」の中止を要請。
・「公募は法律上必須ではない」とするマニュアルの趣旨を各自治体に徹底や、職務の実態に合った定めのない短時間公務員制度導入など4点を提言。
・かつて大阪府箕面市長が提案し、総務省とやりとりした「任期の定めのない短時間勤務職員制度」の構想も存在する。
http://kwpk.web.fc2.com/pdf/kwpkr30_3.pdf
(11ページ)
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低賃金で勤勉手当も出ない会計年度任用職員
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●最低賃金を下回った会計年度任用職員の給与水準
・最低賃金制度とは最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/index.html
・2022年10月に最低賃金の引き上げが各地域で実施された。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
・その結果、会計年度任用職員の給与が最低賃金を下回った地域では、会計年度任用職員の給与表を改定する動きが見られた。
・改定額は時給30円アップなどであり、会計年度任用職員の初任給は最低賃金ギリギリである実態が明らかになった。
https://www.city.komae.tokyo.jp/index.cfm/50,119116,c,html/119116/20211022-150348.pdf
●3年ぶりのボーナス値上げの恩恵を受けない会計年度任用職員
・自治体職員のボーナスは期末手当+勤勉手当で構成されるが、会計年度任用職員は勤勉手当が設定されていない場合が多い。
・人事院勧告は勤勉手当のみ引き上げであり、会計年度任用職員は3年ぶりのボーナスアップの対象外となる可能性がある。
https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/kaigi/doc/senmon137sanko01_8.pdf
(2、3、4ページ)
・2022年度人事院勧告への自治体の対応としては(1)正規職員と同様の適用(同年4月からの遡及適用)(2)アップは行うものの、2022年度は12月分のみ適用(3)適用しない(もしくは2023年度より適用)と分かれた。
・(1)(2)は12月議会に提案されており、(3)については2023年度から適用する提案が3月議会に出されるかが焦点。
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/110301/files/2014012800327/R4kousyou3.pdf
(2ページ、12月分のみ適用の事例)
・2年連続マイナスの人事院勧告の際に(1)マイナス適用しない(2)次年度より適用(3)正規職員と同様に適用、と対応が分かれたことが影響した思われる。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk29/documents/kyuyokakuteikouhyou2.pdf
(1ページ、次年度より適用の事例)
●地方からの提案を受け、勤勉手当は2022年度中に結論予定
・総務省はマニュアルの見直しや自治体の恣意的な運用に対して、2022年12月に「会計年度任用職員制度の適正な運用等について」を通知。
・ボーナス支給の代わりに月額給与を下げるといった行為は「改正法の趣旨に沿わないもの」と指摘し、再度の任用を行わない場合の対応策も示す。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000853408.pdf
(2ページ 「2 適切な給与決定」「4 再度の任用について」)
・通知の本文および添付文書中で、会計年度職員の勤勉手当支給については地方からの提案を受け、2022年度中に結論を出すことを表明。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000853412.pdf
・徳島県などが「2022年に会計年度任用職員に勤勉手当を支給すべき」と提案したことを受けての動き。
https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/kaigi/doc/teianbukai144/144shiryou03_4.pdf
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会計年度任用職員の運用改善を求める動き
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●全国自治体に一律公募の取りやめを要望(公務非正規女性ネットワーク「はむネット」)
・はむネットは全国の自治体に「会計年度任用職員の不安定雇用問題に対する緊急要望書」を送付。
https://nrwwu.com/topics/1985/
・会計年度任用職員について一律の「公募」をやめ、国に対して会計年度任用職員制度を抜本的に見直す意見書を上げるよう要請。
・その他、報酬や諸手当、休暇制度、福利厚生等について、常勤職員との間にある処遇格差の是正も求めた。
https://nrwwu.com/main/wp-content/uploads/2022/12/9555549fe92ed69ccb120e726a9bb998.pdf
●会計年度任用職員制度の柔軟な運用への検討を求める(全国知事会)
・全国知事会は「2023年度国の施策並びに予算に関する提案・要望」において、会計年度任用職員制度の運用を取り上げた。
・制度の運用について、「地方の実情に応じた柔軟な運用が可能となるよう、不断に制度の検討を行うこと」を申し入れした。
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チェックポイント詳細
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●会計年度任用職員の3年目公募
・2023年度に向けて会計年度任用職員の公募は実施しているか。
・公募は一律か、公募の範囲と人数はどうか。
・公募の場合、現在の職を担う職員への心のケアや聞き取りは行っているか。
●会計年度任用職員の処遇改善
・市民団体からの会計年度任用職員に関する提言は把握しているか。
・2022年10月の最低賃金引き上げ後、会計年度任用職員の給与水準はどうなっているか。
・2020年度、2021度年人事院勧告に対して、会計年度任用職員の期末手当はどのような対応を行ってきたか。
・2022年度人事院勧告の勤勉手当値上げ勧告に対して、どのような対応をするのか。
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さらなる調査のためのリンク集
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【人事】人事院勧告の論点(1)3年ぶりのプラス改定、会計年度任用職員は?(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6901/
【人事】都道府県・政令市の人事委員会勧告に見る、会計年度任用職員のボーナス問題(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6982/
【人事】9月決算のヒント(3)2020年度から始まった会計年度任用職員の勤務実態(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6420/