【労働】中小企業も「パワハラ防止対策」義務化!企業・自治体のハラスメント対策(国政情報)

<概要>

●厚生労働省の実態調査でもパワハラ相談は減っていない

●国は2019年に女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正

●中小企業の6割が2021年春の「パワハラ防止対策」義務化を知らず

●条例制定など自治体のハラスメント防止対策

<チェックポイント>

●企業のハラスメントの防止対策

●自治体におけるハラスメントの防止対策

●ハラスメント防止条例

<掲載事例>

●兵庫県丹波篠山市、東京都狛江市、東京都世田谷区

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増加するパワーハラスメントの相談
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●厚生労働省による「職場のハラスメントに関する実態調査」

・平成24年度から4年ごとに職場のパワーハラスメントに関する実態調査が実施され、2021年4月末に令和2年度版が公表された。

・相談件数の推移については、パワハラなどは「件数は変わらない」の割合が最も高く、セクハラのみ「減少している」の割合が最も高かった。

・該当件数の推移については、顧客等からの著しい迷惑行為が大幅に増加している。

https://www.mhlw.go.jp/content/11910000/000775797.pdf

●地方労働局でもパワハラの労働相談が増加

・茨城労働局は、令和元年度の個別労働紛争に関する相談内容をまとめた。

・パワーハラスメントに関する相談が全体の44.5%を占め、8年連続でトップだったと発表。

・件数は2359件(前年度比13.4%増)で過去最多となり、パワハラの社会的認知度の向上が背景にある。

https://www.sankei.com/region/news/200715/rgn2007150010-n1.html

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パワハラ防止に向けた法改正
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●女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正

・2019年6月に女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律が公布。

・曖昧であった職場におけるパワハラを定義し、パワハラ防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となった。

・施行期日は2020年6月1日であるが、中小企業は2022年3月31日までは努力義務。

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000584588.pdf

●中小企業の6割が「パワハラ防止対策」義務化を知らず

・来年4月からパワハラ防止対策が義務化される中小企業のうち、61%が自社も対象だと知らなかった。

・中小企業への対象拡大が迫る中、既に防止措置を講じている企業が35%と低迷しており、周知や啓発に課題が残る。

・来年4月からの義務化を知っていたのは39%で、規模が小さいほど認知度が低かった。

・義務化を知る企業の中でも対策実施率は53%で、義務化を知らない企業の対策実施率は24%にとどまる。

https://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/202105/0014329081.shtml

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自治体のハラスメント防止対策
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●市のサイトで来春からの防止対策義務付けを広報(兵庫県丹波篠山市)

・職場におけるパワーハラスメントの防止対策も義務付けを、「雇用・就業」のページで告知。

・厚生労働省HPのリンクを張り付けたり、県の相談窓口を載せるなど、情報のワンストップ化。

https://www.city.tambasasayama.lg.jp/soshikikarasagasu/shokosinkoka/3/13797.html

●ハラスメント防止条例に首長や議員を追加(東京都狛江市)

・東京都狛江市は、2013年に「狛江市職員のハラスメントの防止に関する規則」と、運用のための「狛江市職員ハラスメント指針」を制定。

・2018年に市長による一般職員に対するセクハラが発覚、市の内部調査でもセクハラ行為が確認された。

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/4773.html

・ハラスメント防止規則と指針は一般職員が対象で、特別職や議員は含まれておらず、真相解明に時間を要する結果となった。

・2018年6月に条例の対象を特別職に拡大するとともに、第三者委員会の設置や調査結果の公表などを盛り込んだ。

https://kpress.weblogs.jp/news/2018/06/komae_gikai.html

・第3条において、市長,副市長、教育長等を含む職員と議員の両方に対して責務を課している。

https://www.city.komae.tokyo.jp/index.cfm/49,94453,c,html/94453/20180629-150236.pdf

●議員による職員に対するハラスメントに関する条例(東京都世田谷区)

・2021年7月の世田谷区議会定例会において、議員提出により制定された。

・議員による議員の地位を利用した職員に対するハラスメント行為を防止する等を目的。

・議員の責務、プライバシーの保護、ハラスメントの防止、議会の措置などを明記。

https://www.city.setagaya.lg.jp/kugikai/009/d00192615.html

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チェックポイント詳細
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●企業のハラスメントの防止対策

・労働局におけるハラスメントの実態把握はできているか。

・中小企業へのハラスメントの防止対策義務化の告知は行っているか。

●自治体におけるハラスメントの防止対策

・庁内のハラスメントの実態把握はできているか。

・職員への研修体制はどうなっているか。

●ハラスメント防止条例

・政治倫理条例で規定する政治倫理基準にハラスメントの記載はあるか。

・職員のハラスメントの防止等に関して、単独条例を制定しているか。

・市長などの特別職および議員も対象とした条例はあるか。

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さらなる調査のためのリンク集
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厚生労働省:職場におけるハラスメントの防止のために
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

厚生労働省:女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html

総務省地方公共団体におけるパワーハラスメント対策の取組状況について
https://www.soumu.go.jp/main_content/000749096.pdf

【労働】働き方改革で2019年より公務員の時間外勤務にも上限(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5855/

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