【コロナ】一人10万円の給付金を、いかに早く確実に届けるか(国政情報)

<概要>

●特別定額給付金は、市町村が郵送申請とオンライン申請の事務を担当

●国は補正予算可決を待たずに自治体議会への補正提案を要望

●DV被害者は避難先でも受け取りが可能

●生活保護受給者は支給されても保護費から差し引かれない

●申請期間は3ヶ月と短く、未申請が発生する危険性

●国の書式を待たずに独自の申請書を郵送し、連休明けに給付する自治体も

●リーマンショック時の定額給付金のトラブルや相談の確認が必要

<チェックポイント>

●特別定額給付金の予算審議

●支給の体制整備や予定支給時期

●過去(2009年)の定額給付金事業の振り返り

<掲載事例>

●福島県相馬市、宮崎県都城市、宮城県東松島市

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国が示す特別定額給付金10万円の支給方法
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●10万円の特別定額給付金は市町村が窓口に

・国は4月17日、「収入減世帯への30万円支給」を撤回し、「一人10万円支給」を発表。

・市町村が窓口となり申請受付や給付事業を実施する。

・総務省は補正予算に対応した4月7日通知を一部変更し、4月20日に再度通知。別添資料2から特別給付金(仮称)事業の実施の注意点を知らせる。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000683986.pdf

(7〜10ページ相当)

・総務省はHPでも特設サイトを設置して制度の説明やQ&Aを示す。

https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html

●迅速、非接触、市町村の負担軽減をめざす

・国は自治チャンネルで4月21日に実施した特別定額給付金事業に係る説明会を放映。

https://api01-platform.stream.co.jp/apiservice/plt3/NTA2Ng%3d%3d%23NTA%3d%23280%23168%230%2333E6A0586400%23MDoyOjc6YTpmOzEw%23

・説明会で冒頭に国の姿勢として「迅速、非接触、市町村の負担軽減」をあげた。

・迅速としては準備の加速(準備室などの設置やシステム改修業者との交渉)、
国の補正予算可決を待たずに自治体議会への補正提案を要望した。

・仮に自治体議会の可決が先になっても問題がないことも示す。
例として当初予算が時に国の当初予算より早期に可決する例をあげる。

・感染防止を考慮に入れる必要があり、国は基本的に「郵送申請」と「オンライン申請」を推挙。
ただし、その他にも集落に職員が出向くパターンも示した。

・簡易な手続きのために、郵送の際は必要な情報を先に自治体側で書き込むことを示唆。

・事務費の10/10支給、オンライン関係の国レベルでの対応など市町村の負担軽減も示した。

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DV被害者や生活保護受給者への支給
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・配偶者からの暴力を理由に避難している方は、避難先でも受け取りが可能に。

https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html

・「意思表示をすることが難しい人、手続きに困難が伴う一人暮らしの高齢者や障害者」は記載なし。
無戸籍の方への対応も課題。

http://www.mayors.or.jp/p_opinion/o_teigen/2008/11/201128comment.php

・生活保護受給者に対しても支給され、収入として認定しない(保護費から差し引かれない)と4月21日に通知。

https://www.mhlw.go.jp/content/000623584.pdf

・各自治体でもリーマンショック時の給付金の課題、特に相談事例の振り返りが必要。

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申請期間は3ヶ月で、未申請が発生する危険性も
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・給付対象は4月27日時点の住民基本台帳登録者。

https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html
(小見出し4つ目)

・2009年の定額給付金は2月1日時点の住民基本台帳登録者が対象だったが、
全ての自治体が支給開始したのは5月28日、ほぼ全て世帯への支給できたのは翌年3月31日だった。

https://www.city.kodaira.tokyo.jp/shihou/010/010798.html

・高知市長は迅速な一律支給をめざすが、支給は6月末~7月初めと語る。

https://news.yahoo.co.jp/articles/04aa548cce5335b42f39f6dfa39d119ec8a36952

・今回の申請期限は、郵送申請方式の申請受付開始日から3か月以内となり、
前回の6カ月より短いため申請漏れ発生の危険がある。

https://japan.cnet.com/article/35152696/

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迅速な支給を目指す自治体の対応
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●補正予算の早期成立で5月7日に給付開始(福島県相馬市)

・4月27日に関係費用を盛り込んだ補正予算が成立する見通し。

・総務省が申請書の正式な様式を示すのを待たず、独自の申請書を同日中にも発送。

・すぐに返送した市民は、連休明けには給付金を受け取れるようにする。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/202004/CK2020042402000151.html

●マイナンバーカードで5月7日に給付開始(宮崎県都城市)

・補正予算が成立次第、大型連休明けの5月7日にも給付ができるよう準備。

・オンライン申請に必要なマイナンバーカードの普及率がおよそ34%と全国の市や区ではトップ。

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3961803.html

●推進室を設置して早期支給を目指す(宮城県東松島市)

・給付金交付推進室を設置し、10人の専属職員と新たに数人の臨時職員を採用。

・ゴールデンウィーク中に臨時議会を開いて関連予算を提案。

・支給対象者は3万6000人で39億6000万円を見込む。

https://www.kahoku.co.jp/special/spe1000/20200423_14.html

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今後の課題は申請実績や経済波及効果
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・内閣府は2009年の定額給付金支給について2010年にアンケート調査を発表。
1世帯あたりの定額給付金からの消費が64.5%であることなどを指摘。

https://www5.cao.go.jp/keizai3/kyufukin.html

上記の分析はアンケートという主観的なものであり、調査期間も限定的であることから再び家計調査をもとに分析し、2012年4月に内閣府が発表。

・2012年4月に内閣府が家計調査を分析したところ、消費は64.5%より増えており、
累積で受給額の25%に相当する消費増加効果(支給額の1.25倍)があったとまとめた。

https://www5.cao.go.jp/keizai3/2011/04seisakukadai08-0.pdf
(23ページ)

・97.7%の世帯で申請済みと報告され、その後の所得制限付きの給付金に比べて高い水準。

https://www5.cao.go.jp/keizai3/2011/04seisakukadai08-0.pdf
(2ページ)

・今回の特別定額給付金に対しても一定の時期に検証が必要。

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チェックポイント詳細
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●特別定額給付金の予算審議

・臨時議会はいつ開催するか。

・専決処分になる可能性はあるか。

●支給の体制整備や予定支給時期

・準備室の設置など、特別の職員体制は予定しているか。

・申請開始時期と最短の支給時期はいつ頃を想定しているか。

・申請もれや申請忘れをどう防ぐか。

●過去(2009年)の定額給付金事業の振り返り

・当時の職員体制と申請・相談件数はどうだったか。

・トラブル、相談事例は記録に残しているか。

・最終月の駆け込み申請など、申請率と月ごとの申請状況はどうだったか。

・効果について自治体独自の検証を行ったか。

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さらなる調査のためのリンク集
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【経済】過去の経済対策を検証し、飲食業などに細やかな支援を(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5616/

広報みたか 定額給付金・子育て応援特別手当特集号(東京都三鷹市)
https://www.city.mitaka.lg.jp/koho/2009/20090329/p1.htm

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