<概要>
●高齢ドライバーは増え続け、ブレーキの踏み間違いも多い
●免許の自主返納は2019年がピークで2020年は減少
●国は免許更新時に認知機能検査を実施、今後は実車試験も追加
●安全運転サポート車(サポカー)限定免許を創設、補助金も残りわずか
●高齢ドライバーの事故を防ぐ自治体の取り組み
<チェックポイント>
●高齢ドライバーによる交通事故の現状と対策
●高齢ドライバーの運転能力向上
●高齢ドライバーの限定運転と免許返納
<掲載事例>
●滋賀県、福井県
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池袋暴走事故、増え続ける高齢ドライバー
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●池袋暴走事故で高齢男性が無罪を主張
・2019年4月、東京・池袋で87歳の男性が運転する車に通行人が次々とはねられ、母子2人が亡くなった。
・裁判で男性は「ブレーキを踏んだのに減速せず加速した」と無罪を主張。
・「自身の認知機能や運動機能については問題なく、免許返納を先延ばしにしていたという意識は無い」と述べた。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/100570/1
●高齢ドライバーは増え続け、ブレーキの踏み間違いも多い
・運転免許を持つ高齢者は増え続け、2019年の75歳以上の免許保有者数は、2009年と比較して1.8倍になった。
・一方で免許人口10万人あたりの死亡事故件数は減り続け、2019年の10万人あたり件数は209年から半減している。
・ブレーキとアクセルの踏み違いによる死亡事故は、75歳未満が全体の0.5%に過ぎないのに対し、75歳以上の高齢運転者は7.0%と高い。
https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r02kou_haku/zenbun/genkyo/feature/feature_01_3.html
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免許返納は2019年がピーク、高齢者にデメリットも
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●免許の自主返納は2019年がピークで2020年は減少
・運転免許の自主返納は、池袋暴走事故のあった2019年に60万件まで増えたが、2020年は55万件に減少。
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/menkyo/r02/r02_main.pdf
(18ページ)
・返納しない理由は、買い物が65.0%、遊びが56.9%、荷物の運搬が45.3%、家族の送迎が39.4%と移動手段の確保が課題。
https://s.response.jp/article/2018/06/13/310809.amp.html
・移動手段を確保するために、各自治体は免許返納者にバスやタクシー料金の割引を行うなど特典を用意。
http://www.zensiren.or.jp/kourei/return/relist.html
・高齢者が運転能力の低下を自覚するために、運転者適性診断の受診も有効。
https://www.nasva.go.jp/fusegu/tekiseigaiyou.html
●免許返納で移動や介護のデメリットも
・全国の市町村が、高齢者に対するコロナワクチンの接種を急ぐ中で、高齢者の移動問題が浮彫りに。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=67950?site=nli
・免許返納後に無免許運転で事故を起こす高齢者も相次ぐ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57386780Q0A330C2CE0000/
・「運転をやめた高齢者が要介護状態に陥るリスクは、運転を続けている高齢者の約8倍になる」という調査結果も。
https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no464/
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免許更新時の検査やサポカーなど国の法改正
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●免許更新時の認知機能検査
・2017年から、高齢者の免許更新の際に、認知機能検査が実施されるようになった。
・75歳以上は高齢者講習の前に認知機能検査を行い、その後の適性検査や医師の診断で認知症とされると免許を取り消し。
http://www.zensiren.or.jp/kourei/flow/flow.html
●今後は運転技能検査(実車試験)も追加
・2020年の道路交通法改正で、75歳以上で一定の交通違反歴がある者は、運転免許証を更新する際に運転技能検査が義務づけられる予定。
・この実車試験は、更新期限の6か月前から繰り返し受検することができるが、不合格の場合は運転免許証を更新できない。
https://www.jtsa.or.jp/new/koutsuhou-kaisei.html
●安全運転サポート車(サポカー)限定免許
・2020年の道路交通法改正では、運転免許の条件付与等の規定も整備された。
・自動ブレーキやペダル踏み間違い防止装置などを備えた安全運転サポート車(サポカー)に限って運転できる免許が創設される予定。
https://www.jtsa.or.jp/new/koutsuhou-kaisei.html
●サポカー補助金の予算も残りわずか
・65歳以上を対象に、サポカー購入に最大10万円、後付けペダル踏み間違い防止装置に最大4万円を補助する「サポカー補助金」も始まっている。
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/sapoca_hojokin/support-car_about.pdf
・既に補助金の8割が使われており、後付け装置は7月、サポカー購入は9月に補助金が打ち切られる見通し。
http://www.cev-pc.or.jp/support-car/yosan.html
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高齢ドライバーの事故を防ぐ自治体の取り組み
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●運転技能自動評価システムを講習や分析に活用(滋賀県)
・滋賀県警は2021年4月、運転技能自動評価システムで高齢者の運転を分析。
・頭と右足に着けたセンサーと車に付けたGPSで、ドライバーの動作の癖を判定する仕組み。
・高齢になるほど左右の安全確認の角度や回数が減り、一時停止の停止率も低いことが判明。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2104/22/news039.html
・滋賀県警では65歳以上を対象に、2018年からシステムを使った講習も開催している。
https://www.city.omihachiman.lg.jp/material/files/group/106/2021-5-1-p2~7.pdf
(6ページ)
●高齢者が夜間や雨天の運転を控える「限定運転」(福井県)
・「限定運転」とは、運転技能が低下した高齢者が自ら、運転する時間帯や場所などを限定して、安全運転を続けていただく取組み。
・福井県では、自分に合った「限定運転」の宣言項目を選択して安全運転を続けていくため、「限定運転宣言書」を作成。
・夜間、雨の日、長距離、高速道路、通学時間帯など、運転を控える項目を自ら選んで宣言する形式。
・宣言項目は定期的に見直しを行うとともに、運転に不安を感じた場合は、運転免許の自主返納を検討するよう促す。
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kenan/koutuu/genteiunten1.html
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チェックポイント詳細
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●高齢ドライバーによる交通事故の現状と対策
・都道府県内の高齢ドライバーによる交通事故の推移はどうか。
・高齢ドライバーの事故を減らすための政策と、その効果はどうか。
●高齢ドライバーの運転能力向上
・高齢ドライバーのための講習や適正診断を行ってはどうか。
・安全運転サポート車の普及にどのように取り組んでいるか。
●高齢ドライバーの限定運転と免許返納
・夜間や長距離の運転を控える、限定運転の取り組みを行ってはどうか。
・免許返納に対してどのような特典を用意しているか。
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さらなる調査のためのリンク集
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【交通】代わりの足はEV?自動運転?高齢者の免許自主返納(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5385/
サポカー補助金申請ページ(一般社団法人次世代自動車振興センター)
http://www.cev-pc.or.jp/#no04