<概要>
●人事院勧告に伴い、市長や議員の期末手当も引き上げの可能性
●市民生活が苦しい中、コロナ禍における報酬値上げの是非
●開催されない年も多い、特別職報酬等審議会
●報酬だけでなく手当についても審議した事例
●議事録公開、政務活動費も対象とするなど自治体の事例
<チェックポイント>
●人事院勧告の特別職報酬への反映方針
●特別職報酬等審議会の開催
●開かれた特別職報酬等審議会
<掲載事例>
●東京都国立市、高知県高知市、埼玉県和光市
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人事院勧告に伴い、市長や議員の期末手当も引き上げの可能性
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・国家公務員の給与水準を人事院が勧告する2022年度人事院勧告が8月8日に発表、3年ぶりに月例給・ボーナスともに引き上げとする。
https://www.jinji.go.jp/kankoku/r4/pdf/4kosshi_kyuuyo.pdf
(1ページ相当)
・市長や議員の期末手当も、人事院勧告に従い0.1カ月引き上げの可能性が高い。条例提案は首長もしくは議会から行われ、12月議会で議論される。
・月例給アップの勧告部分は、初任給及び若年層の俸給月額値上げであり、月額報酬には反映されない見込み。
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市民生活が苦しい中、コロナ禍における報酬値上げの是非
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・コロナ禍・物価高において市民の生活は苦しく、民間給与との連動とはいえ、首長や議会の報酬を値上げすることには市民の理解が不可欠。
・かつては一般職の条文をそのまま持ってくる「スライド制」を採用し、自治体職員と連動して自動的にアップするために審議会や議会の審議に付さない事例がみられた。
・これは1973年12月の国の通知で「かかる方式を採用することがないように」と釘をさされている。
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/229543.pdf
・人事院勧告や、都道府県の人事委員会勧告の対象は、あくまで一般職の公務員。
https://www.jinji.go.jp/kyuuyo/index_pdf/shikumi.pdf
https://www.pref.saitama.lg.jp/e1901/kyuuyo-seido/index.html
・特別職の報酬は職に対する職務給の性質をもち、生活給を考慮する人事院勧告に連動する必然性はない。
・市長や議員の報酬改定は、市民の意見を聞きつつ、最終的に各自治体と議会の判断になる。
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市長や議員の報酬を議論する特別職報酬等審議会
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●開催されない年も多い、特別職報酬等審議会
・自分たちで自分たちの報酬を決める、お手盛りの議論を避けるために、市長や議員の報酬改定の時に設置する第三者機関が特別職報酬等審議会。
・しかしながら、「任期2年の間に一度」「報酬のみ」となっている標準規則案(準則)をもとに横並びで条例化。
・そのため、審議の形骸化が目立ち、開催されない年が続く審議会もある。2022年度の開催予定や議論について確認が必要。
https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000300229.pdf
●報酬だけでなく手当についても審議した事例
・審議状況の公開や議事録公開、あるいは市民を公募する開かれた報酬等審議会はきわめて少数。
・今年は期末手当だけアップとなる可能性が高いが、その場合は「審議会は開催しない」「議論の対象としない」という自治体が多い。
・東京都国立市では2020年に議員の適正な期末手当の支給割合の考え方について、「所掌事項外」としつつも議論を行い、回答を実施。
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議事録公開、政務活動費も対象とするなど自治体の事例
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・高知県高知市は、特別職報酬等審議会を毎年開催すると条例に明記。
・また、市議会の政務活動費の額も審議の対象として、資料や議事録も公開。
https://www1.g-reiki.net/city.kochi/reiki_honbun/r401RG00000278.html
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/110301/housyuusinngikai.html
・埼玉県和光市は、特別職報酬等審議会委員に市内在住の18歳以上を3人以内で公募。
http://www.city.wako.lg.jp/home/shisei/shokuin/_5853/gyo_machi_3_1_007/houshuu.html
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チェックポイント詳細
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●人事院勧告の特別職報酬への反映方針
・人事院勧告の内容をどこまで特別職報酬へ盛り込む予定か。
・特別職の報酬を一般職と連動させるスライド制をとっていないか。
●特別職報酬等審議会の開催
・近年の開催状況と、不開催だった場合の理由は何か。
・過去に審議会の答申を受けて、どう報酬の額などを条例化したか。
・期末手当も議論の対象にすべきではないか。
・政務活動費も議論の対象としてはどうか。
●開かれた特別職報酬等審議会
・会議や議事録を公開してはどうか。
・審議会の委員を市民から公募してはどうか。
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さらなる調査のためのリンク集
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【人事】人事院勧告の論点(1)3年ぶりのプラス改定、会計年度任用職員は?(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6901/
【人事】人事院勧告は期末手当0.15カ月マイナス!首長や議会の報酬は?(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6486/
【給与】人事院勧告を受けた期末手当の減額、11月議会における論点(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5942/