<概要>
●緊急経済対策は大半が融資枠の拡大や税金の猶予で、補正予算額は16.8兆円
●収入が半減した企業には200万円、個人事業には100万円、世帯には30万円
●自治体が行う保険料免除や無利子融資を国が全額負担
●家賃補助の相談窓口や保健所の体制強化が必要になる
●出前のポイント還元や内定取り消し学生の雇用など、自治体の独自策
<チェックポイント>
●収入が減った世帯の保険料免除
●住宅確保給付金の対象拡大
●国が金利を補填する無利子・無担保の制度融資
●保健所業務の人員強化
●自治体独自の経済・雇用対策
<掲載事例>
●大阪府、東京都
●兵庫県神戸市
●愛媛県松山市
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緊急経済対策の補正予算額は16.8兆円
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・2020年4月7日、政府は「108兆円」の緊急経済対策を閣議決定。
・このうち20兆円は昨年末の補正予算がまだ実行されていない分で、2兆円は2〜3月の緊急経済対策。
・45兆円は融資・保証枠の拡大、26兆円は税や保険料の猶予で、現金給付は6兆円。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-07/Q8CMC1T1UM1401
・新たに国や自治体が財政支出するのは29兆円で、今回の補正予算は16.8兆円。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200407/k10012373231000.html
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緊急経済対策と補正予算の主な中身
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●収入が激減した世帯に30万円の給付金
・2~6月のいずれかの月収をそれ以前と比べ、年収換算で住民税の非課税水準まで減少した世帯か、
収入が50%以上減って年収換算で住民税非課税水準の2倍以下となる世帯が対象。
・世帯主の収入が対象なので、配偶者の収入が激減しても給付されない。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020040801141&g=eco
●収入が半減した中小企業に200万円、個人事業主に100万円の給付金
・前年同月比で売り上げが半減した月が年内に1ヶ月でもあれば給付。
・政府は早ければ5月中に給付を始めたい考え。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200408/k10012374071000.html
●児童手当を1万円追加
・児童手当を受給している世帯には子ども1人当たり1万円を、1回限りで追加給付。
・世帯主の年収が960万円を超えないことが条件で、月額5千円の特例給付を受けている高所得世帯は除外。
https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2020040602000060.html
●企業が支払う休業手当を最大9割まで助成
・4月〜6月を緊急対応期間として、休業手当を助成する雇用調整助成金を拡充。
・解雇を行わない中小企業は9割、大企業は3/4まで助成率を引き上げ。
・「雇用保険加入6ヶ月以上」の条件を撤廃し、新入社員や雇用保険に入っていないパートも対象に。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20200407.html
●税や保険料の納付を1年間猶予
・2月以降に収入が前年同月比で20%以上減った月がある、企業やフリーランスを含む個人事業主が対象。
・延滞金は不要で、年金や健康保険料も同様に猶予される。
・2月〜10月のうち3ヶ月以上、前年の同時期より売り上げが大幅に減ったら固定資産税や都市計画税も減免。
・売り上げ3〜5割減の場合は2021年度分が半額免除、売り上げが5割以上減ったら全額免除。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200407/7000019930.html
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緊急経済対策を受けて、自治体で検討すべきこと
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●保険料の免除を行う自治体を国が財政支援
・コロナで収入が減った世帯の国民健康保険料や介護保険料を減免する市町村に、国が全額を財政支援。
・収入が前年より3割以上減った世帯について、前年の所得に応じて保険料を2割〜10割減免。
https://www.mhlw.go.jp/content/000620361.pdf
(3〜4ページ)
●収入が減ったフリーランスやアルバイトにも家賃補助
・住宅確保給付金の支援対象が、これまでの「離職・廃業してから2年以内の人」から大幅に拡大。
・離職・廃業に近い水準まで収入が減った人も対象となり、フリーランスやバイト
中でも家賃の3/4が給付される。
・4月20日の施行日前後には多くの相談が予想されるが、相談体制の強化には既存の補助金も使える。
https://www.mhlw.go.jp/content/000620018.pdf
(1〜4、12、14ページ)
●国が金利を補填する無利子・無担保の制度融資
・国が民間金融機関の金利分を補填することで、借り手企業の利子負担が3年間ゼロになる。
・大阪府や神奈川県は、国の対策に合わせて新しい制度融資をつくることを検討。
・都道府県で予算の作成が必要になり、融資が実際に始まるのは多くの自治体で来月以降に。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200408/k10012374111000.html
●現金給付を担う自治体の負担軽減
・政府は現金給付の事務を担う自治体の負担を軽減する対策を検討。
・自治体の窓口に申請者が多く訪れて感染が拡大することがないよう、インターネット申請も検討。
●保健所業務の人員強化
・厚生労働省は保健所を所管する自治体に、保健所の体制強化を要請。
・相談センターの外部委託やOBの活用も促し、人件費など必要経費を国が支援。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20200406/1000046826.html
●新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金
・地域経済の回復を後押しするため、幅広く使える交付金を創設し1兆円を計上。
・自治体の人口や感染状況などを基に配分額を算定し、自治体に配られるのは夏以降。
・配分対象は、コロナ対策の実施計画を作った都道府県と市町村。
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200409/mca2004090500007-n1.htm
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自治体のアイディアと決断で可能な経済対策
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●出前にポイント還元で、外出自粛を促しつつ外食産業を支援(大阪府)
・飲食店の出前代行業者が500円のポイント還元をしたら、その半額を補助。
・外出自粛をサポートしつつ、飲食店の売り上げアップにもつながる。
・事業費1億5千万円を補正予算に計上し、5月6日まで行う予定。
https://www.asahi.com/articles/ASN4954V6N49PTIL00R.html
●内定取り消しの学生を会計年度任用職員として採用(兵庫県神戸市、東京都)
・コロナによる業績悪化で内定取り消しになった学生100人を、会計年度任用職員として採用。
・任期は2021年3月末までで年収300万円程度。
https://kobe-journal.com/archives/9736757965.html
・東京都も同様に非常勤職員を採用する方針。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20200409/1000047123.html
●児童扶養手当を前倒し支給、補助金申請の専門家費用も補助(愛媛県松山市)
・2ヶ月に一度の児童扶養手当の支給日を前倒しして、ひとり親家庭の資金繰りを支援。
・国の雇用調整助成金の申請手続きを代行する社会保険労務士の費用も補助。
・併せて、国の助成金に1/10の上乗せ補助も行う。
https://www.ehime-np.co.jp/article/news202004090032
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チェックポイント詳細
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●収入が減った世帯の保険料免除
・現在、自治体としてどのような保険料免除を行っているか。
・政府の全額補助を見込んで、新たな免除制度を作ってはどうか。
●住宅確保給付金の対象拡大
・住宅確保給付金の対象拡大を、対象者となり得る方にどう伝えるか。
・4月20日に向けて相談体制を早急に強化すべきでないか。
●国が金利を補填する無利子・無担保の制度融資
・国の対策に合わせて新しい制度融資メニューを作ってはどうか。
・融資を一刻も早く始めるために、予算策定を急ぐべきではないか。
●保健所業務の人員強化
・現在、保健所の人員体制をどのように強化しているか。
・相談センターの外部委託やOBの活用なども検討すべきではないか。
●自治体独自の経済・雇用対策
・出前にポイント還元を行い、外出自粛を促しつつ外食産業を支援できないか。
・コロナによる業績悪化で内定取り消しになった学生を、自治体として雇用できないか。
・国の助成金上乗せや、助成金申請を代行する専門家の費用も補助できないか。
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さらなる調査のためのリンク集
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新型コロナウイルス感染症緊急経済対策全文(閣議決定)
https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2020/20200407_taisaku.pdf
令和2年度補正予算の概要(財務省)
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/sy020407/hosei020407b.pdf
厚生労働省補正予算
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000619775.pdf