【感染症】コロナ蔓延期に向けて、自治体が準備すべきこと(国政情報)

<概要>

●コロナ緊急事態宣言で都道府県知事に強い権限が与えられる

●現在はコロナ蔓延期に向けて医療提供体制を整える準備期間

●厚労省は患者数のピークを3ヶ月後と想定し、患者数の計算式を公表

●蔓延期には一般の医療機関でも外来・入院患者を受け入れる

●救急体制や搬送体制の事前協議が必要

●在宅患者の見回りや食事提供、臨時の病院設置も想定しておく

<チェックポイント>

●ピーク時の患者数の想定

●蔓延期に向けた医療体制の準備

●蔓延期の対応

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コロナ緊急事態宣言で都道府県知事に強い権限
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・新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案が2020年3月13日に成立し、14日から施行の見通し。

・新型コロナが感染拡大した場合、政府が「緊急事態」を宣言できるようになる。

・緊急事態宣言を発令すれば、全国一斉の臨時休校や大規模イベントの自粛などの法的な裏付けに。

・都道府県知事が、不要不急の外出の自粛要請、映画館や運動施設などの使用停止の要請・指示、
臨時の医療施設を設置するために土地や建物の所有者同意なし使用、医薬品などの強制収用を行う。

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200310-OYT1T50144/

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厚労省は患者数のピークを3ヶ月後と想定
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●現在は医療提供体制を整える準備期間

・2月25日に政府が定めた「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」では、
今は「患者数が大幅に増えた時に備え、重症者対策を中心とした医療提供体制等を整える準備期間」

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000599698.pdf
(1ページ)

・厚生労働省は3月6日、「新型コロナウイルスの患者数が大幅に増えたときに備えた医療提供体制等の検討について」を通知。

https://www.mhlw.go.jp/content/000605276.pdf

・具体的な数式を使ってピーク時の患者数を計算するよう、都道府県と保健所設置市と特別区に要請。
(3ページ)

●ピーク時の患者数とピーク時期

・数式で概算すると、人口1万人あたり、ピーク時の外来患者は34人、入院患者は18人、重症患者は0.6人。

・ピーク時は、疫学的関連性が把握できない程度に感染が拡大した時点から概ね3か月後に到来する。

・公衆衛生上の対策を行うことにより、ピークが下がるとともに時期が後ろ倒しされる。

・国内各地では、既に感染経路を特定できない患者が多数発生している。

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蔓延期に向けて自治体が準備すべきこと
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・3月6日通知では、厚生労働省が3月1日に発した以下の通知を参考に、準備を進めるよう依頼。

地域で新型コロナウイルス感染症の患者が増加した場合の各対策の移行について
https://www.mhlw.go.jp/content/000601816.pdf

・その中で、特に自治体が準備すべきことを抜き出すと以下の通り。

●一般の医療機関でも感染者を診療

・一般の医療機関において、感染が疑われる方の受診時間をずらしたり待合室を別にするなど、
必要な感染予防策を講じた上で外来診療を行う準備。

・感染が疑われる方の外来診療を原則として行わない医療機関(透析医療機関や産科医療機関など)を設定して周知。

・救急外来を設置していない医療機関に対しても、診療時間の延長や、夜間外来を輪番制で行うことを求める。

・慢性疾患を有する定期受診患者が継続的な医療・投薬を必要とする場合に、
電話やITを用いて診療し、ファクスで処方箋情報を送付する体制の準備。

●必要な病床の確保

・感染症指定医療機関に限らず、一般の医療機関の一般病床も含めて、
他の患者等と空間的な分離を行うなど一定の感染予防策を講じた上で、必要な病床を確保。

・集中治療を要する重症者を優先的に受け入れる医療機関を設定。

●関係団体との協議

・都道府県を中心に、管下の市区町村、地域の医療機関や消防機関等の関係者間において、
新型コロナウイルス感染症の重症患者が発生した場合の搬送体制を早急に協議して合意。

・新型コロナウイルス感染症対策について協議するため、都道府県を単位として、
市区町村、医師会・薬剤師会・看護協会、医療機関、薬局、消防等の関係者や専門家からなる協議会の設置。

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蔓延期になったらどうするか
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・3月6日通知では、2013年に制定された新型インフルエンザ等対策政府行動計画も参考にするよう依頼。

新型インフルエンザ等対策政府行動計画
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/keikaku/pdf/h29_koudou.pdf

・その中で、特に自治体が準備すべきことを抜き出すと以下の通り。

●緊急事態宣言で対策本部を設置

・市町村は、緊急事態宣言がなされた場合、速やかに市町村対策本部を設置する。
(62ページ)

・新型インフルエンザ等の患者の診療を行わないこととしている医療機関等を除き、
原則として一般の医療機関において新型インフルエンザ等の患者の診療を行う。

・医療機関の従業員の勤務状況及び医療資器材・医薬品の在庫状況を確認し、
新型インフルエンザ等やその他の疾患に係る診療が継続されるように調整する。
(66ページ)

●在宅患者の見回りや、臨時の病院設置も

・市町村は、患者や医療機関等から要請があった場合には、
在宅で療養する患者への支援(見回り、食事の提供、医療機関への移送)や自宅で死亡した患者への対応を行う。

・都道府県等は、区域内の医療機関が不足した場合、患者治療のための医療機関における定員超過入院のほか、
在宅療養を行うことが困難な患者に対して医療を提供するため、臨時の医療施設を設置する。
(67ページ)

・都道府県、市町村は、生活関連物資等の価格の高騰又は供給不足が生ずるおそれがあるときは、
それぞれその行動計画で定めるところにより、適切な措置を講ずる。
(69ページ)

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チェックポイント詳細
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●ピーク時の患者数の想定

・厚生労働省の数式を用いて、ピーク時の患者数を計算しているか。

・都道府県のピーク時の患者数と、そこから想定した自治体内の患者数を把握しているか。

・自治体のコロナ対策計画に、ピーク時の患者数が反映されているか。

●蔓延期に向けた医療体制の準備

・一般の医療機関で感染者の外来や入院を受け入れる準備をしているか。

・感染者を受け入れない医療機関と、重症患者を優先的に受け入れる医療機関を設定しているか。

・医療機関や消防機関と、重症患者の搬送体制を協議しているか。

●蔓延期の対応

・医療機関の従業員の勤務状況や医療資器材・医薬品の在庫状況を確認しているか。

・見回りや食事の提供など、在宅患者への支援体制をどうするか。

・定員超過入院や臨時の病院設置についてどのように想定しているか。

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さらなる調査のためのリンク集
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自治体・医療機関・社会福祉施設等向けの情報(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00088.html

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