【障害福祉】自治体に求められる障がい者雇用(国政情報)

<概要>

●中央省庁から発覚した障害者雇用の水増しは地方にも波及

●障がい者雇用を国、地方に求める法案が国会に提出

●地方自治体でも障害者活躍推進計画を作成・公表し、自治体内で障がい者雇用を進めることが求められる

●障がい者雇用が進まない理由には「適した業務がない」「応募がない」が多い

●精神障害者を対象とした採用拡大に踏み切る自治体も増えている

<チェックポイント>

●法定雇用率の達成状況と、水増しの有無

●自治体が障がい者雇用を拡大するための具体策

●障害者が働きやすい職場環境づくり

<掲載事例>

●福岡県、神奈川県、佐賀県

●福岡県福岡市、神奈川県川崎市、兵庫県神戸市

●東京大学先端科学技術研究センター

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ニュースの整理、法案の内容
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●中央省庁の障がい者雇用の水増し

・中央省庁が障害者の雇用者数を水増ししていた問題で、各省庁を再点検した結果、計3,460人分が国のガイドラインに反して不正に算入。

・障害者数の約半分が、水増しだった。

・多くの省庁が手帳などを確認せず、障害者として組み入れていた。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO34663670Y8A820C1MM0000?s=0

●地方自治体でも水増しが発覚

・全国の自治体を対象に平成30年6月1日時点の雇用数を再調査した結果、計3809.5人の不適切な算入があった。

・全体の平均雇用率は従来の2.40%から2.16%に低下。

・教育委員会が全体の6割を占め、平均雇用率は1.85%に下がり、当時の法定雇用率2.2%を下回った。

https://www.asahi.com/sp/articles/ASLBQ5641LBQUBQU00Z.html

●障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律

・令和元年6月7日に国会を通過、令和2年4月1日より施行。

・国・地方自治体の責務として、自ら率先して障害者を雇用する。

・国・地方自治体は、障害者活躍推進計画を作成し、公表。

・国・地方自治体・民間の事業主は、障害者雇用率の算定対象となる障害者の確認に関する書類を、保存しなければならない。

・障害者雇用率の算定対象となる障害者であるかどうかの確認方法を明確化。

https://www.mhlw.go.jp/content/000501139.pdf

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障がい者雇用が進まない理由、自治体の取り組み事例
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●障がい者の採用における課題

・民間企業を対象としたアンケートでは障がい者の採用における課題として、「雇用したい人材が見つからない」(32.8%)、
「社内に担ってもらうポジションや仕事がないこと」(29.5%)が多い。

・国や地方自治体でも同じ課題を抱えていると思われる。

・障害者に適した業務の選定や、対象となる障害者への効果的な求人の出し方などを考えながら、障害者活躍推進計画を策定、実施する必要。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000500.000001264.html

●法定雇用率を達成している福岡県、福岡市の事例

・中央省庁や地方自治体で障害者の雇用数水増しが明らかとなる中、九州で有数の職員数を誇る福岡県と福岡市は、法的雇用率をクリア。

・その背景は、障害のある職員を交えた意見交換会や幅広い職場への配置といった「特別ではないが地道な工夫」で、
役所全体の意識改革を目指す姿勢を10年以上前から行っていること。

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/468141

●精神障がい者を対象とした採用の拡大

・民間企業による精神障害者の雇用が急速に進む中、自治体でも精神障害者の採用を広げる動き。

・神奈川県はこれまで身体障害者のみが対象となっていた県職員採用選考を、精神障害者と知的障害者にも拡大。

・佐賀県でも県職員の障害者別枠採用を、精神障害者と知的障害者に拡大することを検討。

https://challenge.persol-group.co.jp/lab/news/news009/

・法定雇用率にはカウントされないが、川崎市は障がい者の短時間雇用を創出する取組を始めている。

http://www.city.kawasaki.jp/350/cmsfiles/contents/0000093/93182/tanjikan.pdf

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チェックポイント詳細
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●法定雇用率の達成状況と、水増しの有無

・障がい者雇用の現状と、法定雇用率の達成状況はどうなっているか。

・障がい者雇用について、水増しは実際にあったか。その原因はなにか。

●障害者雇用を拡大するための具体策

・今後の自治体の障がい者雇用の推進に向けて、どのような施策を検討しているか。

・水増し全体の6割(地方自治体全体の数字)を占め法定雇用率を下回った教育委員会について、
特にどのような工夫をして障害者雇用を増やしていくか。

・障害者に適した業務の選定や、対象となる障害者への効果的な求人の出し方に工夫はできないか。

・全盲の職員が特定経路・窓口対応・ホームページの使い勝手をチェックしたり、
車椅子の職員が他の自治体の障害者施策を体験したりというように、障害のある職員による障害者政策の推進が考えられないか。

・精神障がい者等への採用拡大と、そのための受け入れ準備をすべきでないか。

●障害者が働きやすい職場環境づくり

・職員を交えた意見交換会や幅広い職場への配置など、地道な取り組みが必要ではないか。

・役所全体の意識改革を、どのように行っていくか。

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さらなる調査のためのリンク集
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障がい者雇用のお役立ち情報サイト
https://challenge.persol-group.co.jp/lab/

公務員正職員採用 35道府県が「身体」障害者に限定
https://mainichi.jp/articles/20181126/k00/00m/040/117000c

障がい者の就職促進 自治体の事例
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000054436.html

神戸市の障害者短時間雇用創出プロジェクト
http://www.city.kobe.lg.jp/life/livelihood/kobejobport/common/pdf/shorttime.pdf

川崎市や神戸市と障害者短時間雇用創出プロジェクトで提携している、東京大学先端科学技術研究センター
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z0508_00009.html

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