【広報】自治体のLINE活用(2)きめ細かい情報発信と、問い合わせ対応の自動化(政策アイデア)

<概要>

●政府機関・地方公共団体等におけるLINE利用のガイドライン

●LINE社が自治体に提供する様々な機能

●LINEで情報発信や申請手続きをする自治体の事例

●チャットボットによる問い合わせ対応の自動化

<チェックポイント>

●LINE公式アカウントの取得と活用

●情報発信ツールとしての活用

●利用者からの問い合わせや手続きへの対応

<掲載事例>

●福岡県福岡市

●神奈川県鎌倉市、神奈川県座間市、東京都渋谷区

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政府機関・地方公共団体等におけるLINE利用のガイドライン
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●LINEのセキュリティに対して総務省が指導

・総務省は2021年、LINE株式会社に対して、日本のサーバにある利用者の個人情報へのアクセスが可能となっていた事案に関して、報告を求めた。

・LINE社は、事案の経緯・秘密保護等のために必要な体制の確保・セキュリティ対策・利用者への周知等について報告書を提出した。

・総務省はLINE社に対して、社内システムに関する安全管理措置等及び利用者への適切な説明について、文書により指導を行った。

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban18_01000119.html

●政府は自治体におけるLINE利用のガイドラインを策定

・内閣官房・個人情報保護委員会・金融庁・総務省は連名で、政府機関・地方公共団体等におけるLINE利用のガイドラインを発表した。

・機密性を有する情報や個人情報を取り扱わない場合は、各行政主体におけるLINEサービスの利用は許容される。

・機密性を有する情報や個人情報を取り扱うことは原則禁止で、個人アカウントを用いた業務連絡でも機密性を有する情報等の取り扱いはセキュリティポリシー違反。

・公式アカウントを利用した相談業務や、LINE Payを利用した公金決済などにおいては、適切にセキュリティが確保されたシステムを構築することとしている。

https://www.fsa.go.jp/news/r2/sonota/20210430-3/02.pdf
(3ページ)

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LINE社が自治体に提供する様々な機能
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●LINEによる「スマートシティ推進パートナープログラム」

・LINE社は「持ち運べる役所」を目指し、より利便性の高い行政サービスが提供されるよう、自治体の支援を行っている。

・自治体のDX推進を支援するため、2020年に「LINEスマートシティ推進パートナープログラム」を創設した。

・行政の方々がLINEを活用するために、情報提供・情報共有・相談の場を構築し、自治体間での情報共有ができるコミュニティを設置している。

https://linegov.com/service/partner.php

●窓口・相談・支払いなどLINEで実現できる機能

・LINE社は、LINEの様々な機能を活用することで行政の業務効率を向上させるとともに、ユーザーにとってアクセスしやすい行政窓口を提供できるとしている。

・情報の配信においては、属性や欲しい情報を予め設定することで必要な情報のみを選択的にプッシュ通知で配信できる。

・AIチャットボットを実装することで、ユーザーの質問に対して24時間いつでも自動で回答することができる。

・公共料金や公金の支払いは、決済サービス「LINE Pay」による請求書支払いができる。

・その他、行政手続きのオンライン化や、個別の相談事業をLINEで行うことで、アクセスしやすい行政窓口を提供できる。

https://linecorp.com/ja/csr/activity/government

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LINEで情報発信や申請手続きをする自治体の事例
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●子育て情報やイベント情報を配信(神奈川県鎌倉市)

・鎌倉市は、twitter・facebook・youtubeなどのSNSと同様に、LINEでは公式アカウント・ゴミ調べ・道路損傷等通報システムを設置している。

https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kouhou/socialmedia_list.html

・2019年から開始した「鎌倉市LINE公式アカウント」では、主に子育てに関する情報やイベント情報、市政情報を配信している。

・子どもの年代別の子育て情報や、居住地域別の情報など、欲しい情報を選択することができる。

・メッセージ配信だけでなく、キーワード応答機能を活用して、観光情報・税金・住民票などの情報提供を行っている。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000813.000000183.html

・ゴミと資源の分け方・出し方・収集日・アラーム機能などの情報を発信する「鎌倉ごみ調べ」を独自に運用している。

https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/gomi/kamakuragomisirabe.html

・道路に穴が開いていたり側溝が詰まっているなど、道路施設が損傷している時に、市民から通報してもらうためにLINEシステムを運用している。

https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/roseika/sonsyotuhosystem.html

●LINEで約80もの窓口機能を持たせて、申請手続きなどができる(神奈川県座間市)

・座間市は、LINE公式アカウントに多くの手続きを網羅しており、市民の半数以上が登録するまでになった。

・約80種類の手続きが可能であり、マイナンバーカードをかざして個人認証・決済までワンストップで行うことができる。

https://jichitai.works/article/details/1215

・座間市は、総務省に個人情報の取り扱いについて安全性の確認を求めた上で、申請・届出・申込み・登録・予約などの手続きを受け付けられるシステムを搭載している。

https://www.city.zama.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/553/1112.pdf

・イベント・防災・子育て・スポーツ・環境など、ユーザーが欲しい情報の分野を選択することで、必要な情報がプッシュ配信される。

https://www.city.zama.kanagawa.jp/shisei/koho/hashin/1005095.html

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チャットボットによる問い合わせ対応の自動化
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●チャットボット機能のシナリオデータを他の自治体に無償提供(福岡県福岡市)

・福岡市は、公式ホームページとLINE公式アカウントにチャットボットを導入し、市民が知りたい情報を簡単に入手できるよう運用している。

・2022年12月現在、ゴミ・リサイクル・子育て・証明書・国保年金・引っ越し・税金・窓口の受付時間と混雑状況・電子申請について、利用できる。

https://www.city.fukuoka.lg.jp/shicho/kocho/life/chat-hp.html

・福岡市は、問い合わせチャットボット機能のシナリオデータを、全国の希望する自治体に無償提供する取り組みを開始した。

・提供するシナリオデータは、質問数1,090個、回答数1,778個で、7つのジャンルから構成されている。

・福岡市のノウハウを展開することで、他の自治体の開発コストの低減やDXの推進を後押しする考え。

https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/100302/1/kaiken4_toiawasechatbotkinouscenariodatateikyoukaishi.pdf?20220822124950

・その他、LINEのシステムで粗大ごみ収集の申し込みから支払いまで、オンラインでできるようにしている。

https://www.city.fukuoka.lg.jp/kankyo/kateigomi/hp/LINE-sodaigomi.html

●LINEによるAI自動応答から発展し、多言語対応チャットボットに(東京都渋谷区)

・渋谷区は、LINE公式アカウントを使って、情報提供だけでなく手続きや問い合わせなど広範囲のサービスを提供している。

・申請・予約・通報・パブリックコメント・セグメント情報配信・AI自動応答・周辺施設案内・保育施設検索・モニター登録・図書館サービスなどが利用可能。

https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kusei/koho/line/riyou.html

・AI自動応答サービスは、2017年に子育てやゴミの分別に関する応答から始まったが、2020年から問い合わせの対象範囲を総合分野に拡張した。

・利用者のフィードバックによって回答精度を高めている。

https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kusei/koho/line/line_aichatbot.html

・LINEによるAI自動応答サービスの情報集積を活かして、ウェブサイトにおいてAIチャットボット総合案内へと発展した。

・行政サービスや制度などに関する問い合わせに対し、24時間365日、対話形式で必要な情報を自動で回答を行っている。

・入力されたメッセージの言語を判定し、判定された言語で応答することができ、2022年11月現在、111言語に対応している。

https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kusei/kotyo/ai_chatbot.html

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チェックポイント詳細
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●LINE公式アカウントの取得と活用

・自治体のLINE公式アカウントを取得し、運営しているか。

・情報の管理等について安全性の確保はできているか。

・住民の友だち登録を促進する工夫がされているか。

●情報発信ツールとしての活用

・利用者の属性やニーズに応じたセグメント情報配信ができているか。

・タイムリーな情報提供ができているか。

・イベントや申請などの情報について、プッシュ型の提供をしているか。

●利用者からの問い合わせや手続きへの対応

・LINE公式アカウントで、申請・予約・支払いなど各種手続きをできるようにしてはどうか。

・パブリックコメントや通報など、住民の声や意見を聞くことはできないか。

・チャットボットによって、問い合わせに対する自動応答を導入してはどうか。

・ウェブ上でのAIチャットボットと連携して、回答精度の高いシステム構築をできないか。

・多言語対応ができないか。

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さらなる調査のためのリンク集
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内閣サイバーセキュリティセンター(内閣府)
https://www.nisc.go.jp/

自治体や省庁の公式アカウント(LINE corporation)
https://guide.line.me/ja/covid19/prefecture/

自治体のLINE公式アカウント活用事例(Lステップ)
https://linestep.jp/2022/07/13/line-municipality/#LINE5

【情報】チャットボットによるFAQやAI電話対応など、コールセンター業務の効率化(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6809/

【行革】スマート自治体へ向けAI・RPA、研究段階から導入実践段階へ(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5765/

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