【子育て】保育士の配置基準が少ない!“崖っぷち保育” を改善する自治体独自の配置基準(事例研究)

<概要>

●虐待、バス置き去りの背景として保育士の慢性的な忙しさ

●保育士の配置基準は30人に1人で、さらに緩和の措置

●自治体によって異なる配置基準

●子どもたちにもう1人保育士を!の声が高まる

●自治体独自の配置基準など自治体の事例

<チェックポイント>

●現行の保育士配置基準

●保育士の現場からの声の収集

●独自配置の場合の予算措置

<掲載事例>

●神奈川県横須賀市

●埼玉県富士見市、埼玉県戸田市、埼玉県ふじみ野市

●保育園を考える親の会、子どもたちにもう1人保育士を!実行委員会

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保育士の配置基準 「崖っぷち保育」との現状報告
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●虐待、バス置き去りの背景として保育士の慢性的な忙しさ

・子どもを宙づりにするなどの虐待をしたとして、1歳児の園児に対し暴行を加えた疑いで保育士3人が逮捕。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/sbs/221429?display=1

・虐待の背景として、慢性的な忙しさと余裕のなさでいらだちを覚えている人がいるとの声。

https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20221209b.html

・幼い子供が保育園や幼稚園の送迎バスに取り残される事件も相次ぎ、背景には慢性的な人手不足があると指摘する声。

https://rkb.jp/news-rkb/202211013611/

●保育士の配置基準は30人に1人で、さらに緩和の措置

・保育士の人員配置は、0歳児3人に保育士1人(3:1)、 1〜2歳児は6:1、3歳児は20:1、4歳以上児は30:1と定められている。

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82069000&dataType=0
(33条2項)

・3歳児の20人に1人配置でも多くの幼児に対応することは困難で、「崖っぷち」であると現場の保育士は証言。

https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20220930a.html

・さらに、待機児童を解消し、受け皿拡大が一段落するまでの緊急的・時限的な対応として、2016年より配置基準の緩和策も講じられている。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/renkei.setteisuu20160401_2.pdf

・保育所の認可主体である都道府県、指定都市、中核市の114自治体のうち、84自治体が緩和を実施。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000146658.html

・保育士配置はドイツで3〜4歳児は9人に1人配置。世界的に見ても日本の保育士配置は少ない。

https://syokibohoiku.or.jp/topics/55

https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000533050.pdf

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自治体独自の配置基準により保育士増加策を実施
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●自治体によって異なる配置基準

・自治体により保育士の配置基準は異なり、保育園を考える親の会は調査結果を「100都市保育力充実度チェック」として出版。

https://hoikuoyanokai.com/guide/check/

・1都3県と政令市でも、独自の財源で手厚く保育士を配置している自治体(85自治体)と、全年齢で国と同じ基準の自治体(14自治体)と違いがある。

https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20221021a.html

・関西でも配置基準見直しを行っている自治体(明石市や西宮市、宝塚市)と、そうでない自治体の差が存在。

https://sun-tv.co.jp/suntvnews/news/2022/12/08/61519/

●子どもたちにもう1人保育士を!の声が高まる

・愛知県の市民団体「子どもたちにもう1人保育士を実行委員会」では国の配置基準を見直すべきと提言。

・「もう一人保育士がいればもっと子どもの声に耳を傾けることができる」と訴える。

https://www.aihokyou.com/詳しくはこちら

・団体が保育士や職員に行ったアンケートでは、7割が「現状では子どもとの関わりが十分にできない」と感じている。

https://www.nagoyatv.com/news/?id=016425

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自治体独自の配置基準など自治体の事例
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●1970年から5歳児25人に1人など多めの配置基準(埼玉県富士見市、埼玉県戸田市、埼玉県ふじみ野市)

・埼玉県富士見市では1歳児4:1(国は6:1)、3歳児13:1(国は20:1)、4歳児18人:1、5歳児は25:1(いずれも国は30:1)と国基準を上回る配置基準を設定。

・1970年代からの組合の運動、保護者も入れた三者懇談会の存在などが独自配置基準づくりの後押しになっている。

https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20221202b.html
(自分たちで変えていく)

・国の配置基準が20:1の3歳児について、埼玉県戸田市と埼玉県ふじみ野市では12:1と手厚い配置基準に。

・この他、都が一律に配置基準を要綱で定めていた名残で東京都では1歳児の配置基準を国基準の6:1より手厚い5:1としている自治体が東京都では多い。

https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20221021a.html

●0歳児は2.57人に1人と全国でトップの配置基準(神奈川県横須賀市)

・子どもたちにもう1人保育士を実行委員会の調査によれば、0歳児への保育所配置(国では3人に1人)に対し、神奈川県横須賀市では全国トップとなる2.57人に1人の配置。

https://www.aihokyou.com/詳しくはこちら

・この他にもすべての基準が国を上回っており、2013年にはこれらの基準を盛り込んだ条例も制定している。

https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20221021a.html
(保育士の配置基準(神奈川県))

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チェックポイント詳細
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●現行の保育士配置基準

・現在の保育園・こども園での保育士配置基準(0~5歳の年齢別)は。

・国基準の配置基準と自治体の配置基準の比較は。

・2016年からの緩和基準は導入しているか。

●保育士の現場からの声の収集

・保育士へのアンケートなどで現場状況を把握しているか。

・保育士対象の相談窓口は設置しているか。

●独自基準で配置増の場合の予算

・自治体独自で配置増となる基準を設定しているか。

・配置増となる場合の必要な予算は。

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さらなる調査のためのリンク集
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【子育て】代替保育や保育士への慰労金、保育を維持する自治体の取り組み(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6095/

【子育て】激化する保育士争奪戦!保育所の数だけでなく保育の質が問われる(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5940/

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