【総務】個人情報保護法改正(2)条例要配慮個人情報と匿名加工情報の条例化(政策アイディア)

<概要>

●自治体が要配慮個人情報の対象を条例で拡大

●新しく定義された「条例要配慮個人情報」

●2021年改正で「匿名加工情報」と「非識別加工情報」が統一

●区市町村が提供を行うためには条例に追加が必要

●条例要配慮個人情報や非識別加工情報に関する自治体の取り組み

<チェックポイント>

●条例要配慮個人情報の指定

●行政機関等匿名加工情報の取り扱い予定

●個人情報保護審議会における議論

<掲載事例>

●東京都日野市、千葉県市川市

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取扱いに配慮を要する個人情報を条例で追加
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●自治体が要配慮個人情報の対象を条例で拡大

・2015年の個人情報保護法改正で、「要配慮個人情報」として、人種、信条、病歴など本人に対する不当な差別や偏見が生じる可能性のある情報の取り扱いを定義。

・取得については、原則として本人同意を得ることを義務化。

https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/daiyoji_sangyo_chizai/pdf/003_02_00.pdf
(9ページ)

・自治体の条例では要配慮個人情報をさらに拡大し、支持政党、民族なども「センシティブ情報」と定義付けて運用してきた。

https://www.ppc.go.jp/files/pdf/200525_jyoreichosashiryo.pdf
(8~11ページ)

・法律では行政機関に収集制限などを設けていないが、先進的な自治体では条例などで収集制限やアクセス制限を実施。

・例えば広島県府中町などではシステムへのアクセス権への制限と不要になったデータの削除を実施。

https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/6b5f4e23-911b-4b36-a7e4-ceb114734ca0/532b97fc/20220407_meeting_children_outline_05.pdf
(2ページ)

●新しく定義された「条例要配慮個人情報」

・2021年度改正に伴い、地域の特性その他の事情に応じて、特に配慮を要するものとして地方公共団体が定める情報を「条例要配慮個人情報」として定義。

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/22298/57siryou05-1.pdf
(1ページ)

・法律ではなく、条例で追加定義する理由として、国では保有が予定されていないが、自治体の施策実施によって保有される可能性があるためとする。

・最終報告書では例示として「LGBTに関する事項」「生活保護の受給」「一定の地域の出身である事実」があげられている。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kojinjyoho_hogo/pdf/r0212saisyuhoukoku.pdf
(40ページ)

・要配慮個人情報の単なる取得制限を条例で規定することは認められないが、行政機関内部の漏えい防止などのため、要配慮個人情報であることを勘案することは可能。

https://www.ppc.go.jp/files/pdf/220428_koutekibumon_qa_shinkyu.pdf
(8ページ Q&A3-2-1)

・条例で要配慮個人情報の安全管理措置を強化することは大きな論点となる。

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加工されたデータを民間業者に提供する「匿名加工情報」
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●2021年改正で「匿名加工情報」と「非識別加工情報」が統一

・⺠間事業者により、個人情報を特定の個人を識別することができないように加工し、当該個人情報を復元することができないようにする「匿名加工情報」。

・国の行政機関が保有する個人情報を特定の個人が識別できないよう加工し、当該個人情報を復元できないようにする「非識別加工情報」。

https://www.ppc.go.jp/files/pdf/hisikibetu_aramashi.pdf
(2ページ相当)

・2021年の個人情報保護法改正で「匿名加工情報」と「非識別加工情報」が統一されて「行政機関等匿名加工情報」として民間利用が可能となる。

・提案の募集を受けて審査基準に適合すれば、民間業者は行政機関等匿名加工情報を利用できる。

https://www.ppc.go.jp/files/pdf/Gyouseikikantoutokumeikakou_gaiyou.pdf
(2ページ)

・独立行政法人住宅金融支援機構が個人の融資情報を銀行に提供し、AI審査モデルの構築に利用した例などがある。

https://www.netbk.co.jp/contents/company/press/2019/corp_news_20190815.html

●区市町村が提供を行うためには条例に追加が必要

・自治体も匿名加工情報の提供が可能となるが、都道府県と政令都市以外は任意であり、区市町村が提供を行うためには条例に追加が必要。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shomu_ryutsu/bio/kojin_iden/life_science/pdf/001_03_02.pdf
(25ページ ※4)

・2020年11月の総務省調査によれば、⾮識別加⼯情報について、民間業者からの提案審査などの「事務負担に懸念がある」との懸念が主に市区町村から示された。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kojinjyoho_hogo/kentoukai/dai10/siryou3.pdf
(19ページ)

・2019年1月の調査では、2017年施行で導入された「⾮識別加⼯情報」の規定をしていた団体は、2都道府県と5市区町村しかなかった。

https://www.ppc.go.jp/files/pdf/191202_soumushiryou.pdf
(7ページ)

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条例要配慮個人情報や非識別加工情報に関する自治体の取り組み
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・「性的指向や性自認」を条例要配慮個人情報に(東京都日野市)

・東京都日野市は「日野市個人情報保護法施行条例(骨子案)」をとりまとめる。

・2022年度中にパートナーシップ制度を導入して情報を扱うことから、「性的指向や性自認」を条例要配慮個人情報として定める。

https://www.city.hino.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/020/381/kossian.pdf
(1ページ相当)

●非識別加工情報の提供を広報(千葉県市川市)

・千葉県市川市では保有する個人情報を加工して作成する非識別加工情報の提供を受ける企業を募集。

https://www.city.ichikawa.lg.jp/gen01/1111000222.html

・2019年に条例改正によって非識別加工情報の提供を可能とした。

https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000309652.pdf
(2ページ)

・2020年に全国の自治体ではじめて自治体ビッグデータとして民間業者に提供を行うが、契約数は伸び悩みとの報道。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56282320S0A300C2L83000/

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チェックポイント詳細
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●条例要配慮個人情報の指定

・今まで要配慮個人情報はどう定義され、運用されてきたか。

・条例要配慮個人情報の指定を行う予定は。

・指定の内容とその理由は。

●行政機関等匿名加工情報の取り扱い予定

・行政機関等匿名加工情報を取り扱う予定はあるか。

・過去に匿名加工情報、非識別加工情報の導入議論は行ったか。

●個人情報保護審議会における議論

・個人情報保護審議会で条例要配慮個人情報の議論は存在するか。

・個人情報保護審議会で匿名加工情報の議論は存在するか。

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さらなる調査のためのリンク集
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【デジタル】多くが12月議会に議論!個人情報保護法改正への対応①法施行条例に変更が多数、個人情報保護審議会の役割は(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6965/

【情報】バラバラだった個人情報保護法制が一元化、条例改正の論点は?(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6815/

地方公共団体の個人情報保護条例(個人情報保護委員会)
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/local/

改正個人情報保護法の施行に伴う対応について(東京都昭島市)
https://www.city.akishima.lg.jp/s008/010/010f/030/20220606_kaiseikojouhoutaiou.pdf

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