<概要>
●流産率は約15%、不育症(習慣流産)は妊娠経験者の4.2%
●「不妊」治療は先行して保険適用になった
●不育症に対して、検査費の助成事業が始まった
●県として不育症治療まで助成している事例
●基礎自治体が独自に不育症治療を支援する事例
<チェックポイント>
●不育症についての情報提供
●不育症に対する助成や支援
<掲載事例>
●長野県、福島県
●北海道札幌市
●大阪府寝屋川市、兵庫県姫路市
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不育症は意外と多いが、原因は多岐にわたる
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●流産率は約15%、不育症(習慣流産)は妊娠経験者の4.2%
・一般的に、流産・死産を2回以上繰り返している妊婦は不育症の疑いがあり、検査が推奨される。
・流産は全妊娠のうち約15%に起こるので、リスク因子が無くても、運悪く流産を繰り返すことがある。
https://medicalnote.jp/contents/170216-004-UN
・不育症患者は、妊娠経験者の4.2%と言われており、年間に3.6万人発生していると推計される。
・流産の原因は、偶発的・リスク因子不明が65.3%で最も多い。
・検査によって原因が判明するものは、抗リン脂質抗体陽性10.2%、子宮形態異常7.8%、プロテインS欠乏7.4%、第Ⅻ因子欠乏7.2%、甲状腺異常6.8%など。
・これらの検査を全て行うと、約10万円かかる。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000695141.pdf
(2~3ページ)
●多様な原因が考えられ、検査費・治療費も一定ではない
・流産の回数・出産歴などによって、不育症の検査を受けるべき項目数は変わってくる。
・ある病院では、検査費用だけで8万円~20万円となっている。
https://aska-cl.com/miscarriage-checkup/
・不育症の治療は保険の適用となっているものもあり、血栓症を治療するヘパリン療法は、保険診療で1ヵ月約15,000円、自己診療で1ヵ月約35,000円となっている。
https://aska-cl.com/antithrombotic-therapy/
・免疫治療の例では、OK432ピシバニール療法では、1回あたり12,200円程度の治療費がかかる。
http://www.klc.jp/cure/cure3.html
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政府による不育症への助成
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●「不妊」治療は先行して保険適用になった
・厚生労働省は2022年4月から、不妊治療の保険適用を始めた。
・関係学会のガイドラインなどで有効性・安全性が確認された一般不妊治療と、体外受精などの生殖補助医療について、基本治療は全て保険適用とした。
・初めての治療開始時点の女性の年齢が40歳未満の場合は1子ごとに通算6回まで、40歳以上43歳未満の場合は1子ごとに通算3回までと、回数制限がある。
https://www.mhlw.go.jp/content/000913267.pdf
●不育症に対して、検査費の助成事業が始まった
・厚生労働省は2021年、不育症の検査費用について助成事業を開始した。
・先進医療として実施されている不育症検査について、1回につき5万円を上限として助成する。
・実施主体は、都道府県・政令指定都市・中核市で、負担割合は国が1/2、都道府県等が1/2となっている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000047270_00001.html
・全国の医療機関・保健所等に、不育症に関する相談窓口を設置し、不育症に悩む夫婦の支援等をおこなっている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/fuiku_00003.html
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県として不育症治療まで助成している事例
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●対象となる不育症治療を幅広く認めて助成(長野県)
・長野県は、不育症治療助成について、保険適用・適用外を問わず幅広く認めている。
・ヘパリン療法・アスピリン療法・ステロイド療法と、その他知事が特に必要と認めたものとしているため、ほとんどの不育症治療が助成対象になり得る。
・1回の妊娠に係る費用につき5万円を助成するが、女性の年齢によって回数制限がある。
https://www.pref.nagano.lg.jp/hoken-shippei/boshishika/fuikusyo.html
・長野県妊活支援サイト「妊活ながの」では、妊娠や不妊に加えて、不育症について知識や治療法を説明している。
https://ninkatsu.pref.nagano.lg.jp/sterile/infertility/
●不育症の原因として一番多い病気の治療について助成(福島県)
・福島県は、不育症検査によってリスク因子が判明した場合、特定の治療法に対して費用の助成を行っている。
・2013年、不育症の原因として一番多い「抗リン脂質抗体症候群」という血栓を引き起こす病気について、ヘパリン注射を主とした治療の助成を開始した。
・保険適用・適用外を問わず、ヘパリンを使用していれば併用する投薬等も対象としており、1回の妊娠期間につき15万円まで、回数制限なしで支援している。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21035b/fuikusyou.html
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基礎自治体が独自に不育症治療を支援する事例
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●助成対象を拡大し、回数・期間等の制限を設けずに支援(北海道札幌市)
・札幌市は2017年以降、不育症の検査及び治療について、保険の適用有無は問わず助成を行っている。
・投薬・手術・カウンセリング等、幅広い治療を対象としている。
・1回の治療期間につき10万円を上限としているが、通算回数・助成期間等の制限を設けず、出産・流産の結果を問わず再度の助成を受けることができる。
https://www.city.sapporo.jp/eisei/funin/huiku.html
・2022年度から、所得要件と婚姻要件がなくなり、対象が拡大された。
https://www.city.sapporo.jp/eisei/funin/documents/r4huninri-huretto.pdf
(2ページ)
●1年間に上限30万円まで治療費助成が受けられる(大阪府寝屋川市)
・寝屋川市は、保険適用外の不妊症治療に対し、1回の治療につき上限30万円の助成を行っている。
・2カ所以上の医療機関で治療を受けた場合は合算して申請も可能。
・不育症の検査については、別途、国の制度を利用して上限5万円の助成が利用できる。
https://www.city.neyagawa.osaka.jp/organization_list/shiminservice/s_iryo/iryouhi/1551916534120.html
●事実婚夫婦も助成対象に含めて支援(兵庫県姫路市)
・姫路市は、不育症の治療に要した保険適用外の医療費について、7/10の費用を助成している。
・助成対象は市内に住所がある夫婦となっており、事実婚関係を証明する書類があれば事実婚夫婦も認めている。
・1年度に1回の助成とし、通算助成回数の制限はないが、妻の年齢43歳を上限としている。
https://www.city.himeji.lg.jp/bousai/0000003699.html
・リスク因子の検査と、不育症治療の低用量アスピリン療法とヘパリン療法が、7/10助成の対象となっている。
https://www.city.himeji.lg.jp/bousai/cmsfiles/contents/0000003/3699/R4fuikuchirashi.pdf
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チェックポイント詳細
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●不育症についての情報提供
・流産や不育症について、データや情報の収集ができているか。
・不育症の正しい知識や、国の不育症検査助成について、情報発信できているか。
・自治体内の医療機関に対して、不育症検査の助成制度が伝わっているか。
●不育症に対する助成や支援
・不育症検査に対して、国の制度で全額賄えない部分を独自に加算してはどうか。
・不育症の治療について、助成制度を作ってはどうか。
・保険適用の有無に関わらず、不育症治療は全て助成対象にできないか。
・所得制限や、婚姻の有無などの条件を見直して条件を緩和してはどうか。
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さらなる調査のためのリンク集
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不育症対策に関するプロジェクトチームによる検討報告(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000699858.pdf
不妊症・不育症応援サイト~不育症について~(持田製薬株式会社)
https://www.mochida.co.jp/ashitanomama/fuiku/index.html
フイク-ラボ(日本医療研究開発機構)
http://fuiku.jp/
【出産】2022年度から不妊治療が保険適用に!自治体もきめ細かい支援策を(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6397/
【子育て】産後の自殺を防ぐ!産後ケア事業が自治体の努力義務に(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5404/