【地方分権】2022年度骨太方針で、計画策定の義務付けは最小限に(国政情報)

<概要>

●2022年度骨太方針で、新たな計画策定の義務付け・枠付けは最小限に

●地方自治体からの提案で、環境計画の統合はすでに先行実施

●政府はワーキングチームで計画策定の論点を整理

●すでに義務づけ廃止されている基本構想への対応

●全国知事会が課題を調査し、対応策を提言

<チェックポイント>

●自治体の計画数、改定予定

●計画策定の省力化に向けた工夫

●総合計画の策定方法

<掲載事例>

●神奈川県藤沢市

●全国知事会

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新たな計画策定の義務付け・枠付けは最小限に
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●2022年度骨太方針で、新たな計画策定の義務付け・枠付けは最小限に

・2022年度骨太方針では「国と地方の新たな役割分担」を示した。

(1)法令上新たな計画等の策定の義務付け・枠付けは最小限とすること。

(2)努力義務やできる規定、 通知等によるものについても、地方の自主性及び自立性を確保する観点から、できる限り新設しないようにする。

(3)真に必要な場合でも計画等の内容や手続は、各団体の判断にできる限り委ねることを原則とする。

・この他、策定済みの計画等との統合や他団体との共同策定を可能とすることも原則とした。

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/2022_basicpolicies_ja.pdf
(34ページ)

●地方自治体からの提案で、環境計画の統合はすでに先行実施

・国は地方分権の推進に向け、自治体から地方分権改革に関する提案を広く募集し、それらの実現に向けて検討を行う「提案募集方式」を導入。

https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/teianbosyu/teianbosyu-index.html

・2021年には環境分野における各種計画策定の統廃合を鳥取県などが提案し、岩手県盛岡市などが追加共同提案。

・気候変動適応法、地球温暖化対策の推進に関する法律など、環境分野における各計画について、統廃合などの見直しを行うことを求めた。

https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/teianbosyu/doc/r03/tb_r3fu_16_env_a.pdf
(15、16ページ相当)

・国はこの提案を受け、脱炭素社会実現に係る各計画については異なる計画を一体的に策定することが可能であることを、2021年12月21日に閣議決定。

https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/doc/r03/k_tb_r3_setumei.pdf
(10ページ)

・さらに2021年3月31日に通知を行い、環境分野における各種計画の一体的策定が可能なことを明確化。

https://www.env.go.jp/content/900449818.pdf
(1ページ相当)

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計画策定の義務づけ廃止に関する論点
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●政府はワーキングチームで計画策定の論点を整理

・内閣府は2022年2月、「計画策定等における地方分権改革の推進に向けて」にて、計画策定等をめぐる課題と論点をまとめた。

https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/teianbosyu/doc/r04/tb_r4_keikakuirai_sanko1_1.pdf

・地方分権改革有識者会議の「計画等におけるワーキンググループ」で、計画策定についての論点、進め方を議論している。

https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/kaigi/kaigikaisai/kaigikaisai-index.html
(計画等におけるワーキンググループ)

・2022年には見直しに向けて検討している計画のうち、法律に根拠があるものか、政省令・通知・マニュアルにもとづくものかを分類。

https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/kaigi/doc/keikakuwg5shiryou05.pdf

●すでに義務づけ廃止されている基本構想への対応

・義務づけ撤廃の先行事例として、総合計画の最上位計画である基本構想の策定は、2010年に義務付け規定が廃止された。

・しかし、現在も多くの自治体が依然として3層(基本構想ー基本計画ー実施計画)の総合計画を策定している。

https://www.murc.jp/report/rc/column/search_now/sn170512/

・神奈川県藤沢市は、2014年から総合計画に代えて「総合指針」を策定し、4年ごとに策定し直している。

https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/kikaku/shise/kekaku/sesaku/sougousisin2020kaitei.html

・識者は計画の義務づけ廃止の議論で、計画が「真に必要か」の判断は容易でないと指摘。

・一方で、策定ずみの計画との統合や、複数の自治体による共同策定という選択肢を活用すべきと提案。

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=71948?pno=2&site=nli

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全国知事会が課題を調査し、対応策を提言
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●全国知事会は計画策定に支障のある事例を調査

・全国知事会の地方分権推進特別委員会は2021年5月、計画策定に支障のある事例等を調査して取りまとめた。

・調査対象の296計画のうち、107計画(36.1%)に対し何らかの支障や課題等を感じているという結果に。

・支障や課題として「策定に多大な人役や予算を要する」との回答が多い。

http://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/2/2021052803shiryou1-1.pdf

・地方六団体の地方分権改革推進本部は、「2000年頃から法令等によって地方公共団体に計画等の策定を求める規定が増加」と指摘。

・地域の自主性及び自立性が損なわれる制度的な課題として、引き続き検討・見直しが必要とする。

http://www.bunken.nga.gr.jp/gimuwaku/keikaku/keikaku.html

●計画策定見直しの骨太方針を歓迎し、注文をつける

・全国知事会は骨太方針に対して声明を発表、計画策定の義務づけ見直しを高く評価。

・一方で、財政措置を行っている各政策に関して必要な財源保障を行うことと、 計画等の策定を求める法令の規定や通知は原則として新設しないことを求めた。

https://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/2/01_0607siryou.pdf

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チェックポイント詳細
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●自治体の計画数、改定予定

・自治体の各種計画について、本数はどうか。

・2022年度、2023年度に改定予定の計画は。

●計画策定の省力化に向けた工夫

・改訂予定の計画で策定済みの計画等との統合や、策定の見送りを検討したか。

・計画策定を他団体と共同で行うことは検討しているか。

●総合計画の策定方法

・すでに義務づけ廃止となっている基本構想について、取り扱いを議論したか。

・三層構造としなかった自治体について、その理由は。

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さらなる調査のためのリンク集
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自治体の行政計画について、国はどこまで関与すべきか-骨太方針の記述から考える論点(ニッセイ基礎研究所)
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=71948?site=nli

【まちづくり】自治体の「総合計画」と首長・議会・住民との関係(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5865/

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