【環境】日本はごみ焼却割合が世界一!焼却中心のごみ処理から、生ごみの資源化へ(事例研究)

<概要>

●ごみの総排出量は減少傾向

●日本はごみを焼却する割合が世界一

●生ごみは約80%が水分であり、焼却によるエネルギーロスが多い

●生ごみを分別回収してエネルギーに変える取り組み

●家庭でできる生ごみ処理を推奨する自治体

<チェックポイント>

●生ごみの分別回収と再利用

●家庭における生ごみ処理

<掲載事例>

●茨城県土浦市、愛知県豊橋市、東京都八王子市、東京都町田市

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ごみの総排出量は減少傾向
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・2020年の一般廃棄物処理事業実態調査の結果によると、ごみの総排出量は東京ドーム約112杯分に当たる4167万トン、1人1日当たりのごみ排出量は901グラム。

・ごみ総排出量・1人1日当たり排出量ともに、微減傾向が続いている。

・直接焼却された量はごみ総量の79.5%にあたる3187万トンで、焼却率は高い水準でほぼ横ばいとなっている。

https://www.env.go.jp/content/900518688.pdf
(1、3ページ)

・ごみ焼却施設は全国で1,056施設あり、1日176,202トンの処理能力を持っている。

・このうち、738施設は余熱利用を行っており、387施設は発電設備を持っている。

・総発電電力量は、約238万世帯分の年間電力使用量に相当する。

https://www.env.go.jp/press/110813.html

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生ごみの焼却をやめれば、エネルギー効率も上がる
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●日本はごみを焼却する割合が世界一

・2019年度のごみ処理事業経費は、2兆885億円と、毎年2兆円を超える費用が掛かっている。

・日本は、ごみ=焼却処分という考え方が強く、他の先進国と比べて焼却施設の数は桁違いに多い。

・燃やして処理するごみの量も世界で最も多くなっている。

https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20210406-00230907

●生ごみは約80%が水分であり、焼却によるエネルギーロスが多い

・一般的に、燃やせるごみの約40%が生ごみで、その重量の約80%が水分である。

・水分が多いため燃焼効率が悪く、プラスチックごみを燃料材代わりに加えて炉の温度を上げているところもある。

・細かい分別回収により、日本のリサイクル率は高いと思いがちだが、生ごみを燃やしている分、他のOECD諸国にリサイクル率で差をつけられている。

https://www.asahi.com/sdgs/article/14494454

・食品ロスを減らすことに加えて、生ごみを「ごみ」にせず、資源化することが必要。

・「分ければ資源、混ぜればごみ」と考え、生ごみは水を切って、コンポストにしたり、生ごみ処理機を使うことなどが求められている。

https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20210420-00233589

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生ごみを分別回収してエネルギーに変える取り組み
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●動画で詳しく説明、メタンガスとたい肥にリサイクル(茨城県土浦市)

・土浦市は動画を作成して、生ごみの分別収集と、その後の処理について説明している。

・2015年から、生ごみは黄色い袋に分別して、燃やせるごみの日に出すこととしている。

・タバコや薬が入ると発酵が阻害されること、水が多いと処理効率が悪くなることなどが述べられている。

・集めた生ごみは処分場においてメタン発酵処理が行われ、メタンガスとたい肥にリサイクルされる。

https://www.city.tsuchiura.lg.jp/page/page004210.html

●生ごみを100%エネルギー化する取り組み(愛知県豊橋市)

・豊橋市は2017年から、下水汚泥・し尿・浄化槽汚泥とともに、生ごみの「メタン発酵処理」を行い、メタンガスを電力化している。

・生ごみは指定用ごみ袋にて分別して出し、燃やすごみと同じ日に収集している。

・水をきる・新聞紙でくるまないなどの諸注意とともに、生ごみ分別の適否を一覧で表示している。

https://www.city.toyohashi.lg.jp/26526.htm

・バイオマス資源利活用施設整備事業として、資源化センターで生ごみをメタン発酵処理することで、CO2の削減・エネルギーの多様化を進めている。

・ガス発電は年間約680万キロワット(一般家庭の約1,900世帯分)あり、発酵後の残渣は炭化燃料として更に発電に使われる。

https://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/40351/namagomibunbetsu.pdf
(5ページ)

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家庭でできる生ごみ処理を推奨する自治体
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●ゼロカーボンシティを目指し非電気式コンポストの購入を支援(東京都八王子市)

・八王子市は、生ごみ処理機器等の購入費について補助を行っているが、2023年度以降は「電気式」処理機器を補助対象から除外する。

・コンポスター・密閉式たい肥化容器につい、購入金額の1/2・上限20,000円を補助する。

・ダンボールコンポストについては、セットだと3/4・上限10,200円を補助、基材購入だと3/4・上限4,700円を補助する。

・発酵促進剤についても、本体と同時申請したものに限り、購入額の1/2・上限2,000円を補助している。

https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kurashi/gomi/hojo/p002559.html

●ダンボールコンポスト講習会を開催し、自宅でたい肥作り(東京都町田市)

・町田市は、ダンボールコンポストを使ってみたい人を対象に、使い方を学んで1セット持ち帰ることができる「ダンボールコンポスト講習会」を開いている。

・講習会に参加した人を対象に、約2ヵ月後にフォローアップ講習会も実施している。

・参加費は無料で、4月~9月に月2回程度、開催している。

・恵泉女学園大学や、NPO法人と協働し、市内の竹を使った竹チップや竹炭を入れたコンポストを推奨している。

https://www.city.machida.tokyo.jp/kurashi/kankyo/gomi/event/namagomi/danboru.html

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チェックポイント詳細
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●生ごみの分別回収と再利用

・生ごみをメタン発酵させてメタンガス発電ができる施設はあるか。

・生ごみを、たい肥化できる施設はあるか。

・生ごみの分別収集を行ってはどうか。

●家庭における生ごみ処理

・コンポストの購入補助を行ってはどうか。

・ダンボールコンポストなど、家庭でできる取り組みを普及しているか。

・コンポストでできたたい肥の使い道・引き取り先はあるか。

・事業者から出る生ごみをたい肥化する取り組みはできないか。

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さらなる調査のためのリンク集
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廃棄物系バイオマスの種類と利用用途(環境省)
https://www.env.go.jp/recycle/waste/biomass/biomass.html

食品循環資源の再生利用を推進する取り組み(環境省)
https://www.env.go.jp/content/900533526.pdf

食品ロス削減関係参考資料(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/efforts/pdf/efforts_180628_0001.pdf

【教育】食育白書(1)学校・保育所等における食育施策(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6769/

【農業】有機食材を使ったオーガニック給食、有機農業による地域活性化を(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6678/

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