【高齢者】伸び悩む高齢者の社会参加、生きがいを感じられる活動の事例(事例研究)

<概要>

●高齢社会対策大綱では、社会参加率80%が目標

●減り続ける老人クラブと会員数

●高齢者の生きがいに繋がる社会参加

●地域活動に参加することでポイントを付与する自治体

●生きがいを感じられる社会参加の活動事例

<チェックポイント>

●高齢者の社会参加を促す取り組み

●老人クラブのあり方

<掲載事例>

●神奈川県横浜市、大阪府大阪市、静岡県浜松市

●愛知県東郷町

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高齢者の社会参加が進まない実態
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●高齢社会対策大綱では、社会参加率80%が目標

・2018年の高齢社会対策大綱では、政府が推進すべき基本的かつ総合的な高齢社会対策を示している。

・基本的な考え方として、地域における生活基盤を整備し、人生のどの段階でも高齢期の暮らしを具体的に描ける地域コミュニティを作るとしている。

・社会的な活動を行っている高齢者の割合は、2016年に男性62.4%、女性55.0%であったが、2020年には80%になることを目標としていた。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000196669.pdf

●減り続ける老人クラブと会員数

・政府は、地域を基盤とする高齢者の自主的な活動組織として、老人クラブ等を支援している。

・しかし、老人クラブ等の数と会員数は、1995年をピークに減少を続けている。

・1995年から2018年にかけて、クラブ数は13万4000件が9万6000件に、人数は880万3000人が524万6000人に、それぞれ約3~4割減少した。

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/zenbun/pdf/2s2s_03.pdf
(110ページ)

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高齢者の生きがいに繋がる社会参加
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●高齢社会白書で、社会参加の重要性が評価される

・2022年版高齢社会白書において、社会活動への参加についての調査が行われたが、直近1年間に社会活動に参加した高齢者は51.6%と低迷している。

・「近所の人と会えば挨拶する」と回答した高齢者は82.8%、親しい友人・仲間を持っていると回答した高齢者は79.6%おり、社会との繋がりは維持されている。

・友人・仲間をもっている、よく外出する、社会活動に参加しているなど、ポジティブな回答をした高齢者は、生きがいを感じる程度も高くなっている。

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/gaiyou/pdf/1s3s.pdf
(8、9、13ページ)

●政府は高齢社会対策を実施して社会参加を促す

・政府は、高等教育機関や社会教育施設における学習機会の提供や、学校機能・施設の地域開放、文化活動の振興などで高齢者の学習活動を促進。

・老人クラブ等の活動支援、健康福祉祭(ねんりんピック)の開催、有償ボランティアなど高齢者生きがい活動促進事業を実施する。

・高齢者と有償ボランティア活動のマッチング、寄付税制の促進、市民活動に関する情報公開など、高齢者が地域で活躍できる体制を整備。

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/pdf/3s2s_03.pdf

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地域活動に参加することでポイントを付与する自治体
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●ボランティアをした高齢者にポイント付与(神奈川県横浜市)

・横浜市は2009年から、政令市で初めてボランティアポイント事業を実施。

・シニアボランティアポイントに登録するには、登録研修会に参加をすることが必須で、ICカードを使ってポイントを貯める方式は全国で初。

・特別養護老人ホーム・病院・地域子育て支援拠点・障がい者地域活動センター等、受け入れを申し出た事業所でボランティア活動をするとポイントが貯まる。

https://www.kanafuku.jp/services/koreifukushi/ysvp001.html

・1日30分以上の活動で200ポイント付与され、1,000ポイント以上貯まると1ポイント1円で換金できる。

・年間8,000ポイントまで換金可能で、指定された金融機関口座に交付金が振り込まれる仕組み。

https://www.kanafuku.jp/services/koreifukushi/ysvp003.html

●介護予防教室や老人クラブに参加して高齢者にポイント付与(愛知県東郷町)

・東郷町では2019年から、高齢者の閉じこもりを予防して社会参加を促すためにポイント制度を開始した。

・サロンなど住民主体の場や、一般介護予防教室、老人クラブの活動に参加をすると、社会参加ポイント手帳にスタンプを押してもらえる。

・1日最大1ポイント付与され、スタンプを15個貯める毎に500円の商品券と交換。上限は60スタンプで2,000円の商品券まで受け取ることができる。

https://www.town.aichi-togo.lg.jp/soshikikarasagasu/koreishashienka/gyomuannai/4/3/3735.html

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生きがいを感じられる社会参加の活動事例
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●共同菜園ボランティアで、子ども食堂へ野菜提供(大阪府大阪市)

・大阪市鶴見区は、60歳以上の男性限定のグループ「鶴見区シニアボランティア・アグリ」を設置し、定年退職後の男性の居場所づくりと社会参加を促している。

・無償で提供してもらった休耕地を使い、自主的に共同菜園運営を行い、閉じこもりの防止・孤立防止・社会参加の3つを実現している。

・生産した農作物は子ども食堂に提供し、利用する子どもたちから感謝の言葉が寄せられるため、人の役に立っている実感や地域とのつながりが得られる。

・自分たちで栽培計画を作り、毎週木曜の午前に畑仕事やミーティングを行い、日曜日以外は複数人で水やり当番を決めて活動している。

https://kayoinoba.mhlw.go.jp/article/008/

●防犯・防災・交通安全・危険予防マップを作製した地域のシニアクラブ(静岡県浜松市)

・シニアクラブ浜松市新津地区連合会は、防犯防災マップを作製し、2018年に内閣府から「エイジレス・ライフ社会参加事例」として表彰された。

・シニアクラブ会員が中心となり、地元警察・自治会連合会・小中学校・高校の生徒及び先生が協力してマップを作製。

・地域住民の共通課題に取り組み、啓発啓蒙を図るとともに、地区の交通安全・見守り活動・防犯・防災活動に貢献している。

https://senior-club-shizuokaken.jp/relation/detail/7439

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チェックポイント詳細
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●高齢者の社会参加を促す取り組み

・高齢者の社会参加の状況について実態調査を行っているか。

・現役時代の技術や経験を地域に活かしてもらうような取り組みはできないか。

・定年退職後の男性に向けて、生きがいを感じられる活動を提供できないか。

・有償ボランティアとして公共に役立つ仕事をしてもらえないか。

●老人クラブのあり方

・時代に合わせた老人クラブ事業の見直しを行っているか。

・老人クラブとして、社会貢献につながる活動を促してはどうか。

・老人クラブに参加をすることで、ポイントや特典を付与してはどうか。

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さらなる調査のためのリンク集
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高齢社会対策大綱(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/kourei/measure/taikou/index.html

高齢者の社会参加事例集(全国知事会)
https://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/2/10_jireisyu_koureisyanosyakaisanka.pdf

「若手の老人が集まらない」超高齢化社会で老人クラブが激減するワケ(西日本新聞)
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/803024/

【介護】高齢者のフレイルが深刻化!コロナ禍における予防の取り組み(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6254/

【介護】運動+栄養+通いの場、フレイル予防がいよいよ本格化(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5225/

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