<概要>
●木材や鉄鋼など建設資材が大幅に高騰
●物価高騰を考慮した契約を発注者が受け入れない例も
●国は資材単価を毎月見直すよう要請
●設計変更や追加工事費にも柔軟に応じるよう求める
●建設資材の高騰に対する自治体の取り組み
<チェックポイント>
●資材単価の見直しとスライド条項
●物価上昇に伴う設計変更
●物価高騰に苦しむ民間事業者への支援
<掲載事例>
●神奈川県、秋田県、福井県
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建設資材の高騰で苦しむ受注者・下請け業者
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●木材や鉄鋼など建設資材が大幅に高騰
・コロナ禍で停滞していた経済活動の再開やエネルギー価格の上昇、ウッドショックやロシアのウクライナ侵攻により、建設資材の価格が急激に高騰。
・経済調査会がまとめた2022年4月の建設資材価格指数(建築・土木総合)は、前年同月比29.3ポイントの大幅アップとなった。
・代表的な木材の一つである針葉樹合板は21年5月から22年3月までに価格が63%も高騰。
・鋼材価格の高騰も深刻で、異形鋼棒がおよそ14年ぶりに最高値を更新し、1年で価格が1.5倍を超す急騰ぶり。
https://www.kentsu.co.jp/webnews/view.asp?cd=220523590005&pub=1
●物価高騰を考慮した契約を発注者が受け入れない例も
・国土交通省の調査では、受注者〜発注者間の15%、元請〜下請間の10%で、物価変動に基づく契約変更条項(スライド条項)が含まれていなかった。
・さらに、受注者〜発注者間の25%、元請〜下請間の14%が「物価変動に基づいて請負金額の変更を申し出たが受け入れてもらえなかった」と回答。
https://www.kensetsunews.com/archives/690740
・物価高騰を考慮した積算を実施し発注者に提示している割合は91%。こうした積算や説明を発注者に受け入れてもらえている割合は65%だった。
・調査期間は2022年1月〜3月で、その間にウクライナ危機が深刻化し物価高騰が新たな局面に入ったため、さらに影響が大きくなる可能性は高い。
https://nordot.app/893605661814652928?c=388701204576175201
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物価高騰に合わせた単価見直しや設計変更
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●国は資材単価を毎月見直すよう要請
・国交省は4月26日付の通知で、民間調査会社が作成する物価資料を積算に用いる場合は、毎月の掲載価格の改定に併せて資材単価を見直すよう求めた。
・しかし5月20日時点で、都道府県の約7割に当たる32団体が、入札の予定価格の算定に用いる資材単価を毎月更新していないことが判明。
・全ての資材で毎月、最新の物価資料の掲載価格を引用している都道府県は15団体、主要資材だけ毎月更新している都道府県は10団体だった。
・価格が一定の割合以上変動するなどした場合に最新の掲載価格を引用している自治体は21団体、残り1団体は年に数回更新するだけだった。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00142/01322/
●設計変更や追加工事費にも柔軟に応じるよう求める
・国土交通省は4月1日、公共工事の円滑な施工確保に取り組むよう、都道府県と政令市に通知。
・30%を超す追加工事費が発生した場合に契約変更を認めない、「30%ルール」のような運用を厳に慎むことを求めた。
https://www.kentsu.co.jp/webnews/view.asp?cd=220401590009&area=0&yyyy=0&pub=1
・「設計変更ガイドラインの策定・公表」と、「ガイドラインに基づいた適正な設計変更手続き」に努めることを、入札契約適正化指針に新たに規定。
・都道府県のうち14団体がガイドラインを契約事項とすることを特記仕様書に記載していないことも明らかになった。
https://www.kentsu.co.jp/webnews/view.asp?cd=220609590004&area=0&yyyy=0&pub=1
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建設資材の高騰に対する自治体の取り組み
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●受注者に寄り添い、スライド条項を積極的に適用(神奈川県)
・神奈川県建設業協会は4月12日、神奈川県に「発注単価の改定」「スライド条項の適用」「工期の弾力的な対応」を緊急要望。
・神奈川県は既契約分について、受注者から請求があればスライド条項適用を検討する考えを示した。
・「発注者が請求を待っているだけではなく、監督員の方から請求を投げ掛けるようにしていきたい」と、受注者側に寄り添う姿勢を見せている。
https://www.kensetsunews.com/archives/685178
●入札参加企業の評価項目に「賃上げ」を追加(秋田県)
・秋田県は、公共工事などに参加する企業に賃金の引き上げを促すため、企業が賃金の引き上げに取り組んでいるかどうかを入札の評価項目に加える。
・前の年と比べて、大企業で1.5%以上、中小企業で0.75%以上の賃上げを行った場合などに評価の点数がプラスされる。
・県政運営の指針となる計画の中で、人口減少を抑制するため、2030年までに賃金水準を大都市圏を除く地方の平均まで向上させるとしている。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/akita/20220614/6010014269.html
●民間の建設するアリーナに対して公的支援(福井県)
・福井県知事は、福井市中心部にアリーナを建設する構想について、維持費の補助など公的な支援策を検討することを明らかにした。
・「物価の高騰や資材不足の中、建設費も上がると想定される。民間だけで少し足りない部分は、どんな応援ができるか考えていきたい」と述べた。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20220615/3050011504.html
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チェックポイント詳細
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●資材単価の見直しとスライド条項
・公共事業の資材単価を毎月見直しているか。
・公共事業の契約に、物価変動に基づく契約変更条項(スライド条項)が含まれているか。
・発注者側からスライド条項の適用を打診してはどうか。
●物価上昇に伴う設計変更
・物価上昇に伴う設計変更に応じているか。
・「30%ルール」のような運用が残っていないか。
・設計変更ガイドラインを策定・公表しているか。
・ガイドラインを契約事項とすることを特記仕様書に記載しているか。
●物価高騰に苦しむ民間事業者への支援
・賃上げや下請に対するスライド条項適用を、入札の評価項目に加えてはどうか。
・地域を活性化させる民間工事に対して、物価高騰への支援を検討できないか。
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さらなる調査のためのリンク集
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【農林水産】ロシアのウクライナ侵攻で長引く木材の価格高騰、国産木材利用の取り組み(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6672/
【建設】公共工事の入札改革で、技能労働者の賃上げ&休日確保を(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6352/