【公園】公園整備から150年、PFIや協議会制度が法定化され、新しい都市公園の取り組み(事例研究)

<概要>

●太政官布達による公園制定から、2023年で150周年

●公募設置管理制度(Park-PFI)が始動

●協議会制度の創設

●Park-PFIを活用した公園の事例

●協議会制度を活用した公園の事例

<チェックポイント>

●Park-PFI活用の検討

●協議会制度の活用

<掲載事例>

●愛知県名古屋市

●東京都渋谷区、東京都豊島区、茨城県古河市

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太政官布達による公園制定から、2023年で150周年
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・1873年に発せられた太政官布達第16号が、日本の公園制度の始まりとされており、2023年に150周年の節目を迎える。

・2023年には、国・自治体・関係団体が連携して、都市公園制度制定150周年記念事業(仮称)を開催する。

https://www.posa.or.jp/wp/wp-content/uploads/2022/01/20211223jimurenraku_toshikouenseidoseitei150shunenjigyounojisshinituite.pdf

・太政官布達によって、東京都内では上野恩賜公園・浅草公園・芝公園・飛鳥山公園・深川公園の5ヵ所が設置された。

https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/keikaku_chousa_singikai/pdf/tokyotoshizukuri/1_07.pdf

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都市公園法の改正による新しい整備の形
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●公募設置管理制度(Park-PFI)が始動

・2017年の都市公園法改正において、公募設置管理制度(Park-PFI)が創設された。

・事業者が設置する施設から得られる収益を公園整備に還元することを条件に、都市公園における飲食・売店等の施設を民間事業者から公募。

・特例として、設置管理許可期間の延長(20年)、建蔽率の引き上げ(2%→12%)、自転車駐車場・看板・広告塔を「利便性増進施設」として設置することが可能に。

・想定する事業内容に応じて、PFI法によるPFI事業を選択することも可能。

https://www.mlit.go.jp/common/001248733.pdf
(6~27ページ)

●協議会制度の創設

・公園管理者と地域の関係者等が話し合い、活性化方策や利用のルール等を取り決めていく「協議会」について法定化された。

・協議内容は、賑わいの創出のためのイベント実施・ボール遊びなど利用ルール・保育所などの設置・新たな施設や大規模再整備の方針などが考えられる。

・Park-PFI制度の活用に当たっては、公園利用者や関係者のニーズ反映の観点から、協議会を活用することが望ましいとされている。

https://www.mlit.go.jp/common/001231242.pdf
(47~48ページ)

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Park-PFIを活用した公園の事例
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●日本最大級のPark-PFI事業(愛知県名古屋市)

・名古屋市は、2017年の法改正後すぐに、久屋大通公園の管理運営を行う事業者の公募を実施。

・人を誘引する観光拠点、市民が誇る世界に冠たる公園、いつでも誰にも多目的、地域全体の魅力の向上がコンセプト。

https://www.city.nagoya.jp/jutakutoshi/page/0000102377.html

・北エリアとテレビ塔エリアの合計54,500㎡の広大な面積が対象で、収益施設は延べ床面積8,066㎡、2階建て約35店舗が2020年に開業した。

・テレビ塔南側に全長80mの水盤を設置し、シンボリックな空間を創出。広々とした芝生空間や並木の景観を継承している。

・PFI事業者が統括となり、公園スタッフと収益施設スタッフが連携して管理する運営体制を築き、様々なアクティビティを通じて多彩な賑わいを創出している。

https://www.city.nagoya.jp/jutakutoshi/cmsfiles/contents/0000130/130368/riihuretto.pdf

●都心の小規模な公園を効率よく開発(東京都渋谷区)

・渋谷区は2019年に、物販や飲食店が立地する地域にある北谷公園を、Park-PFI事業による整備を行うとして事業者を公募した。

・960㎡の街区公園であり、地域全体の価値の向上、回遊性の強化、アクティビティを生み出し「渋谷カルチャー」を育てる公園を目指す。

https://www.city.shibuya.tokyo.jp/assets/com/000040784.pdf
(1~2ページ)

・カフェに隣接した半屋内イベントエリアや、階段から見下ろせる位置にあるステージエリアにおいて、多様なイベントを実施している。

・「安らげる場所」「寛げるカフェ」「賑わいある催し」を提供し、公園の枠をこえ、新しい文化が生まれるような時代を先駆ける公園を目指す。

https://shibuya-kitaya-park.tokyo/

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協議会制度を活用した公園の事例
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●パークマスターと円卓会議による運営(茨城県古河市)

・古河総合公園は、1998年から公園管理運営の専門家「パークマスター」制度を創設し、市民と公園を繋げることを目的として活動している。

・パークマスターが市内の市民団体などに呼びかけ、2003年から市民参加の公園づくりを推進するため、「古河総合公園づくり円卓会議」を設けた。

・2017年の都市公園法改正により、円卓会議を法定協議会として指定し要綱を作成。各構成員は協議が整った事項について尊重する義務を負うこととなった。

・市民が気軽に意見交換できる場所を新たに再定義するため、御所沼コモンズを設立し、公園を利用する人々のコミュニティ機能を強化させた。

https://www.city.ibaraki-koga.lg.jp/material/files/group/43/master-plan.pdf
(2、31~38ページ)

●埋設物占有料と運営組織、民間活力で公園再生(東京都豊島区)

・豊島区の南池袋公園は、薄暗く「ホームレス公園」と呼ばれていたが、オープンカフェと芝生の広場に再生した。

・東京電力の変電施設の移設先として南池袋公園の地下という話があり、復旧費と占有料で公園のリニューアル工事費を賄える見込みが立った。

・公園の維持管理費は、変電所と地下鉄の占有料、カフェレストランの収入で上積みが見込めることになった。

・行政・隣接地権者・カフェ運営者・学識経験者・植栽管理者で「南池袋公園をよくする会」を立ち上げ、イベント開催にはこの会の承認を必要とする体制を構築。

https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/434167/121700132/?P=2

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チェックポイント詳細
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●Park-PFI活用の検討

・飲食や物販などの店舗を設置して収益が見込める立地の公園はないか。

・観光やイベントなど、集客を期待する公園はないか。

・公募を実施した時に、応募する事業者が見込めるか。

●協議会制度の活用

・公園の利用者や地域の声を拾い上げる仕組みはできているか。

・管理運営者側と、利用者・地域住民が対話する機会を作っているか。

・公園のルール作りや、イベントなどの企画に、利用者・地域住民の意見が反映されているか。

・既存の公園運営に関する協議体を、法定協議会にしてはどうか。

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さらなる調査のためのリンク集
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国における公園緑地行政の最近の動向(国土交通省)
https://www.cla.or.jp/wp-content/uploads/2022/02/第13回CLA経営戦略セミナー資料.pdf

公募設置管理制度(Park-PFI)について(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanminrenkei/content/001329492.pdf

Park-PFIの実施事例(Park-PFI推進支援ネットワークPPnet)
https://park-pfi.com/jirei/

【まちづくり】遊具の安全性確保と新規導入で、子育て世代に魅力ある公園整備(政策立案データベース)
https://policy-making.com/db/5987/

【道路】道路・河川・公園等の不具合をスマホで通報(政策立案データベース)
https://policy-making.com/db/4693/

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