【建設】公共工事の入札改革で、技能労働者の賃上げ&休日確保を(国政情報)

<概要>

●政府が技能労働者の処遇改善に向けた入札改革を通知

●技能労働者の人手不足と高齢化の原因

●国は建設業法の改正で働き方改革を促進

●入札改革の実施状況調査の結果を公表

●技能労働者の処遇改善に向けた自治体の取り組み

<チェックポイント>

●技能労働者の現状

●公共工事のダンピング対策と技能労働者の賃上げ

●技能労働者の働き方改革

<掲載事例>

●東京都、静岡県

●大阪府大阪市

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公共工事における技能労働者の処遇改善が急務に
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●政府が技能労働者の処遇改善に向けた入札改革を通知

・2021年6月15日、国土交通省は自治体宛に「技能労働者の処遇改善に向けた環境整備のための適正な入札および契約の実施」を通知。

・担い手の確保・育成に必要な適正利潤を確保するため、適正な見積もり、積算内訳の公表、設計変更ガイドラインの公表、歩切り根絶を要請。

・また、ダンピング対策として公契連モデルを大きく下回る自治体への働きかけ、低入札価格調査による排除や失格基準の厳格化も求める。

https://zenkanren.jp/wordpress2/wp-content/uploads/2021/06/20210615-2.pdf
(1、2、4ページ)

●技能労働者の人手不足と高齢化の原因

・建設労働者はこの10年間、一貫して人手不足が続いている。

https://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/chojou/rodo.htm

・建設業における65歳以上の就業者は、2009年の8.1%から2019年には16.4%に上昇。

https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2010/23/news065.html

・国土交通省の定める公共工事設計労務単価は、2020年に初めて2万円を突破したが、「職人に支払われるのは5〜7割」という実態。

https://www.sankei.com/article/20200711-XHT2ATV7XRO5XCJO4BMZNXEELQ/

・働き方改革も課題で、日本建設業連合会は国土交通省に、完全週休2日に向けた「4週8閉所」の徹底を求めている。

https://www.kensetsunews.com/archives/579049

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法改正や入札契約調査など国の取り組み
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●国は建設業法の改正で働き方改革を促進

・2019年に建設業法が改正され、2024年から適用される時間外労働の上限規制に向け、働き方改革が進む。

・長時間労働を是正するため、公共工事の発注者に必要な工期の確保と施工時期の平準化を努力義務化。

・現場の処遇改善として、建設業許可の基準を見直し、社会保険への加入を要件化。

https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00361765/3_61765_178136_up_l7nhb6c1.pdf
(1ページ)

●入札改革の実施状況調査の結果を公表

・国土交通省は2021年5月21日、入札契約適正化法に基づく実施状況調査の結果を公表。

・ダンピング対策について、最新の中央公契連モデルを基準とする市区町村は200団体超増加したものの、依然として全体の約5割。

・週休2日モデル工事について、全ての都道府県・指定都市で実施している一方で、市区町村においては依然として1割に満たない状況。

https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00047.html

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技能労働者の処遇改善に向けた自治体の取り組み
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●入札改革で週休2日の確保やダンピング対策を強化(大阪府大阪市)

・大阪市は2021年度から入札契約制度を改正、週休2日の確保やダンピング対策を強化。

・週休2日のために必要な施工日数・準備・後片付け期間を考慮した工期設定や、週休2日工事に対応した必要経費の計上を行う。

https://www.city.osaka.lg.jp/keiyakukanzai/page/0000522830.html

・ダンピングの防止として低価格入札時の失格基準を直接工事費で75%から90%に引き上げ、評価値の算出基準も見直す。

https://www.kensetsunews.com/archives/559308

●低入札価格調査制度の適用範囲を拡大(東京都)

・東京都は2018年6月から、予定価格の事後公表、JV結成義務の廃止などの入札契約制度改革を本格実施。

・低入札価格調査の対象を建築4.4億円以上、土木3.5億円以上、設備2.5億円以上に拡大し、ダンピング受注を防止。

https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1805/18/news083.html

●公共工事で第2土曜日を一斉休日「ふじ丸デー」に(静岡県)

・静岡県は2021年4月から、県内の公共工事で毎月第2土曜日を一斉に休日にする取り組みを開始。

・日曜日の休みは浸透しており、建築現場での週休2日の実現に向け、第2土曜日を「ふじ丸デー」と名付け休日にする。

・県や31市町、中部地方整備局が発注する公共工事を対象として、残る4市町も準備が整えば参加、民間の工事でも協力を呼びかける。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFB197DM0Z10C21A3000000/

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チェックポイント詳細
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●技能労働者の現状

・県内の技能労働者の人数や求人はどのように推移しているか。

・県内の技能労働者の賃金や年収はどのように推移しているか。

・技能労働者の高齢化や人手不足について、どのような対策を行っているか。

●公共工事のダンピング対策と技能労働者の賃上げ

・低入札価格制度はどのようなルールになっているか。

・中央公契連モデル以上の水準の算定式を採用しているか。

・技能労働者の賃上げのため、公契約条例を策定してはどうか。

●技能労働者の働き方改革

・公共工事の週休2日に向けた取り組みはあるか。

・公共工事の発注時期の平準化に向けた取り組みはあるか。

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さらなる調査のためのリンク集
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技能労働者の処遇改善に向けた環境整備のための適正な入札及び契約の実施について(国土交通省)
https://zenkanren.jp/wordpress2/wp-content/uploads/2021/06/20210615-1.pdf

自治体別の入札改革実施状況(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001405079.pdf

【労働】ワーキングプアをなくす公契約条例・公共調達条例(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5603/

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