【法改正】今国会で成立した法律(1)教育、防災、デジタル化、規制緩和(国政情報)

<概要>

●小学校が2年生から順番に35人学級に

●雨水貯留など流域治水の対象河川と、ハザードマップの対象地域が拡大

●開かずの踏切や事故の多い踏切に自治体が対処

●地域の文化財を自治体が登録可能に

●自治体の事務や個人情報の取り扱い、情報システムを全国で標準化

●地方分権や林業・畜産業、国立公園に関する規制緩和

<チェックポイント>

●流域治水と災害対策

●事務やシステムの共通化

●規制緩和の活用

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メルマガ配信済みの、自治体に影響のある法改正
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・今国会で既に成立した法律の中から、地方自治体に影響がある部分を抜粋。

●公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律

・小学校の学級編制の標準を、現行の40人から35人に引き下げる。(1年生は元から35人)

・2021年度は2年生を35人学級に、2022年度は3年生を、2023年度は4年生を・・・と段階的に2025年までの5年間で実施。

https://policy-making.com/db/6146/

●流域治水関連法と災害対策基本法

・都市部の河川に限定していた特定都市河川浸水被害対策法の仕組みが拡充され、流域治水の取り組みを全国の河川で展開できるように。

・貯留機能保全区域や民間の雨水貯留浸透施設を都道府県が指定・認定する。

・都道府県は浸水被害防止区域を指定して、建築規制や集団移転を行う。

・市町村がハザードマップを策定する地域が拡大し、高齢者や障害者など要支援者の避難計画も作成が努力義務に。

https://policy-making.com/db/6259/

●踏切道改良促進法

・災害時に重要となる道路にある踏切について、災害直後に速やかに開く手順をあらかじめ決めるよう自治体に義務づけ。

・改良が必要な踏切は、国が指定するのを待つだけだったが、自治体から国へ「指定の申し出」が可能に。

https://policy-making.com/db/6213/

●文化財保護法

・国だけでなく地方自治体も、保存・活用の措置が特に必要とされる文化財を自治体の登録簿に登録できる地方登録制度を新設。

・その中で適当な文化財については、自治体から国の文化財登録原簿への登録を提案できる。

https://policy-making.com/db/6225/

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行政のデジタル化とシステムの共通化
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●デジタル社会形成基本法

・デジタル社会の形成に関し、国・地方公共団体及び事業者の責務等を規定。

・国民が国や地方公共団体の保有する情報を活用できるよう、必要な措置を講ずる。

https://www.cas.go.jp/jp/houan/210209_1/siryou1.pdf

●デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律

・個人情報の定義等を国・民間・地方で統一するとともに、行政機関等での匿名加工情報の取扱いに関する規律を明確化。

・住所地市区町村が指定した郵便局において、公的個人認証サービスの電子証明書の発行・更新等が可能に。

https://www.cas.go.jp/jp/houan/210209_3/siryou1.pdf

●地方公共団体情報システムの標準化に関する法律

・児童手当、住民基本台帳、国民健康保険、国民年金、介護保険、生活保護など、全国で標準化する地方自治体の事務を特定。

・地方公共団体は、国が整備する全国的なクラウド環境を活用して、情報システムを利用するよう努める。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000737410.pdf

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地方分権と規制緩和
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●第11次地方分権一括法

・認可地縁団体(自治会や町会の法人格)について、不動産等の保有やその予定がなくても認可が可能に。

・自治体が指定する郵便局で、転出届や印鑑登録の廃止申請等の事務が取り扱い可能に。

・小規模多機能型居宅介護の利用定員について、「従うべき基準」から「標準」に見直すことにより、市町村が独自に基準を定めることも可能に。

https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/ikkatsu/doc/11ikkatsu-gaiyou.pdf
(3ページ)

●国家戦略特区法

・国や自治体の準則で決まっている工場の緑地面積率について、条例に定めれば地域の判断で緩和することが可能に。

https://www.cao.go.jp/houan/pdf/204/204gaiyou_5.pdf

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農林業の支援と国立公園の活用
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●森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法

・市町村が策定する「特定間伐等促進計画」に基づく間伐等の実施に対して、法定交付金と起債特例を2030年度まで延長。

・苗木を用いた再造林を推進するため、自然的・社会的条件からみて植栽に適した区域(特定植栽促進区域)を都道府県が指定。

・区域内で林業者の計画を認定し、林業・木材産業改善資金の償還期間の延長等の支援措置を講じる。

https://www.maff.go.jp/j/law/bill/204/attach/pdf/index-1.pdf

●畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律

・建築基準法の構造等の基準から外れた畜舎を、緩和された安全基準に適合していれば都道府県が認定。

https://www.maff.go.jp/j/law/bill/204/attach/pdf/index-16.pdf

●自然公園法

・市町村やガイド事業者等から成る協議会が自然体験活動促進計画を作成し、環境大臣や知事の認可を受ければ、事業の実施に必要な許可が不要に。

・市町村や旅館事業者等から成る協議会が利用拠点整備改善計画を作成し、環境大臣や知事の認可を受ければ、その他の手続きを簡素化。

http://www.env.go.jp/press/2021/03/01/http:/pwcms.env.go.jp/press/109250.html%20/mat01.pdf

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チェックポイント詳細
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●流域治水と災害対策

・今回の法改正で流域治水の対象となり得る河川はあるか。

・貯留機能保全区域や浸水被害防止区域になり得る地域はあるか。

・ハザードマップや避難計画の作成は進んでいるか。

●事務やシステムの共通化

・自治体事務やシステムが共通化される前提で、今後のシステム設計を見直すべきではないか。

・新たに自治体事務の窓口となる郵便局を、どのように選定するか。

●規制緩和の活用

・全ての自治会を認可地縁団体として法人化する予定はあるか。

・小規模多機能型居宅介護の利用定員を緩和する予定はあるか。

・特定植栽促進区域となり得る山林はあるか。

・ガイド事業者や旅館事業者と協議会を作って、国立公園をさらに活用できないか。

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さらなる調査のためのリンク集
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国会議案の一覧(衆議院)
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/menu.htm

デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針(内閣府)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/201225/siryou1.pdf

国家戦略特区(内閣府)
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/index.html

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