【介護】高齢者のフレイルが深刻化!コロナ禍における予防の取り組み(社会・技術動向)

<概要>

●栄養と運動の不足で心身機能が低下する「フレイル」

●コロナの外出自粛で高齢者のフレイルが深刻化

●コロナ下における政府のフレイル対策

●ワクチン接種と同時にフレイル診断を行う事例

●オンライン体操やAI診断など自治体の取り組み

<チェックポイント>

●高齢者の現状把握

●フレイル健診の実施状況

●高齢者の運動や社会参加の促進

<掲載事例>

●大阪府大阪市、兵庫県神戸市

●東京都豊島区、鳥取県米子市、三重県東員町

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栄養と運動の不足で心身機能が低下する「フレイル」
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・フレイルは「Frailty(虚弱)」の日本語訳で、加齢とともに心身が衰えて、健康な状態から要介護状態へと移行する中間段階。

https://www.minnanokaigo.com/guide/disease/frail/

・以下5項目のうち1〜2項目が当てはまればフレイル予備軍、3項目以上当てはまればフレイルに該当。

1)6か月間で2~3㎏以上の(意図しない)体重減少
2)理由のない倦怠感
3)週に一度も運動をしていない
4)握力が男性26kg未満、女性18kg未満
5)歩行速度が秒速1m未満

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/shindan.html

・日本人高齢者の8.7%はフレイル、40.8%はフレイル予備軍。

http://dm-rg.net/news/2020/10/020538.html

・フレイル脱却の要因は、近隣住民との交流や、体操教室など運動系の社会参加ということが判明。

https://univ-journal.jp/93228/

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コロナの外出自粛で高齢者のフレイルが深刻化
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・2020年の5月と11月を比べて、外出の機会が週1回以下の高齢者が10ポイント増加。

・「物忘れがひどくなった」と回答した割合は倍増して27.1%に。

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/57292.html

・大阪府大阪市の調査では、バランス能力や筋力が減少した高齢者が2020年に大幅増。

・東京都豊島区のフレイルチェックでも、フレイルが疑われる高齢者は2020年に29.8%まで増加。

https://news.yahoo.co.jp/articles/eb79d77a3e5e3688997d242c9346cb61fc83d6fe

・コロナが怖くて散歩や買い物に行かなくなり、乏しい食材で栄養不足に陥るダブルパンチ。

・専門家は「感染者が少ない地域では注意しながらフレイル対策を進めることが可能だ」と自治体の役割の重要性を訴える。

https://www.47news.jp/5460761.html

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コロナ下における政府のフレイル対策
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・政府は2020年4月に、15項目の質問からなるフレイル健診を開始。

・回答結果は医療や介護履歴などの記録をまとめた「国保データベース」に登録、フレイルの恐れがある高齢者を判断する。

・身体の衰えから社会的な環境まで、すべてに対応するのは人材や予算面から難しいため、判断基準は自治体に委ねられている。

・後期高齢者向けの健康診査の受診率は3割程度にとどまり、フレイル健診や保健指導の促進が課題。

https://style.nikkei.com/article/DGXKZO63157680Y0A820C2TCC000/?page=2

・政府は2021年1月7日、コロナ基本的対処方針に「フレイル状態にならないよう健康維持・介護サービスを確保」と追記。

https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_h_20210107.pdf
(31ページ)

・1月29日にはコロナ禍における介護予防・見守り事例を、厚生労働省が各自治体に周知。

https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2021/0129175403859/ksvol.918.pdf

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オンライン体操やAI診断など自治体の取り組み
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●ワクチン接種と同時にフレイル診断(鳥取県米子市)

・鳥取県米子市は、コロナワクチンの集団接種会場でフレイル診断を実施。

・ワクチン接種後に健康観察を行う15分の待機時間に、25項目の質問でフレイルを診断する。

・感染防止の観点から、高齢者を集めた健康講座や保健師による訪問指導は難しいため、接種に合わせた診断を計画した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2bfa7d2591615ada1c5ad617fd4a81ca81a652f1

●高齢者が自宅でできるオンライン体操(兵庫県神戸市)

・神戸市は市内のデイサービス事業者と協力し、タブレット端末などを使ったオンライン運動プログラムを2022年3月末まで実証実験する。

・専用のタブレット端末を無料で貸し出し、画面越しにデイサービス職員の動作や顔を見ながら、自宅での運動に取り組んでもらう。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJB063EZ0W0A201C2000000/

・地域福祉センターなどに同様の端末を置き、離れた高齢者同士が会話できる仕組みも提供する。

https://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/202101/0013985208.shtml

●電力の消費状況からAIでフレイルを検知(三重県東員町)

・三重県東員町は、家庭の消費電力をAIで分析して、フレイルかどうかを見極める実証実験を行った。

・スマートメーターを高齢者の住宅に設置し、記録される消費電力量から、外出の頻度や睡眠時間を測定。

・フレイル予防に興味がない人や、独居の高齢者でもフレイルを検知できる。

https://www.asahi.com/articles/ASP1J73NBP1HONFB01P.html

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チェックポイント詳細
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●高齢者の現状把握

・高齢者の運動機能や栄養状況について調査を行ったことはあるか。

・高齢者の外出や社会参加に関する調査はあるか。

・コロナで高齢者の状況に生じた変化を把握しているか。

●フレイル健診の実施状況

・後期高齢者向けの健康診査の受診率はどの程度か。

・フレイル健診の内容や、自治体としての判断基準は。

・コロナ禍においてフレイル健診や保健指導をどのように行うか。

●高齢者の運動や社会参加の促進

・コロナ禍において高齢者の運動をどのように促進するか。

・コロナ禍において高齢者の社会参加をどのように促進するか。

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さらなる調査のためのリンク集
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【介護】運動+栄養+通いの場、フレイル予防がいよいよ本格化
https://policy-making.com/db/5225/

【介護福祉】対戦型テレビゲーム「eスポーツ」で介護や福祉の課題解決
https://policy-making.com/db/6023/

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