<概要>
●多くの自治体では6月議会で外郭団体の経営状況が報告される
●監査報告書などで外郭団体の経営状況を検証
●多すぎる内部留保金、3割を超える場合は改善が必要
●社会福祉法人の内部留保金に対しても制度改革
●市と協定し内部留保金活用など自治体・外郭団体の取り組み
<チェックポイント>
●外郭団体の内部留保の状況
●外郭団体への監査指摘
●内部留保の積立・活用予定
<掲載事例>
●北海道札幌市、岡山県岡山市
●愛知県犬山市
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6月議会は外郭団体の経営状況を検証のチャンス
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●多くの自治体では6月議会で外郭団体の経営状況が報告
・地方自治法により「一定条件の法人」は毎事業年度に経営状況を議会に提出しなければならないと定められている。
・多くの自治体は6月議会に外郭団体の経営状況を報告。
・6月議会の前に3月決算の外郭団体に関する決算の資料を入手して研究が必要。
http://www.pref.osaka.lg.jp/gyokaku/hojin/jichiho_221_3_konkyo.html
・2020年3月31日時点の第三セクター等についての状況調査結果によれば、財政リスクのある法人は1112法人となっている。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000725047.pdf
(2ページ)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000247.html
●監査報告書などで外郭団体の経営状況を検証
・経営状況の検証には、外郭団体に対する監査報告書や、審議会での報告書が参考となる。
https://www.city.kurashiki.okayama.jp/secure/127464/ke1_syu.pdf
・中長期の経営見通しで赤字体質が改善されず、改革努力が不足していると指摘される事例がみられる。
・内部留保金は将来の施設更新費用や退職金などに備えるものであるが、赤字体質の団体は内部留保金も極めて少ない。
https://www.city.shizuoka.lg.jp/000736312.pdf
(8、9ページ)
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多すぎる内部留保金が課題に
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●多すぎる内部留保金、3割を超える場合は改善が必要
・団体によっては内部保留の過剰な積み立てが発生、国は「公益法人の設立許可及び指導監督基準」で適切な水準を求める。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/daijinkanbou/kanri/pdf/kijun.pdf
(5ページ相当)
・補助金支給の団体にもかかわらず、内部留保の増加に置き換わっていると指摘された事例あり。
https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/013/413/0202_05.pdf
(15、16ページ)
・国は、公益法人の運用指針で内部留保は3割以下程度が望ましいとし、超過の場合は国あるいは自治体が指導・監督できる。
https://www.koeki-info.go.jp/regulation/pdf/002_shishin.PDF
(16、17ページ相当)
http://www.asahi.com/seikenkotai2009/TKY201005180540.html
・札幌市は方針を定め、出資の見直しやサービス向上による市民への還元など、内部留保の計画的な活用を求める。
●社会福祉法人の内部留保金に対して制度改革
・社会福祉法人に対しては、2013年調査で特養1施設当たり平均1.6億円〜3.1億円と
過大な内部留保金への指摘が相次いだ。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000034lq4-att/2r98520000034m3v_1.pdf
(9ページ)
・2016年の社会福祉法改正につながり、その中には「いわゆる内部留保の明確化」が含まれた。
・事業継続に必要な財産を除いた額を「社会福祉充実残額」とし、社会福祉事業又は公益事業の新規実施・拡充に係る計画の作成を義務付けた。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000155170.pdf
(1、2ページ)
・外郭団体の社会福祉法人だけでなく、公益法人全般でも「必要な内部留保額の明示」が必要。
・それ以外の内部留保については「補助金削減」もしくは「市民サービスの向上」への再投資が重要となる。
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市と協定し内部留保金活用などの取り組み
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●市との基本協定により内部留保金活用予定(愛知県犬山市)
・犬山まちづくり株式会社は、まちと一緒に成長する第3セクターとして設立、地域活性化事業や駐車場管理事業などを行う。
・市が実施した遊休地(犬山市土地開発公社所有地)の利活用事業へ提案、賃貸収入を得ることで安定した収入を確保した。
・市との基本協定で収益は内部留保し、地域活性化につながる事業に活用することになり、どのような地元還元を行うか検討中。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000476259.pdf
(351、354ページ)
●団体の存在意義が薄れ、内部留保金が残っているうちに解散(岡山県岡山市)
・財団法人岡山市建設公社は、外郭団体統制委員会から、設立目的を達成し存在意義や市民ニーズがなくなったとして、早期解散すべきと指摘を受ける。
https://www.city.okayama.jp/shisei/cmsfiles/contents/0000004/4196/000047959.pdf
(139ページ)
・解散実現にあたり、理事15人中市議が6人含まれるなどの事情で団体が解散決定するのが困難であるとも指摘されていた。
https://www.city.okayama.jp/shisei/cmsfiles/contents/0000004/4196/000058805.pdf
(262ページ)
・2011年に解散、先進事例集には団体の存在意義が薄れ、内部留保金が残っているうちに解散したと記載。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000476259.pdf
(25、27ページ)
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チェックポイント詳細
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●外郭団体の内部留保の状況
・外郭団体の内部留保の状況は把握できているか。
・国の基準(30%)を超える内部留保を持つ団体は存在するか。
●外郭団体への監査指摘
・外郭団体への監査は実施しているか。
・内部留保に関して監査意見や議会での議論はどうか。
●内部留保の積立・活用予定
・内部留保の今後の積立・取り崩し予定はあるか。
・内部留保の活用や、地元へ還元する計画はあるか。
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さらなる調査のためのリンク集
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【財政】6月議会は外郭団体を総点検するチャンス(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5664/
第三セクター改革等先進事例集(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000476259.pdf
社会福祉法人の内部留保問題の分析-内部留保と資金の乖離に着目して-(会計検査院)
https://www.jbaudit.go.jp/koryu/study/mag/pdf/j49d05.pdf