【法務】自治体内弁護士を活用して組織としての法務能力を向上(政策アイディア)

<概要>

●2000年の地方分権一括法施行により自治体の法的権限が拡大

●弁護士あるいは法曹有資格者を活用する「自治体内弁護士」の導入が増加

●法律相談や法的対応など幅広い業務を担当

●期間は3年程度が主流であり、交代時期の後任選定に対する考え方も重要

●日本弁護士連合会も活用を呼びかけ、パンフや自治体向けQ&Aを発表

<チェックポイント>

●自治体内弁護士の導入に関する課題

●自治体内弁護士の活用状況

<掲載事例>

●新潟県新潟市

●兵庫県明石市、鹿児島県霧島市

●日本弁護士連合会

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125自治体に広がる自治体内弁護士
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●法務能力向上のため、増える自治体内弁護士

・2000年の地方分権一括法施行により自治体の法的権限が拡大し、法律解釈や条例作りなどの政策法務が重要となる。

http://www.jichi-ken.com/about/about_seisaku.php

・生え抜きの自治体職員だけでは法務能力に限界があり、法律の専門家として「自治体内弁護士」の導入が重要となる。

・自治体内「弁護士」と呼ばれているが、弁護士資格者と法曹有資格者(司法試験合格・
司法修習終了だが弁護士に未登録)の二種類が存在。

http://www.moj.go.jp/content/000117200.pdf
(2ページ相当)

・2012年に明石市で導入されて以来、自治体内弁護士の導入は増加し、2020年3月時点では125自治体で193人が常勤職員として活動。

https://www.city.akashi.lg.jp/soumu/jinji_ka/shise/saiyo/saiyojoho/shokushuichiran/documents/2020homushoku-bengoshi-boshuupanfuretto.pdf
(1ページ相当)

●法律相談や法的対応など幅広い業務を担当

・自治体内弁護士は、職員向けの法律相談や研修、苦情や不当要求への対応、訴訟や債権回収など多様な業務に従事している。

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/shokuin_ninyo_pam2015.pdf
(4ページ相当)

・幅広い部署に配置されており、例えば新潟県新潟市では総務部と児童相談所を兼務し、ケースワーカーとして児童との面談にも同席。

・他にも教育委員会、収納管理課など多様な部署への配置事例あり。

https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/legal_info/legal_apprentice/sosikinai/keikensyamessage.pdf
(2、4、7ページ)

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自治体内弁護士の待遇と募集
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●任期の設定や雇用方法

・自治体内弁護士の採用については、3年程度の任期付採用職員としての採用が主流だが、正規職員や非常勤特別職といった採用事例も存在。

・任期付職員としての年収はおおむね800万円程度が多く、被災自治体では全額が特別交付税により措置されたことも。

https://www.nichibenren.or.jp/legal_info/legal_apprentice/sosikinai/guide.html

・弁護士が応募する理由は、自治体法務への関心や短時間勤務など様々。

https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2017_01/p18-21.pdf
(19ページ)

●日弁連も活用や応募に積極的支援

・日本弁護士連合会は求職システムとして「ひまわり求人求職ナビ」で国や自治体からの求人情報を掲載。

https://www.bengoshikai.jp/kyujin/link.php?_ga=2.32951030.978083625.1617760880-727444083.1617760880

・自治体へも活用を呼びかけ、パンフレットを作成し、「顧問弁護士との関係は」などQ&Aも公表。

https://www.nichibenren.or.jp/legal_info/legal_apprentice/sosikinai/data.html

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/local_saiyo_qa_pam2014.pdf

・同時に弁護士にも「自治体内弁護士という選択」「経験者からのメッセージ」など自治体内弁護士の業務をアピールする。

https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/legal_info/legal_apprentice/sosikinai/jichitainaibengoshi.pdf

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弁護士を採用する自治体の取り組み
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●2012年から自治体内弁護士の潮流をつくる(兵庫県明石市)

・弁護士出身の市長の意向で、2012年に全国に先駆けて5人の弁護士を職員として採用。

・法令遵守や市民相談などの担当課長とし、て市民サービス向上につなげる試み。

http://www.city.akashi.lg.jp/soumu/jinji_ka/shise/saiyo/saiyojoho/senmonse/documents/mainichi240528.pdf

・明石市は現在12人の自治体内弁護士を抱え、正規職員にも拡大して募集を続けている。

https://www.city.akashi.lg.jp/soumu/jinji_ka/shise/saiyo/saiyojoho/shokushuichiran/documents/2020homushoku-bengoshi-boshuupanfuretto.pdf
(1、2ページ相当)

●職員が自治体内弁護士の考察で優秀作として受賞(鹿児島県霧島市)

・鹿児島県霧島市の職員がJIAM(全国市町村国際文化研修所)に「自治体内弁護士」に関するレポートを提出し、優秀作として認定を受ける。

・自治体内には2名(弁護士、法曹有資格者)が存在。

・自治体法務の現場から見た自治体内弁護士の意義と課題、活用に当たっての考え方に係る考察など様々な論点をとりあげる。

・組織として常時必要な人材か、期間限定で設置するかに触れ、交代時期に後任を設定するかどうかといった点を指摘。

https://www.jiam.jp/case/doc/rep27_06.pdf
(4、5ページ)

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チェックポイント詳細
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●自治体内弁護士の導入に関する課題

・自治体内弁護士の導入を検討してはどうか。

・自治体内弁護士の導入に関しての課題は何か。

・予算額はどのように見積もっているか。

●自治体内弁護士の活用状況

・自治体内弁護士は何人雇用され、どの部署に配置されているか。

・自治体内弁護士の種類別(弁護士、法曹有資格者)と人数は。

・任期はどのようになっているか、打ち切り予定はあるか。

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さらなる調査のためのリンク集
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【法務】規則・要綱をあらためて考える(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5087/

【財政】120年ぶりの民法改正、債権管理や保証契約で迫られる対応(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5255/

自治体内弁護士を目指す(日本弁護士連合会)
https://www.nichibenren.or.jp/legal_info/legal_apprentice/sosikinai.html

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