<概要>
●国家公務員は利害関係者からの接待禁止、会食は報告義務
●大臣は「大臣規範」により利害関係者からの供応接待が禁止
●地方公務員には接待禁止の明確な法律は存在せず
●常勤特別職は明確な対象法が存在せず、倫理規定などで対応
●年次報告を義務化した職員倫理条例など自治体の取り組み
<チェックポイント>
●職員と利害関係者の会食を抑制する仕組み
●職員・常勤特別職の不祥事事例
●職員倫理条例など対応条例の存在
<掲載事例>
●千葉県
●埼玉県上尾市、福岡県福津市、大阪府羽曳野市
▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
国家公務員・大臣は利害関係者からの供応接待が禁止
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●国家公務員は利害関係者からの接待禁止、会食は報告義務
・総務省職員が利害関係者からの違法接待を受けていることが判明し、連日大きく報道される。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/87932
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210310/k10012907011000.html
・国家公務員は、国家公務員倫理法と倫理規定により、利害関係者からの接待や、割り勘でも旅行・ゴルフは禁止。
https://www.jinji.go.jp/rinri/qa/main.html
(Q1、Q6、Q27)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC1000000129
・人事院は「国家公務員倫理規定解説」で利害関係者を定義し、供応接待を受けることを禁止。
・利害関係者と共に飲食をする場合、割り勘でも1万円を超えるときは届け出なければならない。
https://www.jinji.go.jp/rinri/kaisetu/kaisetu.pdf
(2、11、22、23ページ)
●大臣は「大臣規範」により利害関係者からの供応接待が禁止
・大臣の場合は「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」により、規範を定める。
・関係業者との接触等の供応接待を受けることを禁じている
https://www.cas.go.jp/jp/siryou/kihan.pdf
(2ページ相当 (6)関係業者との接触等)
・大臣規範は、2001年中央省庁再編の際に政治と行政の信頼関係確保を目指して決定された規範。
https://www.cas.go.jp/jp/siryou/archive_h13-15.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
自治体職員に接待禁止の法律はなく各自治体で工夫
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●地方公務員には接待禁止の明確な法律は存在せず
・国家公務員に対して、地方公務員には接待禁止や会食の報告などの明確な法律は存在しない。
・国家公務員倫理法第43条に国に準じた施策への努力義務が定義されるのみ。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC1000000129
(第43条 地方公共団体等の講ずる施策)
・コンプライアンス条例で職務や倫理についての基本原則を掲げたり、行動規範を全職員にメール送付する事例。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202103/0014126416.shtml
・国家公務員倫理法に近い「職員倫理規定」を制定、あるいは倫理・行動指針を制定している自治体もある。
https://www1.g-reiki.net/okaya/reiki_honbun/e705RG00000722.html
https://www.city.nagaoka.niigata.jp/shisei/cate03/ethics/file/formulation-01.pdf
●都道府県の職員倫理条例・規範など条例化の状況
・都道府県レベルで職員倫理に関する条例は11県で、そのうち10県が利害関係者との禁止行為等を規定。
・利害関係者との飲食届出制度は19県となっている。
(千葉県が2018年2〜3月に実施した全国調査結果より)
https://www.pref.chiba.lg.jp/gyoukaku/shingikai/compliance/documents/29_03shiryou2.pdf
・市長、教育長など常勤特別職職員に対しては、大臣規範のような規定が一般的には存在しない。
●常勤特別職は明確な対象法が存在せず、倫理規定などで対応
・埼玉県上尾市では職員倫理条例で常勤特別職も対象とし、規則で利害関係者との会食を禁止。
https://www.city.ageo.lg.jp/uploaded/attachment/68844.pdf
(34ページ)
・福岡県福津市では「福津市常勤特別職政治倫理条例」にて市長等の政治倫理基準を定義。
・基準には明確に「接待・会食」に関しての定義はないが、疑惑を持たれない説明責任の条項や市民からの審査請求権を定義。
https://www.city.fukutsu.lg.jp/section/reiki/reiki_honbun/r163RG00000897.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
年次報告を義務化した職員倫理条例など自治体の取り組み
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●全庁的なコンプライアンスの徹底に向けて2019年より条例施行(千葉県)
・千葉県職員倫理条例では倫理規則により利害関係者との禁止行為を定め、報告制度により職員の倫理保持を図る。
https://www.pref.chiba.lg.jp/gyoukaku/houreijunshu/compliance/rinnri.html
・2009年に「千葉県コンプライアンス基本指針」を策定したが、2017年「官製談合防止法違反事件」が発生。
・2019年に条例・規則に関して「教本」を発表し、取組を根本的に見直した経緯を説明。
・利害関係者を「特定の事務の相手方となる事業者等又は個人」と定義。
・報告制度により「自己に要する費用が1万円を超える」ときは届出が必要。
https://www.pref.chiba.lg.jp/gyoukaku/houreijunshu/compliance/documents/kiyouhon.pdf
(1、2、3ページ)
●条例を制定し職員倫理に関する状況について毎年公表(大阪府羽曳野市)
・2019年4月に羽曳野市職員倫理条例を施行、利害関係者に供与もしくは接待を受けたときには贈与等報告書を提出する。
https://www.city.habikino.lg.jp/material/files/group/12/rinrijourei.pdf
・市長が毎年、職員の職務に係る倫理の保持に関する状況及び講じた措置について公表することを規定。
・2020年発表分では5000円を超える贈与等(接待を含む)はゼロ件、飲食許可14件となっている。
https://www.city.habikino.lg.jp/material/files/group/12/R1unnyoujoukyou.pdf
▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
チェックポイント詳細
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●職員と利害関係者の会食を抑制する仕組み
・利害関係者との会食禁止など職員の倫理を保つ仕組みは存在するか。
・倫理基準違反への対応はどのようになっているか。
●職員・常勤特別職の不祥事事例
・過去に金品贈与などの職員、常勤特別職の不祥事事例は存在するか。
・不祥事発生後の自治体の対応は。
●職員倫理条例など対応条例の存在
・職員倫理条例、コンプライアンス条例のような職員倫理に関する条例は存在するか。
・常勤特別職への対応はどうなっているか。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
さらなる調査のためのリンク集
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
職員倫理条例(一般社団法人 地方自治研究機構)
http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/065_Compliance.htm
【法令遵守】不祥事や事務処理ミスを防ぐ内部統制(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5197/
【人事】12月に総務省・自治体より懲戒処分状況発表!服務規律の向上策を(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6056/
【危機管理】不祥事発生!行政・民事・刑事責任それぞれ求められる対応(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5259/
【政治倫理】資産公開条例と政治倫理条例を骨抜きにしないために(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5181/