【財政】広がる「財政非常事態宣言」、中期財政計画と特定目的基金に注目(事例研究)

<概要>

●コロナ禍の税収減などで「財政非常事態宣言」を出す自治体

●政令市も財政危機宣言や大幅な歳出削減を表明

●国の支援もある中、コロナ以外に財政悪化の原因がある可能性

●中期財政計画や特定目的基金に注目

●公共施設保全積立基金を明確な基準で積み立てている事例

<チェックポイント>

●当初予算に関する首長の説明

●財政調整基金の推移

●コロナによる財政への影響

●中期財政計画の策定状況

●特定目的基金の種類と積立額

<掲載事例>

●大阪府堺市、京都府京都市

●静岡県裾野市、長野県池田町、滋賀県米原市、長野県安曇野市、滋賀県彦根市、兵庫県西宮市

▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
広がる自治体の「財政非常事態宣言」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●財源不足で「財政非常事態宣言」を出す自治体

・静岡県裾野市は2021年2月15日に財政非常事態宣言を発出。

・「事業の見直しを実施」として、総人件費の抑制・独自事業全般の見直し・大型公共事業の一時停止や先送りなどを示した。

・毎年の予算編成が苦しく、2009年度に86億円あった財政調整基金は減少し、枯渇する可能性にも出ていた。

・さらに市内企業の生産拠点の移転による閉鎖などの事態が起きたためと説明。

http://www.city.susono.shizuoka.jp/material/files/group/14/zaiseihijoujitai20210215.pdf

・2019年度から3年間を集中取り組み期間として、歳出削減額6.5億円を目標に行財政構造改革を進めてきたが、コロナが想定外だった。

https://mainichi.jp/articles/20210216/ddl/k22/010/137000c

・他にも長野県池田町は厳しい歳出削減に取り組み、財政危機の責任をとって特別職の給与を削減と表明。

https://www.shimintimes.co.jp/news/2020/11/post-11816.php

●政令市も財政危機宣言や大幅な歳出削減を表明

・大阪府堺市は2021年2月8日、市税収入の落ち込みを受け、「今は平時ではなく有事だ」と「財政危機」を宣言。

・財政調整基金も14億円を取り崩し、48億円となる見込み。

https://www.asahi.com/articles/ASP2872HYP22PPTB00G.html

https://www.city.sakai.lg.jp/shisei/koho/hodo/shichokishakaiken/kaiken_r2/r030208.html

・京都府京都市も2020年12月28日に基本方針を発表、公共事業の延期や全職員を対象とした給与カットに踏み込む。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJB281CJ0Y0A221C2000000/

・高齢者向けの敬老乗車証の利用料見直しなど市民サービスを削減し、市主催のイベント事業を2021年度は原則休止・公費負担ゼロにする。

https://mainichi.jp/articles/20201229/k00/00m/010/053000c

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
財政悪化の原因究明と中長期の財政運営
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●コロナが真の原因か?財政悪化の原因究明が必要

・京都市の現状について、元市議は「コロナ禍がなくても着実に近づいていた財政破綻が、コロナ禍で一気に現実化した」と批判。

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/201201/mca2012011512016-n1.htm

・コロナ対策の大規模な支出に対しては、「コロナ対応地方創生臨時交付金」などが存在し、自治体の一般財源の持ち出しは少なくなっている。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/rinjikoufukin/index.html

・コロナ禍による減収も、国は「減収補てん債」を対象外の税目(例えば消費税交付金)にまで拡大し、「特別減収対策債」として調達可能にした。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000724573.pdf
(15ページ)

・財政危機の団体では、歳出削減の努力不足や大規模な公共事業の実施がここ数年間なかったか、コロナ以外の原因を検証する必要がある。

●重要な中期財政計画と特定目的基金

・中長期の財政運営を着実に見通すために重要な「中期財政計画」は、自治体ごとに様式や期間が異なる。

・滋賀県米原市では2021年〜20217年を対象とする中期財政計画を2020年10月に策定。

https://www.city.maibara.lg.jp/material/files/group/8/R2zaiseikeikaku.pdf

・財政調整基金以外に地方自治法241条に基づく特定目的基金を設置し、分散して基金を持つことも重要。

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/12991.pdf
(6ページ)

・長野県安曇野市は、2021年度予算で「公共施設整備基金」など多くの基金を取り崩し、財政調整基金の取り崩しは最小限にとどめる。

https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/43638.pdf
(7ページ)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
中期財政計画や基金に関する自治体の取り組み
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●今後の基金の取り崩しについて触れた中期財政計画(滋賀県彦根市)

・2021年2月に制定され、「社会保障関係経費の増加・投資的事業等に加えて、新型コロナウイルス感染症対策も必要」と厳しい状況を記載。

・2022年度以後にも基金の取り崩しが必要で、基金残高を確保するために、さらなる歳出削減を行う。

・歳出削減をしなかった場合、歳入の減少および歳出の増加により令和4年度で財政調整基金が枯渇する。

https://www.city.hikone.lg.jp/material/files/group/108/chuukizaiseikeikaku_R3_R7.pdf
(1、10、11ページ)

●公共施設保全積立基金を明確な基準で積立(兵庫県西宮市)

・公共施設の計画的な修繕・改修のための財源確保と事業費の平準化を目的に、2014年に公共施設保全積立基金を創設、残高は2019年度末で36億円。

https://www.nishi.or.jp/shisei/gyoseikeiei/kokyoshisetsu/kokyo-torikumi.html
(公共施設保全積立基金)

・毎年度の積立は、6億円または決算剰余の20%相当額のいずれか高い額と明示。

・2018年度までは積み立てのみ行われているが、基金の取り崩しのルールも制定している。

https://www.nishi.or.jp/shisei/gyoseikeiei/kokyoshisetsu/kokyo-torikumi.files/hozentumitate-unyou.pdf

▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
チェックポイント詳細
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●当初予算に関する首長の説明

・当初予算についての首長は記者会見でどのように説明しているか。

・特に財政状況についての見通しはどのように説明、報道されているか。

・施政方針演説で、財政に関する見通しはどう説明されたか。

●財政調整基金の推移

・10年間の財政調整基金の額はどのように推移しているか。

・2020年度と2021年度当初予算における取崩額はどうか。

●コロナによる財政への影響

・コロナ関連の支出のうち、臨時交付金が使えずに自治体の持ち出しとなる金額はいくらか。

・コロナ関連の税収減のうち、特別減収対策債で手当てできない額はいくらか。

●中期財政計画の策定状況

・中期財政計画は策定・発表されているか。

・中期財政計画の期間中における財政調整基金の積立額など各種指標はどうか。

●特定目的基金の種類と積立額

・特定目的基金の種類とその積立額はいくらか。

・公共施設の更新に関する基金は存在するか。

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
さらなる調査のためのリンク集
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

【予算】2021年地方財政対策(4)地方重視の政策が充実(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/6041/

【財政】コロナ対策で自治体の財政調整基金が減少!将来見通しとの兼ね合いは?(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5736/

おすすめ記事