<概要>
●コロナ禍による減収で難航する2021年度予算編成
●各自治体は支出削減や事業廃止・統合の予算編成方針を示す
●一方で国は、2020年度第3次補正予算で巨大な交付金や補助金の可能性
●財政調整基金の減少、税収の回復見込みなど、中期財政計画の見直しが必要
●予算編成過程の公開や中期財政計画の見直しなど自治体の取り組み
<チェックポイント>
●予算編成方針の策定、公開状況
●2021年度予算編成の特殊性
●国の大型補正予算への対応
●中長期財政計画の変更
<掲載事例>
●東京都、千葉県、福島県
●富山県滑川市、福井県坂井市、千葉県我孫子市、大阪府豊中市
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コロナ禍で苦しい2021年度予算編成
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●コロナ禍による減収で難航する2021年度予算編成
・コロナ禍における税収減や支出増の影響で2021年度予算編成は厳しい状況。
・兵庫県は、来年度の県税収入が当初の見込みより2000億円程度減少する見込みで、2020年度の1000億円の税収不足よりさらに厳しい。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20201110/2020010567.html
https://news.kobekeizai.jp/blog-entry-6719.html
・こうした中、年内から年明けにかけて予算編成作業は続けられ、鳥取県などは編成日程を公開。
https://www.pref.tottori.lg.jp/288563.htm
●10月に公開され始めた各自治体の予算編成方針
・予算は、課長レベルが予算要求を行い、部長査定→財政部→副市長・市長査定といった流れで策定していく。
・予算要求や策定にあたっては、大きな方向性として羅針盤ともいえる「予算編成方針」を各担当に示し、各担当から「予算要求」をあげる形。
https://www.city.hamura.tokyo.jp/0000002231.html
・予算編成方針は例年夏から秋に示されるが、2021年度は遅れており10月に入り各自治体が方針を公開。
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支出削減の一方で、国からは巨額の補正予算
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●支出削減や事業廃止・統合の方針を示す自治体
・東京都はコロナ影響で税収減となることから、事務費は10%以上削減との方針を示す。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200914/k10012616551000.html
・千葉県も原則として、令和2年度当初予算額に対し、当然増減となるものを除き一般財源ベースで10%減額の方針。
・さらに「新規・拡充事業については、上記10%の減額と同額を要求可能額の上限」と厳しく示す。
https://www.pref.chiba.lg.jp/zaisei/press/r3nendo/r3tousho-youkyuutsuuchi.html
・福島県は「通常枠」では例年以上の事業廃止や統合を図る一方、新型コロナ対策費には上限を設けずメリハリをつける。
https://www.minyu-net.com/news/news/FM20201023-549557.php
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/410895.pdf
●削減の一方、2020年度最終補正予算で巨大な交付金や補助金の可能性
・支出削減に取り組む一方で、国の「15カ月予算」方針のもと、2020年度3次補正予算で交付金や補助金が多く流れ込む予定。
・菅首相は11月10日閣議で第3次補正の編成を指示、年明けの国会で審議され、自治体は3月補正予算で対応することとなる。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020111000185&g=pol
・3月補正での予算計上は応募期間が短く、新規事業は拙速な提案になりがち、12月議会で「新規事業の予定」を豊富に議論することが重要。
https://policy-making.com/db/5374/
・特に「コロナ臨時交付金の積み増し」への対応として、既存のコロナ臨時交付金の使途、効果の検証が重要。
https://policy-making.com/db/5958/
https://www.chuokai.or.jp/hotinfo/teigen201030.pdf
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見直しが必要な中期財政計画
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●条例や議会議決による中期財政計画
・各自治体では中期財政計画という形で財政見通しを行うが、多くは条例に基づかない計画。
・富山県滑川市では「健全な財政に関する条例」に基づき中期財政計画を策定。
http://www.jfm.go.jp/support/pdf/useful/H30mitoshi00.pdf
(2ページ相当)
https://www.city.namerikawa.toyama.jp/shisei/15/1932.html
・福井県坂井市のように、地方自治法96条第2項の追加議決事項に含めている自治体も見受けられる。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000610078.pdf
(41ページ相当)
●財政調整基金や税収など「中期財政計画」の見直しが必要
・中期財政計画は5年間を対象期間として、毎年見直す自治体が多い。
・新型コロナ対応により財政調整基金が減少し、税収の回復が見通せない中、リーマン・ショック時も参考にして中期財政計画の見直しが必要。
https://www.city.fujiyoshida.yamanashi.jp/div/kikaku/pdf/sougou/H21hajimeni.pdf
・予算編成にあわせて中期財政計画の見直しを実施する自治体も多いが、大きな方向性などは12月議会で確認すべき。
https://www.city.maibara.lg.jp/shisei/zaisei/other/8377.html
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予算編成過程の公開など、自治体の取り組み
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●全国のトップをきって予算編成方針や予算要求を公開(東京都)
・東京都は、規模や特別区との関係から自治体ではトップをきって予算編成方針を提示。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/08/28/03.html
・各局の予算要求、都議会各会派からの要望、財務局査定、知事査定を公開するため、その後に編成する自治体にも参考となる。
https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/zaisei/yosan/r2.html
https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/syukei1/zaisei/02yosanyokyujokyou_index.html
・他にも、千葉県我孫子市は先進的に予算編成課程を公開し、他の自治体でも12月議会議論の参考となる。
https://www.city.abiko.chiba.jp/shisei/zaisei/tousho_shinnen/r2seisakuyosan.html
●コロナ感染症拡大に対応して9月に中期財政計画の見直し方針(大阪府豊中市)
・豊中市は、新しい社会情勢にあわせて、自治体運営の基本となる「経営戦略方針」の改訂版を示す。
・コロナ禍を変革の機会ととらえてデジタル技術の活用を示すほか、コロナ後の「新たな社会」に対応した都市戦略の必要性を記述。
・コロナ後の見取り図も提示、コロナ危機に対応した「中期財政計画の見直し」を取り組み方針にあげる。
https://www.city.toyonaka.osaka.jp/joho/keieisenryakuhoushin/index.files/keieisennryakuhousin_kaitei.pdf
(4、6、17、24ページ)
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チェックポイント詳細
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●予算編成方針の策定、公開状況
・予算編成方針は何月ごろ策定されたか、例年との比較は。
・予算編成方針はHPで公開されているか。
●2021年度予算編成の特殊性
・2021年度予算編成方針において特に例年と異なる方針はどこか。
・税収や支出の見積もりはどのように記述されているか。
・一律のマイナスシーリングや特別枠は存在するか。
●国の大型補正予算への対応
・国の大型補正予算についての情報収集は行っているか。
・締め切り時間が短い補正予算に対応できる新規事業予定の議論はされているか。
●中長期財政計画の変更
・中長期財政計画はどのような間隔で策定・発表されているか。
・コロナ禍において修正・変更の予定はあるか。
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さらなる調査のためのリンク集
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【財政】予算編成ができない!コロナによる税収減とその対策(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5928/
【予算】予算編成に議会・市民の意見を反映させる工夫(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5162/