<概要>
●国の「2050年CO2排出ゼロ」宣言と自治体の状況
●「2030年削減目標」の設定が重要
●断熱など公共施設のエネルギー性能向上策
●公共施設省エネ指針、環境モデル都市など自治体の取り組み
●石炭火力発電所の廃止宣言、原子力発電所をめぐる議論
<チェックポイント>
●自治体の地球温暖化防止計画の目標値
●2050年CO2排出量ゼロへの対応
●公共施設のエネルギー性能向上
●近隣の石炭火力発電所や原子力発電所の状況
<掲載事例>
●長野県
●東京都世田谷区、北海道ニセコ町
●気候ネットワーク、自然エネルギー財団、一般社団法人地域政策デザインオフィス、環境エネルギー政策研究所(ISEP)
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総理が「2050年CO2排出ゼロ」を所信表明
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●国の「2050年CO2排出ゼロ」宣言と自治体の状況
・総理は2020年10月26日の所信表明演説において「2050年CO2排出実質ゼロ」とする目標を宣言。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020102600856&g=pol
・パリ協定成立を受け、自治体においても「2050年CO2排出ゼロ」表明が増加。
・2020年10月26日時点で166自治体、表明自治体の人口は約7883万人、この1年で宣言自治体は増加中。
https://www.env.go.jp/policy/zero_carbon_city/01_ponti_201026-2.pdf
●「2030年削減目標」の設定が重要
・環境系NGOは「2050年目標」に至る「2030年目標」の設定が重要と指摘、国の現状の2030年目標は26%減。
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/keikaku/tikyuondankataisakukeikaku_gaiyou.pdf
(3ページ)
・気候ネットワークは、2030年目標を50%以上削減へ大幅引き上げを求める。
https://www.kikonet.org/press-release/2020-10-26/Japan2050GHGsnetzero
・自然エネルギー財団は、2030年度までの45%削減こそが必要と、コメントを公表。
https://www.renewable-ei.org/activities/reports/20201026.php
・自治体の地球温暖化計画においても、2050年だけでなく2030年の目標設定を確認する必要あり。
https://www.env.go.jp/policy/local_keikaku/sakutei.html
●省エネ、再生可能エネなど、具体的な地域政策の積み上げが重要
・大きな技術革新を前提にしない限り、省エネルギーの徹底と再生可能エネルギー導入が目標達成のポイント。
・各自治体の具体的な地球温暖化防止政策が重要となる。
・環境省は2050年CO2ゼロを宣言した自治体のそれぞれの実践例を紹介。
https://www.env.go.jp/policy/zero_carbon_city/02_list_201026-3.pdf
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断熱など公共施設のエネルギー性能向上策
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●公共施設から始める建築物のエネルギー性能向上
・環境省の地方環境事務所では九州や中部を中心に各種カンファレンスを実施、地域の具体的な政策を紹介。
http://chubu.env.go.jp/earth/post_20.html
http://kyushu.env.go.jp/earth/post_31.html
・2020年1月「地域での取り組み」では環境省提案の「地域循環共生圏」を紹介、具体的な住宅・建築物の取り組みをあげる。
・2030年までに平均でエネルギー消費量概ねゼロ以下の実現をめざす。
http://kyushu.env.go.jp/20200108_Asano.pdf
(8、9、11、12ページ)
・まず自治体自らが公共施設のエネルギー消費ゼロ以下を達成することが重要。
●公共施設をモデルケースに区域全体への優良建築物波及
・元長野県職員の地域政策デザインオフィス代表は「公共施設からはじめる地域循環共生圏づくり」を提言。
・公共施設の新築・建替・大規模改修は将来の社会情勢に対応すべきとしたセミナー内容は、環境エネルギー政策研究所HPにて公開。
https://www.env.go.jp/policy/local_keikaku/training2019/siryou/chubu-04.pdf
(22、25相当ページ)
http://www.energy-democracy.jp/2324
・他にも、エネルギー効率の高い建物づくりをアドバイス、公共施設が区域建物のモデルケースになることを求める。
http://www.energy-democracy.jp/2354
・元長野県副知事の環境省職員は、長野県のエネルギー検討制度を紹介、区域に建築物の性能向上を誘導する方策を示す。
http://chubu.env.go.jp/earth/mat/data/CS17-S0.pdf
(35、36、37ページ)
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「公共施設省エネ指針」など自治体の取り組み
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●新築・改築・大規模改修の「公共施設省エネ指針」(東京都世田谷区)
・世田谷区は、2008年に公共施設の省エネ推進のために施設における環境対策が必要として指針を定める。
・環境にやさしい施設づくりとして、外壁の断熱など負荷の提言・自然エネルギーの利用などを提示。
・環境にやさしいみどりづくりとして、校庭芝生化、屋上緑化、壁面緑化(みどりのカーテン)などを提示。
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/sumai/011/010/d00051565_d/fil/syoueneshishin.pdf
(33、34ページ)
●ゼロ・エネルギー・ビルの技術調査(北海道ニセコ町)
・ニセコ町は、2008年から環境モデル都市として低炭素社会の実現に向け高い目標を掲げて先駆的な取り組みを行う。
https://www.town.niseko.lg.jp/chosei/kankyo/model/
・2017年エネルギー構造高度化・転換理解促進事業としてゼロ・エネルギー・ビルの調査などを実践。
・新庁舎に向けたゼロ・エネルギー・ビル化ロードマップも示す。
https://www.town.niseko.lg.jp/resources/output/contents/file/release/905/19610/report.pdf
(3-2~5、3-11ページ)
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今後の課題は石炭火力発電所、原子力発電所の動向
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●全国で100基の石炭火力発電所の廃止を政府が宣言
・CO2目標達成には大量のCO2を排出する石炭火力発電所の動向がポイント。
・イギリスは2025年までに、フランスは2022年までに石炭火力発電所の廃止を宣言。
・経産省は「2030年までに非効率な石炭火力発電所を休廃止」の方針を発表、休廃止は9割相当の100基と見込まれる。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020070300579&g=eco
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/sekitan_karyoku_wg/index.html
・専門委員会「石炭火力検討ワーキンググループ」は、第4回会議で「非効率」の定義は実績の発電効率が適切と報告。
・第1回に示された「発電効率41%」が一つの分岐点になる可能性あり。
(12、13、14ページ)
●原子力発電所をめぐる推進の議論
・原子力発電所はCO2排出量がなく、地球温暖化対策として有効であるという意見がある。
・NHKは宣言を受けて「脱炭素へ原発の新設も検討を」と発言した自民党の世耕氏を取り上げる。
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/47316.html
・電気事業連合会も総理発言を歓迎しつつ「目標達成には、抜本的な革新的技術を生み出すイノベーションが重要」と声明。
https://www.fepc.or.jp/about_us/pr/oshirase/__icsFiles/afieldfile/2020/10/26/press_20201026.pdf
・電気事業連合会は「発電時にCO2を排出しない原子力発電は地球温暖化防止の観点で、優れた発電方法の一つ」と説明。
https://www.fepc.or.jp/nuclear/state/riyuu/co2/index.html
●原子力発電所をめぐる反対の議論
・東京新聞は総理の宣言に対して「原子力発電所新増設狙いか」と指摘。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/64429
・石炭火力発電所、原子力発電所いずれにしても存続や新設に対しては住民の抵抗がある。
・一方で撤退の際の自治体財政へのダメージや代替産業の誘致が必要といった観点での議論が今後の課題となる。
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チェックポイント詳細
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●自治体の地球温暖化防止計画の目標値
・現状の地球温暖化防止計画(区域政策編)における2050年目標値は。
・2030年の目標値と道筋は提示されているか。
●2050年CO2排出量ゼロへの対応
・地球温暖化防止計画の見直し予定はいつか。
・2050年CO2排出量ゼロの目標でない場合、政府目標との整合性は。
●公共施設のエネルギー性能向上
・新築予定の公共施設のエネルギー性能向上に取り組んではどうか。
・既存の公共施設のエネルギー性能をどう向上させるか。
●近隣の石炭火力発電所や原子力発電所の状況
・自治体内あるいは周辺に石炭火力発電所は存在するか。
・現状の石炭火力発電所は経産省の見直し対象に含まれているか、発電効率は何%か。
・自治体内あるいは周辺に原子力発電所は存在するか、その動向は。
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さらなる調査のためのリンク集
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【環境】経費削減・生産性向上にも通じる省エネルギー政策(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5183/
【エネルギー】自治体が広める再生可能エネルギー(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5080/
【環境】総人口の過半数に迫る2050年CO2排出実質ゼロ表明の自治体(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5662/
地域から気候危機を止めるための政策提言リーフレット(ストップ気候危機!自治体議員による気候非常事態・共同宣言)
https://cedgiin.jimdofree.com/地域政策/