【教育】教科担任制を導入!「令和の日本型学校教育」中間まとめが発表(国政情報)

<概要>

●文科大臣が中央教育審議会に義務教育改革を諮問

●義務教育9年間を見通した教科担任制が主要な論点に

●2022年度から小学校高学年に教科担任制を導入

●小中学校どちらでも教科担任ができる先生を増やす

●授業交換や教科分担制など、教科担任制に近付ける自治体の取り組み

●専科教員の独自雇用や、単元別に担任を変える自治体も
 
<チェックポイント>
 
●教員の負担や働き方の現状

●授業交換など授業の質を高める取り組み

●教科担任制の実施に向けた考え方

<掲載事例>

●神奈川県横浜市

●兵庫県丹波市、茨城県守谷市、滋賀県大津市
  
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国が新しい時代の義務教育のあり方を諮問
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●文科大臣が中央教育審議会に義務教育改革を諮問
 
・2019年4月、文部科学大臣が中央教育審議会に「新しい時代の初等中等教育の在り方」を諮問。
 
・2015年時点の日本は、数学的リテラシーや科学的リテラシーがOECD加盟国中1位で、世界トップレベルの学力水準。
 
・一方で高校生の学習意欲は薄れ、大学受験に最低限必要な科目以外を真剣に学ぶ動機が低下していた。

・小学校教師は月59時間、中学校は81時間の時間外勤務をしており、小学校採用試験の倍率は2000年の12.5倍から2017年は3.5倍に急落。

https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2019/04/18/1415875_2_1.pdf
(1ページ)

●義務教育9年間を見通した教科担任制が主要な論点に
 
・2019年12月、中央教育審議会の初等中等教育分科会は「論点取りまとめ」を公表。
 
・「個別最適化された学びを全国で実現するため、学校のチーム力を高め、学校における働き方 改革を進める」とした。
 
・特に検討を深める事項として、「ICTの活用」と並べて「義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方」を明記。

・クラス担任が全ての教科を教えるのではなく、教科ごとに専門の先生が教えるのが「教科担任制」。

https://www.mext.go.jp/content/20191226_mxt_syoto02-000003701-01.pdf
(3ページ目)
 
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「令和の日本型学校教育」中間まとめ
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●2022年度から小学校高学年に教科担任制を導入
 
・2020年10月7日、中央教育審議会が「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(中間まとめ)を公表。
 
・生徒同士が関わり合う「協働的な学び」と同時に「指導の個別化」を行うため、「専門性の高い教師」が必要。
 
・2022年度を目途に、小学校高学年から教科担任制を導入し、指導の充実と教師の負担軽減を図る。

https://www.mext.go.jp/content/20201007-mxt_syoto02-000010320_1.pdf
(2、5ページ)

・既に専科指導が進んでいる音楽・図工・家庭科・体育に加えて、外国語・理科・算数を優先的に専科指導の対象とする。

https://www.mext.go.jp/content/20201007-mxt_zaimu-000010292_5.pdf
(2〜3ページ)

●小中学校どちらでも教科担任ができる先生を増やす
 
・義務教育9年間を見通した指導体制を構築し、小学校と中学校の両方の教員免許の取得を促進。

https://www.mext.go.jp/content/20201007-mxt_syoto02-000010320_1.pdf
(5ページ)
 
・教職課程で小・中学校のどちらにも単位として認められる共通開設科目を増やし、両方の免許を取るために必要な単位数を減らす。
 
・中学校教諭が小学校で専科教員として働いている期間を勤務年数に含め、小学校2種免許状の取得に必要な単位も軽減。

https://www.kyoiku-press.com/post-218675/

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教科担任制から単元別の担任制まで、自治体の事例
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●教科担任制を導入して、チームで高学年の全クラスを担任(兵庫県丹波市)
 
・2020年4月から教科担任制にして、教師5人の「高学年団」で高学年の全クラスを担任。
 
・児童は多くの教師の価値観に触れる機会が持てて、問題によって相談する教師を代えることができる。
 
・教師は4〜6年生の同じ教科を担当するので、複数年にまたがる指導をすることができる。

https://tanba.jp/2020/08/担任の先生がいない?%E3%80%80小学校で教科担任制を導/

●学年の教師が担当教科を交換する教科分担制(神奈川県横浜市)
 
・隣のクラス同士で授業を交換することで、徐々に分担を進めて教科担任制に近付ける。
 
・学級を持たない学年主任が、学級担任の気付かない子どもの状況や、教師ひとりひとりの状況をマネジメント。
 
・分担する授業の準備がじっくりできて、複数の教員で子どもに関われるなどのアンケート結果。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/083/siryo/__icsFiles/afieldfile/2019/07/26/148593-5_2_1.pdf

●市が独自に教科担任制の教員を雇用(茨城県守谷市)

・2020年4月から、市内全9校の小学校高学年の一部授業で「教科担任制」を導入。

・5、6年生の理科・音楽・図工では、学級担任ではなく市が独自に雇った専門の教員が授業を行う。

・専門教員は公募で採用し、1年間の任期付き雇用で実績などにより最長5年まで延長できる。

https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/education/26725/

●学習単元ごとに異なる教員が授業する「単元担当制」を導入(滋賀県大津市)

・2020年4月から一部の市立小・中学校で、教科内の学習単元ごとに異なる教員が授業する「単元担当制」を導入。

・理科なら「光と音」や「植物のからだ」など学習単元ごとに授業を分担し、教員が得意分野を教えることで授業の質の向上を図る。

・全国初の取り組みで、教員の確保などが課題だが、条件が整った学校から順次導入。

https://www.sankei.com/life/news/191108/lif1911080042-n1.html
 
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チェックポイント詳細
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●教員の負担や働き方の現状
 
・授業準備など教員の時間外労働の実態はどうか。
 
・児童への対応などを担任が一人で抱え込まないような仕組みはあるか。

●授業交換など授業の質を高める取り組み
 
・学年内で得意な授業を交換・分担するなどの取り組みはあるか。
 
・音楽、図工、家庭科、体育などの専科指導はどこまで進んでいるか。

●教科担任制の実施に向けた考え方
 
・外国語、理科、算数など、どの教科から専科指導に移行するか。
 
・外部から専科教員を雇用する考えはあるか。

・教科だけでなく単元別に担当教員を変える考えはあるか。
 
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さらなる調査のためのリンク集
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「令和の日本型学校教育」中間まとめ本文(中央教育審議会)
https://www.mext.go.jp/content/20201007-mxt_syoto02-000010320_2.pdf
 
【教育】全員担任制や教科担任制など「チーム学校」による教育(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5202/

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