【財政】来年度予算の目玉は?ようやく出そろった各省庁の概算要求(国政情報)

<概要>

●概算要求を見れば来年度予算の地方に与える影響が分かる

●厚生労働省はコロナ対策だけでなく社会保障経費も見通せず

●文部科学省は教員の大幅な増員とデジタル教科書を要求

●総務省と経済産業省は、デジタル化と地方移住やテレワークを推進

●国土交通省は公共交通のバリアフリー化と空き家対策

●環境省はCO2排出量ゼロを目指す自治体の再生可能エネルギー導入を支援

<チェックポイント>

●来年度に向けたコロナ体制整備

●きめ細かい教育に向けた人員強化

●社会全体のデジタル化

●地方移住やテレワークの受け皿づくり

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目玉政策も要求額が未定で、どこまで膨らむか分からない予算
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・2020年9月末に締め切られた2021年度予算編成の概算要求額は、一般会計で105兆円規模。

・コロナ対策など金額を示さない「事項要求」が多く、年末に決まる予算総額は102兆円だった2020年度を上回り過去最大となる可能性。

・例年は8月末に締め切る概算要求を、今年はコロナの影響で1カ月延長したが、予算案を12月下旬に閣議決定する日程は維持。

・今後は各省庁が財務省と予算折衝をするが、概算要求を見れば来年度予算の地方に与える影響が分かる。

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200930/mca2009301944017-n1.htm

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コロナ対策だけでなく社会保障経費も見通せず(厚生労働省)
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・過去最大となる32兆9900億円を要求し、さらに金額未定のコロナ対策などを上乗せで事項要求。

・各都道府県が病床の確保や応援医師の派遣、軽症者の療養体制を確保するための緊急包括支援交付金。

・予防・健康づくりやデータヘルス改革と、国民健康保険の保険者インセンティブの強化。

・市町村プラットフォームなど就職氷河期世代の支援と、賃金引き上げや非正規労働者の処遇改善を行う企業への助成。

https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/21syokan/dl/01-01.pdf
(1、5、6、7ページ)

・年金や医療などの社会保障経費は前年度と同じ30兆8500億円で、高齢化に伴う「自然増」は見通すのが困難として明示できず。

https://www.sankei.com/life/news/200930/lif2009300021-n1.html

・資格を持ちながら働いていない保健師を集めた「人材バンク」を都道府県ごとに設け、緊急時には保健所の負担を軽減。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200929/k10012639011000.html

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大幅な増員とデジタル教科書を要求(文部科学省)
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・要求額は2020年度予算5兆3千億円から11%増えて5兆9千億円。

・少人数学級のための教員定数増は事項要求のため要求額に含まれず、予算が大幅に膨らむ可能性。

・小学校の専科指導に取り組む学校へ職員2千人、発達障害児への通級指導のために506人の教員を加配。

・学習指導員は前年度比2万4千人増、スクール・サポート・スタッフは1万9900人増、中学校の部活指導員は3千人増。

・小学校5・6年生の1教科、中学校全学年の2教科分のデジタル教科書を導入する経費全額。

https://www.mext.go.jp/content/20200929-mxt_kouhou01-000010168_1.pdf
(1、5、6、9ページ)

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自治体のデジタル化と、地方移住やテレワーク推進(総務省)
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・行政手続オンライン化、AIやRPA(自動化ソフト)の活用など、自治体のデジタル化。

・マイナンバーカードの利活用を進めるため、自治体の交付態勢支援や情報連携システム整備。

・都市から地方への移住やテレワークなど、新しい暮らし方・働き方の推進。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000641574.pdf
(7、8、13、16~17ページ)

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コンパクトで暮らしやすい地域づくり(国土交通省)
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・ホームドアの整備やノンステップバス・福祉タクシーの導入など公共交通のバリアフリー化。

・市町村の空き家活用や除却、民間と連携した空き家対策事業に対する支援。

・新技術や官民データ等を活用したスマートシティの社会実装。

https://www.mlit.go.jp/common/001364239.pdf

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地方企業のデジタル化と若者の地方移動支援(経済産業省)
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・自治体による持続化補助金など、地方の小規模事業者支援を推進。

・地域未来牽引企業のデジタル化や、若者の地域企業への移動を支援する「地域未来デジタル・人材投資促進事業」。

・地域の持続的発展のための商業・まちづくり推進事業。

https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2021/pdf/02.pdf
(9~10ページ)

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3つの移行で経済社会を再設計(環境省)
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・脱炭素社会、循環経済、分散型社会へ移行して「地域循環共生圏」(ローカル SDGs)を地方に創る。

・2050年CO2排出量ゼロを目指す自治体「ゼロカーボンシティ」の再生可能エネルギー導入を支援。

https://www.env.go.jp/guide/budget/r03/r03juten/01_juten.pdf
(2、3ページ)

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チェックポイント詳細
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●来年度に向けたコロナ体制整備

・医師や病床の確保、軽症者の療養体制をどうするか。

・保健所の人材確保など防疫体制をどうするか。

●きめ細かい教育に向けた人員強化

・少人数学級に向けた取り組みの現状はどうか。

・小学校の専科指導や発達障害児の通級指導について加配を行うか。

・学習指導員やスクール・サポート・スタッフ、部活指導員の導入状況は。

●社会全体のデジタル化

・行政手続のオンライン化、AIやRPA(自動化ソフト)の活用をどう進めるか。

・地域の企業のデジタル化に向けた取り組みはあるか。

・デジタル教科書を導入する学校や教科をどうするか。

●地方移住やテレワークの受け皿づくり

・地方への移住やテレワークなど、新しい風をどう受け止めるか。

・空き家対策のその活用をどう進めるか。

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さらなる調査のためのリンク集
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【教育】全員担任制や教科担任制など「チーム学校」による教育(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5202/

【情報】自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める行政CDO(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5178/

【経済】テレワーク&ワーケーションで、地方の関係人口を増やす(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5322/

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