<概要>
●2000年4月に地方分権一括法が施行されて今年でちょうど20年
●今国会で第10次の地方分権一括法が成立
●地方議員選挙の居住なし立候補に罰則
●生活保護も学校給食費等の公会計化に対応
●森林の所有者情報を林地台帳に反映し、森林経営管理法の業務が円滑に
●コロナ対応で改めて、国と地方が対等な関係を築けるかどうか問われている
<チェックポイント>
●地方分権改革に対する自治体提案
●学校給食費などの公会計化
●林地台帳を活用した森林経営の活性化
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地方分権一括法の施行から20年
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・2020年6月3日に第10次地方分権一括法が成立、6月10日に公布された。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200603/k10012456191000.html
・2000年4月に地方分権一括法が施行されてから、今年でちょうど20年の節目。
・自治体を国の下部組織とする機関委任事務は廃止され、国と自治体は上下・主従関係から対等・協力関係に変わった。
・その後、2011年の第3次地方分権一括法からは、毎年国会で一括法が成立し、権限移譲や規制緩和が進んできた。
https://www.pref.miyagi.jp/site/bunken-doshu/bunken02.html
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第10次地方分権一括法の主な中身
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●地方議員選挙の居住なし立候補に罰則
・2019年春の統一地方選では、「立候補する自治体に3カ月以上」という住所要件を満たさない候補者の当選無効が相次いだ。
・立候補の届け出と同時に提出する宣誓書に「住所要件を満たす者であると見込まれること」を追加。
・虚偽申告には30万円以下の罰金を科し、刑が確定すれば原則5年間、公民権が停止される。
https://www.asahi.com/articles/ASN335D0LN33ULFA00G.html
●生活保護の教育扶助費の支払い先を、学校から自治体に変更可能
・教育扶助(学校給食費等)について、学校の長等に加え、地方公共団体の長等に支払うことを可能とする。
・これにより、教職員の事務負担の軽減を図るための学校給食費等の公会計化に対応し、地方公共団体等における事務を円滑化。
●森林の所有者情報を林地台帳に反映
・市町村が実施する森林の土地の所有者等を把握するための調査により得られた情報を林地台帳へ反映。
・同時に、固定資産税情報も市町村内部での利用が可能に。
・管理が行われていない森林を市町村が預かり、森林経営管理法に基づき意欲ある経営者に再委託する業務が円滑に。
●町村による都市計画決定の協議における都道府県同意を廃止
・町村の都市計画の決定又は変更に際して行う都道府県知事の同意を要する協議については同意を廃止。
・市に対する都道府県知事の同意は、第1次分権一括法で既に廃止されている。
・都道府県が協議で意見を示すケースは3割弱で、同意をしなかった例は無く、同意手続きが弊害になっていた。
https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/doc/teianbukai24sanko-shiryou01-8.pdf
(63ページ)
●子育て短期支援事業で里親への直接委託が可能に
・子育て短期支援事業は、病気などで保護者の養育が一時的に困難になった子を、児童養護施設等で保護する事業。
・これまでは市町村が児童養護施設に受入依頼をして、児童養護施設が里親や保育士に委託していた。
・今後は近隣に児童養護施設等が存在しない場合でも、地域の実情に応じて里親などに直接委託できるように。
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/setsumeikai/r020221/pdf/s5-3.pdf
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その他の権限移譲や規制緩和
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・指定都市内で完結する路面電車やモノレールについて、運輸開始の認可権限を都道府県から指定都市に移譲。
・定員20名未満かつ2歳児までが対象の地域型保育事業を他市の住民が利用する際に、その市への確認申請が不要に。
・公害審査委員候補者の委嘱期間について、毎年ではなく3年以下の期間で都道府県が条例で定められるように。
・試験研究を行う地方独立行政法人の法人発ベンチャーへの出資や株式取得を認め、産学官連携を促進。
・地方独立行政法人が保有する土地等の貸付けを認め、資産の有効活用による収入確保を可能に。
・みなし指定介護機関で介護保険法に基づく指定効力の停止があった場合、連動して生活保護法による指定効力も停止。
・生活保護費返還金等のコンビニ納付が可能に。
・動産鑑定士の登録申請が都道府県を経由せず国への直接提出に。
https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/ikkatsu/doc/10ikkatsu-gaiyou01.pdf
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コロナで改めて求められる地方分権
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・コロナ対策では、都道府県知事に外出自粛要請や休業要請を行う権限が与えられ、知事の存在感が高まった。
・一方で、知事会では国に判断基準を求める場面も見られ、「知事が実態を見て判断すべきだ」と地方の主体性を求める意見が出た。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/614804/
・三位一体改革は、地方への財源移譲が不十分なまま地方交付税が減らされる結果に終わった。
・道州制をにらみ、北海道限定の特区法が制定されたものの、移譲された権限はほとんどない。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/418135
・ふるさと納税では、国の助言に従わない自治体が交付税を減らされたり制度から除外された。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59899550S0A600C2LKA000/
・改めて、国と地方が対等な関係を築けるかどうかが問われている。
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チェックポイント詳細
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●地方分権改革に対する自治体提案
・国の地方分権改革における「提案募集方式」に制度改正を提案したことがあるか。
・自治体の業務の中で、国に制度改正を求めたい事項をまとめているか。
●学校給食費などの公会計化
・学校給食費の公会計化を検討したことがあるか。
・教材費や修学旅行費は公会計か私会計か。
●林地台帳を活用した森林経営の活性化
・経営管理が行われていない森林をどれぐらい把握しているか。
・林地台帳にどのような情報を追加し、活用していくか。
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さらなる調査のためのリンク集
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10次にわたる地方分権一括法(内閣府)
https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/ikkatsu/ikkatsuhou.html
【教育】給食費や教材費の徴収を「私会計」から「公会計」に(政策立案メルマガ)」
https://policy-making.com/db/5318/
【林業】管理不十分な森林を市町村が経営管理できるように(政策立案メルマガ)
https://policy-making.com/db/5189/