【感染症】病院は?保育所は?新型コロナ対策、自治体がすべきこと(国政情報)

<概要>

●政府は2020年2月25日に新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を発表

●地域ごとの対策の切替えのタイミングについては地方自治体が判断

●高齢者施設や人が多く集まる場所での感染対策を徹底

●医療機関の役割分担と、病床や人工呼吸器の確保

●一般の医療機関での受け入れ準備と、電話診療なども

●保育所と学童は人員確保と代替措置の準備が必要

●首長の決断と情報発信が重要

<チェックポイント>

●感染の拡大防止

●医療提供体制の整備

●保育所と学童保育の継続

●住民への情報発信

<掲載事例>

●東京都、大分県、和歌山県、北海道

●東京都板橋区、東京都文京区、奈良県葛城市、北海道恵庭市

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新型コロナウイルス感染症対策の基本方針
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・政府は2020年2月25日に新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を発表。

・これまでは水際対策を講じてきたが、国内の複数地域で、感染経路が明らかではない患者が散発的に発生。

・早期終息のためには、患者クラスター(集団)が次のクラスターを生み出すことを防止することが極めて重要。

・あわせて、国内で患者数が大幅に増えた時に備え、重症者対策を中心とした医療提供体制を整える。

・地域ごとの対策の切替えのタイミングについては、地方自治体が厚生労働省と相談しつつ判断する。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kihonhousin.pdf

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「基本方針の重要事項」のうち自治体に関わること
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●国民・企業・地域等に対する情報提供

・適切な相談をせずに医療機関を受診することは、かえって感染するリスクを高めることを呼びかける。

・企業に対して、風邪症状の社員への休暇取得の勧奨、テレワークや時差出勤の推進等を強力に呼びかける。

●感染拡大防止策

・厚生労働省や専門家と連携しつつ、積極的疫学調査等により、個々の患者発生をもとにクラスター発生を把握。

・確認された患者クラスターに関係する施設の休業やイベントの自粛等の必要な対応を要請。

・高齢者施設等における施設内感染対策を徹底。

・公共交通機関、道の駅、その他の多数の人が集まる施設における感染対策を徹底。

・地域で患者数が継続的に増え始めたら、広く外出自粛の協力を求める対応にシフト。

●医療提供体制

・今後の患者数の増加等を見据え、医療機関における病床や人工呼吸器等の確保を進める。

・地域で患者数が大幅に増えたら、診療時間や動線を区分する等の感染対策を講じた上で、
新型コロナウイルスへの感染を疑う患者を、一般の医療機関で受け入れる。

・透析医療機関や産科など、感染を疑う患者の診察を行わない医療機関を事前に検討する。

・重症化しやすい高齢者や基礎疾患を有する者については、より早期・適切な受診につなげる。

・継続的な医療・投薬等については、感染防止の観点から電話による診療で処方箋を発行するなど、
医療機関を受診しなくてもよい体制をあらかじめ構築する。

・集中治療を要する重症者を優先的に受け入れる医療機関など、地域の医療機関の役割分担。

・医療機関における感染制御に必要な物品を確保。

●その他

・マスク等の過剰な在庫を抱えることのないよう消費者や事業者に冷静な対応を呼びかける。

・患者や対策に関わった方々等の人権に配慮した取組。

・空港、港湾、医療機関等におけるトラブルを防止するため、必要に応じ警戒警備を実施。

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政府から自治体への通知や事務連絡
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・地方からの要望を受けて、地域で感染患者で発生した場合における情報の公表に係る基本方針が示された。

https://www.mhlw.go.jp/content/000601059.pdf

・不足するマスクや消毒用アルコールを把握して、高齢者施設に供給する手順も示されている。

https://www.mhlw.go.jp/content/000600349.pdf

・医療施設の職員は、発熱したら熱が下がって24時間以上が経過し、咳が治まるまで出勤停止。

https://www.mhlw.go.jp/content/000600288.pdf

・社会福祉施設も同様。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000599388.pdf

・新型コロナウイルス感染症に関する自治体・医療機関向けの情報は、下記で毎日発信されている。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00088.html

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保育所は原則として開所
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・保育園の登園前に子どもの体温を測り、熱があれば保育所の利用を断る。

・病児保育の利用は妨げないが、臨時休園をしている保育所の子の利用は慎重に判断する。

https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000600009.pdf

・保育所の臨時休園は都道府県が判断して市区町村に要請するが、市区町村が判断して休園もできる。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000598105.pdf

・保育所の子どもが感染した場合は、市町村が速やかに臨時休園を判断する。

・地域全体での感染拡大を抑えるために、感染者がいない保育所も含めて臨時休園を行うことも考えられる。

・医療職などの子どもが保育を必要とする場合、訪問型一時預かりや訪問保育、ベビーシッターなど市区町村で対応を検討。

https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000600008.pdf

・2月27日、一斉休校を受けて「保育所は原則として開所して頂きたい」と政府が強く要請。

・感染者が出た場合は臨時休園を検討するが、訪問型一時預かりや訪問保育などの代替措置が必要。

https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000601141.pdf

保育所等における新型コロナウイルス対応関連情報は下記で毎日発信されている。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09762.html

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学童保育も原則開所だが職員不足が課題
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・「放課後児童クラブは原則として開所して頂きたい」と政府が強く要請。

・開所時間は長期休暇中に準じて1日8時間とするなど、可能な限り柔軟な対応も要請。

・時間延長に伴う職員の不足は、法人間の連携や他の児童福祉施設からの職員の応援で対応。

・感染者が出た場合は臨時休業を検討するが、ファミリーサポートセンターやベビーシッターなどの代替措置が必要。

https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000601141.pdf

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自治体独自の様々な取り組み
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・低利融資や利子補給、信用保証料の全額補助など、中小零細企業の支援策を強化する自治体も。(東京都、板橋区、文京区)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56119870X20C20A2L83000/

・職員の時差出勤やテレワークを開始した自治体も。(岐阜県、岐阜市、大垣市)

https://www.gifu-np.co.jp/news/20200228/20200228-219235.html

・入手が困難なマスクや消毒液について、簡単な作り方を自治体がホームページで紹介。(大分県、奈良県葛城市)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020022700195&g=soc

・国の情報発信に課題が多い中で、住民の不安解消のために首長が積極的に情報提供をしている。(和歌山県、北海道)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020021900728&g=pol

・自治体国際化協会は、15カ国語とふりがな付き日本語で日常生活の注意点などを書いたテンプレートを掲載、
自治体の連絡先を追加すれば、そのままチラシやホームページに使えるようになっている。

http://www.clair.or.jp/tabunka/portal/info/contents/114517.php

・定例会の一般質問を議場で行わず、質問通告に対して書面で議会答弁を行うことにした議会も。(北海道恵庭市)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020022701226&g=pol

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チェックポイント詳細
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●感染の拡大防止

・感染を確認するPCR検査は、現在どこで1日何件行われているか。

・厚労省や専門家と連携した積極的疫学調査を行なっているか。

・高齢者施設等における施設内感染対策を徹底しているか。

・高齢者施設にマスクや消毒薬を供給できているか。

・公共交通機関や多数の人が集まる施設における感染対策をどうするか。

・外出自粛の段階に移行した場合の検討を始めるべきではないか。

●医療提供体制の整備

・患者の増加に向けた病床や人工呼吸器、感染制御に必要な物品の確保はどうか。

・一般の医療機関での患者受け入れの準備を始めているか。

・感染患者を受け入れない医療機関の選定はどうか。

・電話による診療など、医療機関を受診しなくても良い体制を検討しているか。

・重症患者の優先受け入れなど、医療機関の役割分担はどうか。

●保育所と学童保育の継続

・保育所や学童における予防対策は徹底できているか。

・医療職などの子どもの保育を提供できるか。

・感染者が出た場合でも、訪問保育などの代替措置が用意できるか。

・学童を1日8時間にした場合の職員確保をどうするか。

●住民への情報発信

・医療機関の受診の仕方や、働き方に関する呼びかけを行なっているか。

・首長の情報発信が非常に重要だが、どのような頻度と形で何を発信しているか。

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さらなる調査のためのリンク集
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新型コロナウイルス感染症対策本部
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/taisaku_honbu.html

新型コロナウイルス感染症について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

地方衛生研究所の一覧(国立感染症研究所)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc/2152-phi/2343-chieiken.html

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