<概要>
●総務省は毎年1月に「地方財政の見通し・予算編成上の留意事項等について」を公表
●地方議会も配布対象となっており、予算議会の参考になる
●2020年度は災害対策で「緊急浚渫推進事業費」などが新設
●会計年度任用職員や公共施設等総合管理計画など留意事項も示される
●公営企業は中長期的な経営戦略を2020年度までに策定
●特に病院事業は様々なルール変更で厳しい運営になる
<チェックポイント>
●2020年度のトピックと自治体予算の整合性
●留意事項についての対応
●企業会計に関する留意事項への対応
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総務省が予算議会のために資料を提供
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・2〜3月議会で議論される当初予算は膨大な量の資料があり、読み解くことに苦労する。
・行政の説明でも「国の政策」「都道府県の政策」「基礎自治体の政策」が区別されず、構造が見えにくい。
・総務省は毎年1月に、自治体の予算編成のために「地方財政の見通し・予算編成上の留意事項等について」を公表。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000665614.pdf
・議員が2020年度当初予算の特徴を知り、論戦に備える意味でも重要な資料。
・行政側のみならず議会事務局にも配布されており、本来は全議員に配布すべきもの。
(2枚目)
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地方財政対策で示されたトピック
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・地方法人課税の偏在是正措置により生じる財源を活用して、「地域社会再生事業費 」4,200億円を計上。
・地方公共団体が単独事業として実施する河川等の浚渫を推進するため、 新たに「緊急浚渫推進事業費」を900億円計上。
・地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を活用し、森林環境譲与税を前倒しで増額。
・技術職員不足の市町村を支援し、大規模災害時の中長期派遣要員を確保するために、
都道府県が技術職員を増員する経費に対して地方財政措置。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000665614.pdf
(7ページ)
・各トピックの詳細は「地方財政対策の概要」を参照。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000660553.pdf
(8ページ~11ページ)
・さらに詳しく研究する場合は、以下のメルマガ記事を参照。
【予算】全国共通の予算フレームがわかる「地方財政対策」を読む(国政情報)
https://policy-making.com/db/5289/
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予算編成上の留意事項
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●簡素で効率的な行財政システム
・「窓口業務改革」の横展開を行い。住民記録システムの標準仕様書を2020年夏頃までに作成する。(9ページ)
・基幹税務システムについても2020年度から標準仕様書の作成を進める。(9ページ)
・マイナンバーカード交付円滑化計画の策定を市町村に要請し、事務補助金610億円を計上。(11ページ)
【窓口業務】役所の手続きを原則オンライン化するデジタル手続法(国政情報)
https://policy-making.com/db/5245/
●2020年4月1日から施行される「会計年度任用職員」
・会計年度任用職員に期末手当を支給する経費について、地方財政計画に1,738億円を計上して地方交付税措置。
・就けようとする職の職務内容、勤務形態等に応じて任用根拠を明確化・適正化すること。
・勤務時間については、職務内容や標準的な職務量に応じて適切に設定すること。(13、14ページ)
【人事】新地方公務員制度と会計年度任用職員(国政情報)
https://policy-making.com/db/4964/
●過去に建設した公共施設の計画的な管理
・公共施設等総合管理計画を踏まえ、2020年度までに個別施設ごとの長寿命化計画(個別施設計画)を策定すること。
・個別施設計画を反映して中長期のインフラ維持管理・更新費の見通し等を精緻化し、
適正管理に取り組むことによる効果額を示した上で、2021年度までに公共施設等総合管理計画を見直すこと。(16ページ)
【公共施設】総合管理計画の次は施設の長寿命化と統廃合(政策アイディア)
https://policy-making.com/db/5253/
●いじめ対策や教育無償化
・高等教育(大学等)の無償化は住民税非課税世帯とそれに準じる世帯の学生が対象で、地方交付税措置もある。(19ページ)
・小中学校のいじめ対策として、教育委員会における弁護士等への法務相談に要する経費に新たな地方交付税措置。(29ページ)
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企業会計、特に病院会計に関するトピック
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・一般会計以外にも企業会計・第三セクターなどについて言及。(47~50ページ)
・各公営企業においては、中長期的な経営戦略を遅くとも2020年度までに策定すること。策定・改定経費は特別交付税措置。(47ページ)
・特に経営が厳しく厚生労働省からも指摘を受ける「病院会計」について、さまざまな新しい方針が示される。
【医療】国が公立病院の再編統合を名指しで要請(国政情報)
https://policy-making.com/db/5052/
・地域医療構想を推進するため、2020年度は基金や全額国費の補助金で、病床のダウンサイジングや機能転換を支援。(18ページ)
・病院関係で、以前の特別交付税ではなく2020年度より普通交付税に算定される経費が示される。(37ページ)
・2020年夏に「新公立病院改革ガイドライン」を改定し、2021年度以降の更なる改革プラン策定を要請。(50ページ)
・普通交付税の病床数に応じた措置も見直し、病床数当たりの単価は減少する見込み。(51ページ)
・他にも、上下水道について様々な留意点が示されている。
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チェックポイント詳細
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●2020年度のトピックと自治体予算の整合性
・地域社会再生事業費で交付税が増額される場合、何に使う予定か。
・緊急浚渫事業の対象となる事業はあるか。
・森林環境贈与税の増額分で、どのような森林整備を行うか。
・市町村の支援や大規模災害時の中長期派遣のために、技術職員の増員を行うか。(都道府県)
●留意事項についての対応
・公共施設の個別計画の策定状況はどうなっているか。
・2021年度までに公共施設等総合管理計画を見直すのか。
・高等教育(大学等)の無償化の影響と、対応はどうなっているか。
・教育委員会の法務相談は予算化されているか。
●企業会計に関する留意事項への対応
・企業会計における経営戦略の策定状況はどうなっているか。
・国のルール変更が、病院会計にどのような影響を与える見通しか。
・病院のダウンサイジングや再編の計画はあるか。
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さらなる調査のためのリンク集
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・平成31年度の地方財政の見通し・予算編成上の留意事項(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000596507.pdf