【情報】5G元年!産業育成や行政課題の解決に「ローカル5G」(社会・技術動向)

<概要>
●次世代通信規格「5G」は、超高速・多数同時接続・低遅延が特徴
●2020年度は「ローカル5G」の推進予算が計上され、導入促進税制が始まる
●大手通信事業者以外の企業や自治体は、免許申請すればローカル5Gのサービス事業者になれる
●東京都はローカル5Gの実験場を中小企業に解放し、新たな産業の育成を狙う
●地域交通や災害情報の収集など、大量の情報をリアルタイムに把握して、行政課題の解決も可能
●5Gを通じてあらゆるモノがインターネットに繋がり、膨大なデータから新しいデジタル経済が生まれる
●ローカル5Gは地域に根ざしたデータが流通するプラットフォームになり、地域デジタル経済圏を形成する
<チェックポイント>
●ローカル5Gに関する情報収集
●産業政策としてのローカル5G
●防災など行政課題を解決するためのローカル5G
<掲載事例>
●東京都
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ローカル5Gが総務省予算案に計上され、導入の税制優遇も
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・第5世代移動通信システム「5G」は、通信速度が速く大容量のデータを送れるだけでなく、
多数の端末を同時接続できて、通信の遅れが極めて少なくリアルタイムに情報を送れるのが特徴。
・令和2年度の総務省予算案に、「地域課題の解決に資する5Gの活用推進」として37.4億円が計上された。
・地域の企業や自治体が独自の5Gシステムを柔軟に構築して地域課題を解決する「ローカル5G」の実現に向け、
地域のニーズを踏まえた開発実証を求めている。
(8ページ)
・令和2年度税制改正大綱には、5Gシステムの導入を促進するための「5G導入促進税制」が盛り込まれ、
「経済社会や国民生活の根幹をなす情報通信インフラ」と位置付けた5Gシステムの構築を国家戦略として進めると明記された。
・国内通信事業者だけでなく、ローカル5Gを整備する事業者も税優遇の対象となり、
5G基地局など設備投資額の15%を法人税から控除するか、特別償却を30%に拡大して法人税を軽減するか選択できる。
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ローカル5Gは地方創生における産業創出の切り札に
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・NTTドコモとKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの既存通信事業者4社はローカル5Gの事業者にはなれない。
・NECや富士通、京セラなどの通信装置を開発してきた企業やケーブル会社などが免許申請すれば、ローカル5Gのサービス事業者になれる。
・2019年末に東京都やNTT東日本、NEC、富士通など10の事業者が免許の申請をしており、総務省は将来的には100社を見込む。
・ローカル5Gは現在、WiFiでネットワークを構築しているソリューションを代替していくと言われており、
工場や物流、遠隔医療、農業など幅広い分野に適用が考えられる。
・NTT東日本は、ローカル5Gの低遅延を生かしたゲーム対戦競技「eスポーツ」の新会社を2020年1月末に設立予定。
・ローカル5Gは、これまで無線化が進んでいなかった工場や農場、建設現場やイベント会場、病院などで導入が見込まれ、
2030年には世界で10.8兆円、日本で1.3兆円の需要額となる見通し。
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免許取得で自治体がイノベーションハブになる
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・高速、多点接続、低遅延とその特徴が喧伝されている5Gだが、
そのプラットフォーム上でどんなソリューションが生まれるのか、現時点ではまだはっきりと見えてない。
・東京都は総務省にローカル5Gの無線局を設置する免許を申請しており、
都立産業技術研究センター(江東区)にローカル5Gの実証実験場を準備。
・「シェアリングラボ」を都内の中小企業やベンチャーに開放することで、ローカル5Gを使った新たなサービスの開発を狙う。
・自治体が自らローカル5Gの事業者になることで、産業育成のプラットフォーマーになれる。
・地域交通や災害情報の収集など、大量の情報をリアルタイムに把握して、行政課題の解決も可能になる。
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ローカル5Gが形成する地域デジタル経済圏の可能性
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・デジタル化が浸透した社会のことをデジタル経済と呼び、データの量やその流通速度などが価値の源泉とされている。
・5G時代の到来によって、あらゆるモノがインターネットに繋がるIoTの本格普及期を迎える。
・スマホなどの端末だけでなく、5Gを通じてあらゆるモノがインターネットに繋がることで、
ネット上に流通するデータの量は莫大なものとなり、新しいデジタル経済が生まれる可能性が高い。
・ローカル5Gは地域に根ざしたデータが流通するプラットフォームになる可能性があり、地域の新産業が育つ土壌になっていく。
(9〜11ページ)
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チェックポイント詳細
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●ローカル5Gに関する情報収集
・自治体としてローカル5Gおよび5Gに関する情報を積極的に収集すべきではないか。
・ローカル5Gについて、電波利用を管轄する総合通信局との情報共有を行っているか。
・総合通信局のカバーエリアにある自治体のうち、総務省からの出向者を抱えている自治体との情報交換を積極的に行うべきではないか。
●産業政策としてのローカル5G
・4Gまでは単なる通信政策だったのが、5Gは産業育成の視点が必要になるが、その認識はあるか。
・国や大手通信事業者による5Gと異なり、ローカル5Gは自治体や地元企業にもチャンスが生まれるが、その認識はあるか。
・産業育成のプラットフォームとして、ローカル5Gの活用を検討してはどうか。
●防災など行政課題を解決するためのローカル5G
・医療や交通など、ローカル5Gによる行政課題の解決について、研究をしているか。
・河川の氾濫をはじめとする防災情報の収集が重要になる中、
ローカル5Gは地域の情報を細かく収集する上でも重要なプラットフォームになるのではないか。
・防災のためのローカル5Gを、国費の導入も視野に検討してはどうか。
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さらなる調査のためのリンク集
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総務省 2020年の5G実現に向けた取り組み
経済産業省 「新産業構造ビジョン」
総務省 過疎地域におけるsociety5.0の可能性
農林水産省 スマート農業実証プロジェクト
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特別寄稿:伊藤大貴(株式会社Public dots & Company 代表・博報堂新規事業開発フェロー・前横浜市会議員)
株式会社Public dots & Companyは2019年5月15日に元地方議員、現職地方議員が中心となって立ち上げた、公共戦略コミュニケーションを支援する会社です。
パブリックマインドとビジネスマインドを有した人材を地方議員の中から発掘し、企業とマッチングすることで、プロジェクトを成功へ導きます。企業プロジェクトへの参画にご関心のある方は、info@publicdots.comまで。

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