【交通】移動革命MaaSで変わる地域の交通(社会・技術動向)

<概要>

●MaaSとは、公共交通とタクシーやシェアカーを 1 つの切れ目ないサービスとしてとらえる、新たな「移動」の概念

●スマートフォンのアプリで、複数の交通手段をつないだルートを検索・予約・運賃決済できる

●マイカーは半減し、公共交通の利用者が増え、高齢者・障害者や子連れ世帯が外出・買い物しやすくなる

●政府はMaaSに自動運転を取り入れた将来像「官民ITS構想・ロードマップ2019」を発表

●交通・IT企業と自治体も、実証実験やアプリ開発を進めている

●病院と患者宅を、複数の交通手段で切れ目なく繋ぐ「医療・介護MaaS」も登場

<チェックポイント>

●MaaSに対する役所の認識

●実証実験を行っている企業との連携

●MaaSで解決される社会課題

<掲載事例>

●群馬県太田市「太田デイトレセンター」

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MaaS(Mobility as a Service)とは
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●公共交通とタクシーやシェアカーを、切れ目ない1つのサービスとしてとらえる、新たな「移動」の概念

・自動運転やAI、オープンデータ等を掛け合わせ、従来型の交通・移動手段にシェアリングサービスも統合して次世代の交通を生み出す動きが欧州から出てきている。

・現在、複数の交通手段を乗り継いで移動する際のルート検索はできるが、予約や運賃の支払いは各事業者に対して個別に行う必要がある。

・スマートフォンから検索~予約~支払を一度に行えるように改めて、ユーザーの利便性を大幅に高めたり、
移動の効率化により都市部での交通渋滞や環境問題、地方での交通弱者対策などの問題の解決に役立てようとする考え方の上に立つサービスがMaaS。

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000045.html

●MaaSが社会にもたらすメリット

・自宅の玄関から目的地まで交通機関をスムーズに乗り継げるので、高齢者・障害者・子連れ世帯が外出や買い物をしやすくなる。

・マイカーの利用が不要になり、公共交通機関の利用者が増えるため、過疎地でも公共交通が維持できる。

・駐車場や大規模な道路が不要になり、交通渋滞や排気ガスによる環境問題が改善され、交通事故の減少が見込まれる。

●MaaSの進化・5段階

・レベル0:電車・バス・タクシー・シェアカー等が、それぞれ独自にサービス提供をしている現在の段階。

・レベル1:スマホの乗り換えアプリのように、料金・ダイヤ・所要時間・予約状況などといった、移動に関する一定の情報が統合して利用者へ提供されている段階。

・レベル2:目的地までに利用する交通機関を、スマホアプリなどによって一括比較でき、予約・発券・決済がワンストップで可能になる段階。

・レベル3:事業者の連携が進み、どの交通機関を選択しても目的地までの料金が統一されたり、定額乗り放題サービスのプラットフォームが整備される段階。

・レベル4:事業者レベルを超え、地方自治体や国が都市計画・政策へMaaSの概念を組み込み、連動・協調して推進する最終段階。

https://smartdrivemagazine.jp/technology/maas/

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フィンランドのMaaSアプリ「Whim(ウィム)」
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●乗り換えルート検索アプリとスマホ決済アプリを統合

・フィンランドの首都ヘルシンキの「MaaS Global社」というスタートアップ企業が開発。

・月額49ユーロ払えば、公共交通は乗り放題で、タクシー・レンタカー・シェアバイクは1回ごとの定額料金。

・月額499ユーロを払うと、公共交通・タクシー・レンタカー・シェアバイクが全て乗り放題。

・無料会員でも、ルート検索と運賃スマホ決済だけなら利用できる。

●公共交通の利用は1.5倍になり、マイカー利用は半分に

・Whim利用者の公共交通利用率は48%から74%に増え、マイカー利用率は40%から20%に半減、タクシー利用も大幅に増えた。

・6万人のWhim利用者のマイカー利用率が20%減ったということは、単純計算で1万2千台の車が路上から消えたことになる。

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国内でも始まる取り組み
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●自動運転を使ったMaaSの将来像を提示「官民ITS構想・ロードマップ2019」

・政府は「官民ITS構想・ロードマップ2019」案をまとめた。

・MaaSに自動運転を取り入れた将来像を提示。

・自動運転の社会実装に向けた持続可能なビジネスモデルの確立を目指す。

https://response.jp/article/2019/06/11/323318.html

●ローカル私鉄の小田急電鉄が全国のMaaSを支援

・マース事業を登戸(川崎市)-代々木上原(東京都渋谷区)間の複々線化完了後の同社の柱にする。

・列車検索アプリ「駅すぱあと」を提供するヴァル研究所などと協業して、「小田急マース」のスマートフォンアプリを開発する。

・自社交通機関中心のマースとは別に、2019年4月には他社も使えるプラットフォーム「マースジャパン」の開発を進める方針を発表。
すでに、日本航空やJR九州など5社がプラットフォームに参加することを決めている。

・2019年秋には、買い物や観光施設を利用するとバスや電車の運賃が割引になるなど、駅周辺での社会実験を予定。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1906/14/news061.html

●業種や競合を乗り越える「MaaS」は地域交通の課題解決につながるか

・自治体でも新たな移動サービスの導入をにらんだ実証実験が相次ぐ。

・タクシー配車システムを手がける電脳交通(徳島市)が、NTTドコモと実証実験。

・経済産業省と国土交通省、新たなモビリティーサービスの後押しするプロジェクト「スマートモビリティチャレンジ」を始動。

https://newswitch.jp/p/18000

●フィリップスも参戦「医療・介護MaaS」 答えは群馬にあり

・医療機器大手のフィリップス・ジャパンが、ソフトバンクとトヨタ自動車の共同会社「モネ・テクノロジーズ」と組んで、
MaaSとヘルスケア・介護分野を融合した新たなビジネスモデルを構想。

・病院やクリニックと患者宅をオンデマンド型乗り合い交通サービスでつなぐことで、
病院の予約時間に患者がスムーズに到着して待ち時間が減ったり、人工透析患者などの通院が楽になる。

・大きな初期投資が必要な機器を導入している病院にとっては、稼働率の向上が課題。
これらを利用する患者に絞って移動サービスを提供し、稼働率を上げれば、病院の収益性を高められる可能性がある。

・現在フィリップスは、長野県伊那市など複数の自治体とヘルスケアモビリティの導入に向けて協議を進めており、2020年3月までに実証実験を始める構え。

https://trend.nikkeibp.co.jp/atcl/contents/18/00150/00014/

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チェックポイント詳細
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●MaaSに対する認識

・MaaSによって地域がどのように変わると考えているか。メリット、デメリットについて、どのように考えるか。

・MaaSによって街づくりや道路計画はどのように変わりうるか。

●MaaSへの取り組み

・MaaSは移動に関連して、医療・介護や買い物、観光など様々な地域課題の解決につながる。
実証実験を行っている企業との連携の可能性について、どのように考えるか。

・MaaSにいち早く取り組むことで、他の地域との差別化や利便性向上によって企業誘致や新サービスの開発など産業振興にもつながるのではないか。

・医療介護施設の送迎をMaaSで行うことによって、住民福祉の向上と施設の稼働率アップが期待できるが、どう考えるか?

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さらなる調査のためのリンク集
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・国土交通政策研究所報「MaaSについて」
http://www.mlit.go.jp/pri/kikanshi/pdf/2018/69_1.pdf

・将来の移動に革命をもたらすMaaSとは?
https://data.wingarc.com/what-is-maas-11716

・都市の悩みを技術で解決!パブリテック始動
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00601/

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特別寄稿:菅原直敏(一般社団法人Publitech 代表理事・神奈川県議会議員)

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