<概要>
●農業用ため池の管理及び保全に関する法律案(ため池管理保全法)が2019年4月19日に成立
●地震や台風、豪雨によって、ため池が決壊し、被害が出ることを防ぐための法律
●都道府県、市町村の役割も明記
●周辺に被害を与える恐れがある農業用ため池を、都道府県が「特定農業用ため池」に指定し、着実に防災工事を実施
●市町村は、利用はあるが所有者が不明なため池について、管理権を得ることができる
●市町村は、20年度までに特定農業用ため池のハザードマップを作成
<チェックポイント>
●全国ため池緊急点検の結果
●ため池管理保全法の施行を踏まえた、自治体の対応
●特定農業用ため池のハザードマップ作成の具体的なスケジュール
▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
農業用ため池の緊急点検
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●農業用ため池とは
・降水量が少なく、流域の大きな河川に恵まれない地域などで、農業用水を確保するために水を貯え取水ができるよう、人工的に造成された池。
・ため池は全国に約20万か所存在し、西日本を中心に全国に分布。
・瀬戸内地域は年間を通じて降水量が少ないことから、古くからため池が築造され全国の約6割が存在。
http://www.maff.go.jp/j/nousin/bousai/bousai_saigai/b_tameike/attach/pdf/index-19.pdf
●農業用ため池の緊急点検
・これまでも地震や台風、豪雨などでため池が決壊し、被害が出ている。
・直近10年間におけるため池の被害は、約70%が豪雨によるもので約30%が地震によるもの。
http://www.maff.go.jp/j/nousin/bousai/bousai_saigai/b_tameike/attach/pdf/index-58.pdf
・2018年7月の西日本豪雨の際、広島県など6府県で32カ所ため池が決壊。
・決壊した32か所のため池のうち29か所が防災重点ため池に選定されていなかった。
・全国のため池の緊急点検を実施し、応急措置が必要な場所はブルーシートによる被災箇所の保護などを行った。
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/bousai/attach/pdf/180906-1.pdf
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/bousai/attach/pdf/180906-2.pdf
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
課題と今後の対策
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●緊急点検で浮かび上がった課題
・小規模なため池は、所有者・管理者、使用実態、構造等を正確に把握しきれていない。
・国が把握するため池9万6,000カ所のうち、30%の2万8,700カ所は、所有者が不明。
・堤体のすべり破壊や、土砂流入による決壊が発生。
・使われなくなり放置されているため池や、管理者が将来の適正な管理に不安を抱えているため池が存在。
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/bousai/attach/pdf/181113_9-2.pdf
●今後の対策
・国が示す新たな選定基準により、都道府県が市町村等と調整して防災重点ため池を再選定。
・避難行動につなげる対策と施設機能の適切な維持、補強に向けた対策。
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/bousai/attach/pdf/181113_9-2.pdf
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
法案の内容
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・所有者や管理者が都道府県に届け出することを義務付け、豪雨や耐震対策など適正な管理を求める。
・管理が不適切な場合は、都道府県が勧告。
・人的被害を含め周辺地域に被害を与える恐れがある農業用ため池を、都道府県が「特定農業用ため池」に指定し、着実に防災工事を実施。
・利用はあるが所有者が不明なため池について、市町村が管理権を得ることができるように。
・20年度までに指定された特定農業用ため池のハザードマップの作成。
・国や自治体は、ため池の管理に必要な資金や技術指導を所有者らに支援。
・国は都道府県に対し、防災工事にかかる費用の一部を補助。
http://www.maff.go.jp/j/law/bill/198/attach/pdf/index-7.pdf
▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
チェックポイント詳細
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●全国ため池緊急点検の結果
・自治体内の点検したため池の数、応急措置が必要なため池の数はどの程度か。
・応急措置が必要なため池にはどのような応急措置を行ったか。それによって梅雨や台風シーズンを乗り越えることは可能か。
●ため池管理保全法の施行を踏まえた自治体の対応
・所有者不明ため池が多い中、今後、届け出をどのように進めるのか。
・特定農業用ため池の基準に合致するため池の数はどの程度か。
・防災工事の優先順位付けや予算の確保を今後、どのように行うか。
・市町村と都道府県との連携、情報交換の体制は不可欠だが、どのように行うか。
・所有者不明なため池の管理権取得は、どのような基準で行うのか。
・防災重点ため池のハザードマップの作成、公表の現状、特定農業用ため池のハザードマップ作成の具体的なスケジュールはどのように考えるか。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
さらなる調査のためのリンク集
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
農林水産省:農業用ため池
http://www.maff.go.jp/j/nousin/bousai/bousai_saigai/b_tameike/
農業用ため池に関するデータベース及び共有システムの構築
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/sankankyougikai/infrastructure/dai3/siryou8.pdf
ため池法案 現場へのしわ寄せ避けよ
https://www.agrinews.co.jp/p46628.html
農水省/農業用ため池の防災対策強化で新法制定へ/知事に工事実施命令権限
https://www.decn.co.jp/?p=104987
青森県:ため池を知る
https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/nourin/noson/files/04tameike.pdf